自由な風の家
グロリアは帰ってこないクララを心配しあの場所でずっとクララを待っていた。二日目の朝にはアドモ一家がクララを心配し、交代でグロリアと共にクララを待った。そして三日目の夕方、突然始まりの海の水が引き空になった。真っ暗な穴をグロリアは覗き込んでいると、ゴゴゴッ、とまるで濁流が川を流れてゆくような音が聞こえたと同時に虹色の龍がクララを背中に乗せ現れた。
アドモ一家は物凄い水飛沫を浴び、全員がずぶ濡れになったがそんなことは気にした様子もなく、虹色に龍に乗っているクララの帰りを喜んだ。
「クララ!やったのね!!すごく綺麗な精霊ね!!」
グロリアはリヴァイアサンの背中から降りてきたクララに抱きつき喜んだ。それを見てベニータもパシリアもアマラントもディエゴもクララを抱きしめ、
「心配していたんだよ」
とディエゴが言うとベニータは泣き出した。
クララは本当の家族のように接してくれているアドモ家に心から感謝をし、リヴァイアサンの祝福を与えた。祝福を受けたアドモ一家は簡単な水魔法が使えるようになった。グロリアはさらに魔力がました。
「こんなことが出来るなんて」
グロリアは驚きクララを見た。クララは嬉しそうに魔法を使う一家を見ながら言った。
「このリヴァイアサンは特別な精霊で、アドモ家は水を司る公爵家、この祝福は今まで大切に水を守ったアドモ家に精霊は感謝しているの。グロリア、精霊を大切にして欲しいの。お願い精霊殿をここにも作って。神と精霊は違うから」
クララが言うとグロリアは約束してくれた。
「すぐに作るわ!精霊のおかげで私たちこうして暮らして行けるのだから!!」
こうしてクララはアドモ領地での目的を果たし、次なる領地カルロスのモリアーナに向けて出発した。
別れ際、グロリアの両親ディエゴとベニータはクララはもう自分の娘だからと、いつでも帰っておいでと送り出してくれた。クララは自分の親にそんな事を言ってもらったことがなかった為、瞳を潤ませ、必ずまた帰ってきますと二人の頬にキスをした。家族の温かさを教えてくれたグロリアの両親、そして親友のグロリア。クララは感謝を胸に旅立っていった。
クララはカルロスのいるモリアーナ領地に向かった。
モリアーナ領地に入る前に宿を取るように手配をした。アドモ家にお世話になり、またモリアーナ家にお世話になるのを心苦しく思ったのだ。それにカルロスは男性だ。許嫁のいる彼に迷惑をかけるわけにいかない。
ところがモリアーナ領地に入った時、すでにカルロスの馬車が待機しておりそのままカルロスはクララを公爵邸に案内した。
「カルロス、ごめんね、気を遣わせちゃったね」
クララは馬車を降りエスコートしてくれるカルロスに言った。
「クララ、気にするなって!俺とお前の仲だろ?」
カルロスはグリーンの髪をかき上げながら人懐っこい笑顔でクララに笑いかけた。その笑顔に安心する。カルロスはいつだって味方でいてくれる友達だ。
「そうだね、レオンの頃からだもんね」
クララもそんなカルロスの顔を覗きながら笑顔で答えた。二人には二人の友情の形があり、レオンだった頃もクララに戻ってからもカルロスは変わることなく一人の人間としてを尊重してくれる。性別を超えた親友だ。
モリアーナ公爵家は広い敷地に白地の石で作った美しい邸宅だ。窓も多く風が吹き抜けるような作りになっており開放感がある。
「カルロスこのモリアーナ公爵家は風のように解放感があって素敵ね」
クララは壁のない吹き抜けの廊下を歩きながらカルロスに言った。
「モリアーナ家は、みんな自由なんだ。この邸宅も俺と同じさ」
カルロスはそう言ってクララを庭園に直結している部屋に案内してくれた。その部屋は独立しており目の前には湖、その横には美しい庭園、部屋からその全てが見渡せるリゾート地のような部屋だった。
「カルロス、とても素敵なお部屋。本当にありがとう。急に来てごめんね」
クララはカルロスの手を握り言うと、
「クララが来ることはグロリアから聞いてて分かっていたから、それに来てくれて嬉しいよ。後で家族を紹介するからゆっくり休んで」
そういってカルロスは部屋から出ていった。
【炎と薔薇の物語】を読んでくださっている皆様へ。
いつもありがとうございます。
この長い長い物語を読み続けてくださってありがとうございます。
物語の途中、後でアップし始めたもう一つの作品が忙しくなってしまい全く手付かずになり、
随分長くアップしておりませんでした。その節は本当に申し訳ありませんでした。
しかしある読者様からの感想をきっかけに、再開しました。
その節はありがとうございました。そのお声がなかったらもっと更新が遅れていたかと思います。
ようやく山場を迎え、物語の完結が見えてまいりました。
このお話はとても複雑な話ですが、読んでくださる皆様に感謝申し上げます。
最後に、
実はこのお話は私の他の作品【この結婚が終わる時】へ続く作品として書いていたものでした。
エンディングを経て、【この結婚に】続くように組み立てておりました。ですが、さらに複雑になってしまい、結局独立させることにしました。
ただ、この作品があってあの作品が出来たことをお伝えし、現在はこちらを優先し完結に向けて猛ダッシュいたします。
誤字脱字報告、および、訂正していない大部分を乗り越え読んでくださっている
読者様に感謝を申し上げます。
ありがとうございます。
大きな感謝を込めて
ねここ