私とアンの計画
アイが玄海領へと向かう準備をするからと私達の部屋を後にし後、私とアンはアイから話を聞きいての今後の予定と方針を話す事にした。
バァーテスも話に加わる様に言ったのだが「私はタリアの護衛をするだけです。タリアの決めた判断に従います」と言って部屋の入口の扉の前に椅子を移動させて座った。
私とアンからは少し離れてはいるが話は聞こえる位置。
「バァーテス、もし護衛の立場で意見があったら遠慮なく言ってね」
「はい」
そう返事をするとバァーテスは扉に耳をくっ付ける。
「バァーテス? ……何か聞こえるの?」
「いいえ、誰かにタリア達の話が盗み聞きされないか警戒しておきます」
「そう……」
私はアンに向き直って座る。
「私はピオネの話に乗ろうと思う。アンはどう?」
「私もそれが良いと思います」
「でも、使節団を優先したいからお父様の説得は帰って来てからと言おうと思うんだけど……」
「そうですね。それともう一つ方も話を聞いた方が良いと思います」
「そうね。アンはアイが言っていたカウヨとは面識はあるの?」
「はい。従姉ですから、何度か会った事があります」
「それならそちらの対応はアンに任せても良いかしら?」
「はい。では私はタリアとの交渉には参加しないと言う事にしましょう。タリアにはピオネとの交渉をお一人でお願いします。魔人国の首都に着いたらカウヨとの話は私一人でしますので。これでどちらに参加する事になっても言い訳が立ちます」
「そうだわ! 私達2人が1人づつ両方の組織に参加して情報を遣り取りするとはどうかしら。私はピオネの方にアンは魔族の方に……」
「良い考えですね。そうしましょう」
「フフフ……」
「ウフフ……」
私とアンはお互いの顔を見て悪い笑顔をした。
「そう上手くいきますかね……」
バァーテスがそう小さく呟いたのが私には聞こえていなかった。
次の日の朝。
目覚めて直ぐ、私はユキに会いに行った。ピオネ達に協力すると言うためだ。
「こちらの条件の魔人国の風大領に行って帰って来てからって事で良いのね」
「ええ、構いませんよ。どちらにしても玄海領との交渉が纏まるのもそれくらいになると思いますし、タリアがターガツ様を説得してくれると言うなら私達が交渉するより早くて確実でしょうから」
「確実かは分からないわ。お父様は元々領主がしたい人では無い様ですし、それが「偶々領主候補で一人生き残っただけだ」と言っていたくらいですから。ですがお母様の方は……」
「ライア様はそうでしょうね……それもタリアに任せるわ。上手くやってね」
ユキは苦笑いを浮かべるのだった。




