突然の同行者
ユキと話して私がピオネの主導する中央共和国と言う組織に参加するとなった。
その間にアンはアイと話してカウヨとどこで会ったら良いかを聞いてもらっている。
そして遂に私達は国境の町を出て本格的に魔人国へと入った。
ピオネとは結局あれ以来会う事は無かった。どうやら玄海領の交渉相手であるリクさんとの話し合いが長引いていたらしい。
アイとリクさんも今日、同じ日の出発になった様だった。なので私達の見送りにもピオネはやはり来なかった。代わりに来たのはユキとラムメェ。
「気を付けてね」
ラムメェが手を振ってくれる。
「帰って来たらまた話しましょう」
ユキはそう笑顔を見せる。
「そうですね。無事に帰れる様に祈っていて下さい」
「魔人国はそれほど危険な場所じゃ無いんだよ」
そう言って私達の馬車に駆け乗って来たのは魔族の少女。
「何ですか!」
「あれ? 聞いてないの?」
「何をですか?」
「ラムメェ?」
「ああ……タリアに言うの忘れてた! タリア、風大領に行くならクオも乗せてってよ。クオは中央共和国の魔族側の交渉の責任者。風大領の領主のリンに中央共和国に入る様に行ってもらうんだ」
「聞いてないけど!」
「えへ……ごめんごめん。でも、クオは元魔族軍にいたから何かあっても安心だよ」
「よろしく! 闇紫クオ。得意魔法は雷ね」
少し低い声の少女は私に笑顔で挨拶した。
「よろしく……」
「待って下さいタリア様! 魔族と旅をするつもりですか!」
「魔族……」
私は改めてクオを見た。獣人とは明らかに違うがどことなくリャルルさんに似ている。
「ジッと見てどうかした?」
クオにそう聞かれ私は目を逸らす。
「いや……あの……知り合いに似ている様な気がして」
「……?」
「リャルルさんの事? 多分それは私達獣人が魔族や人族を見慣れていないからだと思うよ。私達みたいに耳や毛の生え方の外見の違いが少ないんだ魔族達はね」
ユキが私の思っている事を言い当て、そう教えてくれる。
「そうそう、分かる分かる。魔人国に入ったら多分みんな同じに見えるから。まあその内に違いが分かる様になるよ。私もそうだったな~」
ラムメェが『うんうん』と頷く様にしている。
「アン……どうしましょう……」
「……断ると怪しく思われませんか? 私達のあの計画……」
私とアンは小声で話す。
「ですよね……乗せて行くしかありませんよね……」
「そうですね……あの人に……時は……上手く私が誤魔化して……ますから……タリアが……下さい」
アンの声は更に小さくなり私にも聞こえ辛いくらいだったが何となくで頷いて返した。
これが後々、大きな問題になるのは少し先の事。




