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藤壺 side-優子

窓の外には森が広がる。太陽が頭上に差し掛かろうというにも関わらず、そこだけほの暗い。鬱々とした雰囲気には烏が良く似合う。この世ではない何処か、と通じているのではないかと思わずにはいられなかった。私達も生生流転を繰り返し、何れはあの森へ… そんなこと考えてしまうのは秘密を隠しているかもしれない。

嫌だいやだ。

私ってば厭世的ね。

視線を前方に戻すと呪文みたいな先生の文字。相変わらずな尊敬に値するほと汚い字から、今日の授業の要点を拾い上げノートを作っておいた。偽善と同じ、感情のお仕着せだな。本当つまらない授業。

ふと隣を見るとレイラが血液で斑に染め上がった薄絹を纏っている。

レイラ、レイラ

もっと見せて。私だけに見せて。今にも壊れてしまいそう。だから愛しい。

レイラ、レイラ

好きなだけ赤に溺れていいのよ。私が見ていてあげるから。だけど殺していいのは私だけ。慰めていいのも私だけ。

良く似合ってるよ。

恍惚とした目でこちらを見てくる。とって喰らってしまいたい。

レイラ、私のレイラ!


・・・キーンコーンカーンコーン・・・

(ちっ。)

堪らず心の中で舌打ちしてしまった。無粋な放送だ。まぁいい。レイラが戻ってくるのはまだまだ先のようだから、休み時間はたっぷり観察して過ごそうと思う。


かりっ。

だめよ、レイラ。私に頂戴。甘くて赤い、罪の果実を。

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