【最終話】 クララとエアリス
【炎と薔薇の物語】通称リボンを読んで下さっている読者様
この話をもちましてこの物語は完結いたします。
ありがとうございました!
ねここ
異世界にゆく前に、エリアスは皇帝としてリバティ帝国全土を見たいと思っていた。ナバスの頃とそれぞれの領地は変わらないが、もっと自由に行き来できるように法律を改正しその結果どこの領地も活気に溢れている。皇帝としてそれぞれの都市に訪問しながら国中を回った。
「クララ、このリバティ帝国は本当に素晴らしい国になった。明るく、活気があり。クララ、見えるだろう?精霊達が喜んでいる姿が」
エリアスは馬車の窓から外を指差しクララに微笑んだ。
「はい、とっても楽しそうに飛び回っていますね。こんな姿が見られるとは、エリアス様のおかげです。」
クララは目の前にいるエリアスを見つめ微笑み返した。
あの日から毎日が夢のようだった。
(唯一無二の人、エリアス様は惜しげのない愛を私に語り、注ぎいつも私をそばに置いてくれる。どこに行くにも一緒。誰もエリアス様に姫や令嬢を紹介する人がいないほどエリアス様は私だけを愛してくださっている)
クララはそう考えただけで未だ胸がときめく。
(美しい皇帝が私をだけを愛してくれる)
エリアスは向かいの座席で突然黙って顔を赤らめるクララを見ていた。エリアスはそんなクララの手を引っ張り自分の方に抱き寄せた。
「エリアス様?」
クララは不用意にエリアスの胸に抱かれ鼓動が速くなった。
「クララはいつまでも私に慣れないな」
緊張するクララを見てエリアスは目を細めた。
「……エリアス様がそばにいてくださることも、こうして抱きしめて下さることも、慣れたくありません。いつまでも私はエリアス様にときめきたいと言ったら、おかしいですか?」
クララは顔を赤くしエリアスを見上げた。
「フフフ、光栄です。私の愛する人」
そう言ってエリアスはクララにキスをした。エリアスの美しい髪がクララの顔にかかる。クララはその髪に触れ言った。
「エリアス様、髪をずっと伸ばしていますね、何か理由があるのでしょうか?」
エリアスは髪に触れるクララの手を握り口元に当てキスをし言った。
「クララがまだレオンで、私がリアナだった頃、高熱を出して寝込んだ時あっただろ?その時私は心配し様子を見に行ったら、クララは私の髪に触れ綺麗だと言ってくれた。あの日からずっと伸ばしているよ」
クララは覚えていた。
(あれは夢じゃなかったの?!)
クララは驚きエリアスを見つめ、今更ながら恥ずかしくなり両手で顔を覆った。
「エリアス様、あれは夢では無かったのですね。とても恥ずかしいです。リアナ様の勝手に髪に触れて」
エリアスはクララの顔を隠す両手を握り言った。
「クララ、顔を見せて」
クララはすこし俯きながら両手の力を抜いた。すかさずエリアスはクララにキスをした。そのキスは甘くとろけるような優しいキスだった。
「エリアス様、私の為に髪を伸ばして下さってありがとうございます。その気持ちも嬉しいです。」
クララはそう言ってエリアスの胸に頬をつけ瞳を閉じた。エリアスはクララを抱きしめて頭にキスをした。
「クララ、私たちはいつまでもお互いを大切にし、どんな事でも二人で共有し分かち合おう。喜びも悲しみも」
エリアスはクララを抱きしめながら言った。
「はい、エリアス様、ずっとお側にいて共に笑い、共に悲しみ、出来るのなら共に死にたいと願ってしまいます」
クララはフランシスカだった頃のことを思い出し言った。
「私たちには薔薇の誓いがあるから死ぬ時は一緒だよ。この先永遠に私たちは離れることはないんだ。」
エリアスはクララを強く抱きしめた。
「エリアス様、とても長い時間がかかってしまいましたが、私たちは自分の意思で生きることが出来ました。そしてやっとエリアス様と一緒になれました。本当に幸せです。」
クララはエリアスの胸に中で瞳を閉じた。
「クララ、愛しています。永遠にあなただけを」
エリアスは胸のクララに言った。クララはゆっくりと瞳を開けエリアスを見つめ言った。
「エリアス様、長い間私を待っていてくれてありがとうございます。私は過去も今も未来もあなただけをずっと見つめています。愛しています。」
長い時を経て結ばれたエリアスとクララ。
二人はこの先も離れる事なく幸せに暮らした。
エリアスの治めるリベラル帝国。
アドモ公爵家、モリアーナ公爵家、アンヘル公爵家、三つの公爵家の紋章と王家の象徴聖剣ミスティルテイン、そしてミスティルテインに絡まるタピア公爵家の薔薇と炎がこの国の新しい紋章となった。
リベラル帝国の庭園にロサブランカがいた。彼女の手にはローズピンクの薔薇が握られている。
その薔薇はフランシスカの薔薇とルカスの薔薇が変化したエリアスとクララ愛の薔薇。
ロサブランカは魔法を使い国中の至る所に愛の薔薇を咲かせた。
エリアスとクララの薔薇は人々の暮らしと人生に寄り添い今も美しく咲き続けている。
終わり。
【炎と薔薇の物語】通称リボンを読んでくださった読者様へ。
作者のねここと申します。
この度は長い長い物語を読んでくださって本当にありがとうございました。
この試験的な物語、ものを書くことの意識がまだないままスタートした、
読みづらい物語を読んでくださり本当にありがとうございました、
途中で違う作品と同時進行になってしまいこちらが手付かずになった折は、大変ご迷惑をおかけいたしました。
手直しがままならず完結は諦めようかと思っていた作品でしたが、八十五話からこれではダメだと考え直し、
手入れを行い完結まで漕ぎ着けました。
ほっとしています。
本当に本当にありがとうございました!
最後に、誤字脱字を教えてくださった方々、ずっと応援してくださった方々、
飽きずに付き合ってくださった読者様に心より感謝を申し上げます。
今連載している【この結婚が終わる時】もよかったら読んでくださると嬉しいです。
拙い書き手の物語ですが、応援してくださる皆様に心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!
沢山の愛と皆様の幸せをを願って。
ねここ