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エリアス・ミラネス

 エリアスは父である皇帝セブリアン、母である皇后ナディアの第一子として生まれた。


 あまりに美しい赤子だったゆえ、初代皇帝の名前エリアスと名付けられ次期皇帝として大切に育てられた。ミラネス王家も各公爵家同様に後継者として覚醒した時から全ての能力が受け継がれるが、エリアスは生まれた瞬間から皇帝の持っている能力をはるかに超える力を既に兼ね備えていた。その事も含めエリアスと名づけたのだが、驚くべきことにエリアスは物心つく前から魔法を使っていた。自分のゆりかごを自らの魔法で揺らし、お腹が空くと用意してあるミルクを自らの魔法で飲む事が出来、泣く事もなくいつも微笑みを浮かべ周りの人間を癒す存在としてミラネス王家の狭く閉鎖された中で深く愛され育っていた。


 *


 二歳の頃から教育係として時の番人と呼ばれ二千年前からミラネス王家に仕えているアルカイン家のセリオ・アルカインがエリアスの魔法と召喚をサポートし始めた。エリアスは二歳にしてイフリート以外の三つの精霊の魔法全てを使いこなすことができた。ただ、セリオはなぜイフリートが現れないのかと疑問に思っていた。皇帝の能力を全て受け継いだエリアスだが、イフリートだけが居ない。



 (何か理由があるのか?)



 セリオは二年前炎の公爵家タピアで起きた事件を思い出した。臨月だったタピア家当主が火事で死んだ。燃え盛る炎の中やけ死ぬ事なく生まれた娘がいると聞いていた。


 (まさか、その娘が?)


 だが、神との誓約ではエリアスと同じ年に生まれた弟が次期当主になる。エリアスより二歳年上の姉がタピア家当主になることはあり得ない。だが、なぜエリアスが生まれた時なぜイフリートだけ居なかったのか?その謎はレオンとしてクララが城に現れても納得できる理由がなかったが、その後レオンがクララだったと判明した時セリオは全てを理解することができた。


 *


 エリアスが育つにつれ皇帝は自分の意志がほとんど無くなり神の布教活動に邁進していた。皇后も同じように自我をなくし、我が子エリアスに構う事なく神殿に入り浸っていた。

 エリアスが三歳になる頃、神の使いであるセルゲイ・リオハスが現れた。リオハス家はナバス帝国創世記からミラネス王家に仕えている家で代々執事を任されている神の使いだ。セリオとは犬猿の中だが互いに自分の仕事に集中し関わらないようにしていた。なぜならセリオのアルカイン家は精霊のルーツがあり、セルゲイのリオハス家は神の使いだからだ。アルカイン家の時と空間を操れる能力は神にとって脅威だ。特に五分の時間を戻すことができる能力は侮ることが出来ない。常にアルカイン家は精霊王の封印を解くことを考えているが、封印を解けるのは王家の人間しかない。それも神と精霊の血が流れている王のみができるのだ。そんな王は数千年に一度の割合でしか現れない。さまざまな条件が揃わないと現れないのだが、まさにエリアスはその力を持った類い稀な存在として現れた。だから神の使いであるリオハス家は常に王の近くにおり、危険因子を排除する他、セリオを監視していた。


 セリオは出来るだけエリアスをセルゲイに近づけないように気を使い、洗脳まがいな行為が有れば時を戻しエリアスを守っていた。

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