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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
1章 私は何者?
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領主一家


バルナに連れられて私とリャルルは中庭の兵士の訓練場に来ていた。


「なんでこんな場所でライア様とタリア様を待たせているのよ!」

「いや、もともとお二人が来る予定では無かったのとリャルル様も候補者の実力が見たいかなと思いまして」

「それは分かるけど……」


「バルナ、私はこの方で良いと思いますよ」

白虎の女性が笑顔で少し困った様な顔をした白鹿の女性の隣に立っている。

「はい……いや……あの……その者は私の副官のベティでして、タリア様の護衛騎士はもう1人の……」

バルナも困った顔になる。

「貴女の副官? 良いではないですか。貴女の副官なら信頼出来るでしょう」

「勿論、信頼は出来ますがタリア様の専属護衛にするのはちょっと……他の仕事も有りますし……」

「お母様、我が儘を言ってバルナを困らせては可哀想です」

ライアの隣に立つ白虎の少女かライアの服の袖を引っ張る。

「でもね……あの者はちょっとね? 熊族でしょ? タリアの護衛にしては大きすぎるわ。それに毛色もね……」

ライアの視線の先には大きな赤熊の女性がいる。

「赤黒族のベァーテスは冒険者としても優秀であの体を生かしてタリア様の盾にもなれますし、見た目より素早く動けて……」

「バルナ! 分かっていますか? 明後日のタリアの護衛は白山領を代表する騎士で有るべきです! タリアの記念すべき洗礼式に赤い毛の者が護衛では立会人の絵本管理人に恥ずかしい!」

「ライア様! 今はそんな毛の色で差別する者などいませんよ。言葉を慎み下さい!」

リャルルが険しい顔でライアの前に立つ。

「そうよお母様。あの方にも失礼です。母がすみませんベァーテス様」

タリアが少し離れた所に立つ赤熊のベァーテスに頭を下げる。

「いいえ私は……あの、タリア様、私の事はベァーテスと呼び捨てに」

「そうよ。あんな者に様を付ける必要は無いわ。ねぇそうよねリャルル?」

ライアは睨む様な鋭い目で険しい顔のリャルルを見る。

「そうですね。タリア様、護衛騎士に様付けはなさらない方がよろしいと私も思いますよ。ですが護衛騎士にも礼儀を持って接するの事は素晴らしいと思います」

リャルルはそうタリアに笑顔を向けた。

「はい。私もそう思います」

タリアはそう笑顔でリャルルに返した。


「ググ……勝手にしなさい! お父様に言って……」

「止めなさいライア。わざわざラスタ様の名前を出さなくてもいい。ラスタ様も毛色が気に入らないからなどと言う理由で護衛騎士を代える様にとは言わないと思うぞ」

「ターガツ……」

その場にいるライアと私以外の全員が中庭に表れた白虎の男に深く頭を下げる。


「リン、領主のターガツ様よ」

リャルルが何かを訴える様に私を見る。

リャルルの言葉に私も空気を読んで深くお辞儀をした。


「タリアの護衛騎士は君か?」

ターガツはライアからベァーテスに視線を移すと優しい声で語りかける。

「はい……ベァーテスです。リャルル様の許可が貰えれは正式にタリア様の専属騎士にと」

「リャルル、どうだ?この者はタリア様の護衛にふさわしいか?」

「まだ実力を見ていないから何とも言えないけど、バルナが決めたのなら大丈夫でしょ」

「そうか。よし、ベァーテス、これから娘の護衛を任せたぞ!」

ターガツの言葉にベァーテスはライア、バルナ、ベティ、最後に笑顔のタリアの顔を見てターガツに視線を戻した。

「はい! お任せ下さい! 命を掛けてタリア様をお守りします!」

「ターガツ!」

ライアが叫ぶ。

「ライア、我が儘を言い過ぎると領民の信頼を無くすぞ」

「……はい」

「それとリャルル、バルナ、ベティ。済まんがライアの顔を立てて明後日のタリアの洗礼の儀式にはベティもタリアの護衛騎士の1人として同行して貰えないか? はぁ……年寄りの中には昔からの仕来りや慣習、伝統に煩い者がまだいるからな」

ターガツはため息交じりに呟いた。

「そうです、私はタリアがその様な者達の目から守りたかっただけです。それでなくともターガツは領主として魔女を重用し過ぎていると噂されているのですから」

ライアはリャルルをチラリと見る。


『お母さん、魔女って言われてるの?』


「その様な戯言を言う者達の言葉など知らぬわ! 俺は信頼出来て有能な者に仕事をさせているだけだ……まぁたまに抜けているところもあるがな。ハハハハハ」

ターガツの笑い声に隠れて誰かが走り寄る足音に誰も気付かなかった。


「有った! これだこれ! リンがあの行商人から貰った羽根飾り!」

ダンが中庭に表れてこの場の空気が固まる。


「え? 領主様? あっ……」

ダンとターガツの目がバッチリと合う。


「…………」

ダンは無言のまま後退りすると踵を返して物凄い速さで走って消えた。


「あれは……リャルルの?」

ターガツがリャルルを見る。

「す、済みません! ダン!」

リャルルはそう叫ぶとダンが消えた方へと走り去る。


「……まぁ、ウフフ。リャルル様ったら」

タリアが口を押さえて苦笑した。


『私……置いてかれた! どうするの! こんな偉い人達が集まってる中には1人で!』



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