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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
余章 白虎の娘
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中心共和町


ユキから聞いた『中心共和町』と言う聞き慣れない言葉に疑問と不安感の様なものが湧き上がった。


「中心共和町?」

「そう。そして……未来のこれから私達の造る国、中心共和国の首都」

「国を造る?」

「タリア様に対してそれは謀反の意志があると言う事か!」

バァーテスがユキに怒鳴り声を上げる。

「落ち着いて下さい。私達は別にタリア様と争うつもりはありませんよ。私達の造る中心共和国は全ての人々を受け容れるものです。白山領もその中の1つと考えて頂ければ……」

「白山領がその中心共和国に参加するとは思えないけど?」

「それはどうでしょう。必ず参加する事になると思いますよ」

「必ず?」

「ええ。私達のトップのピオネが白山領の領主になったらね」

「ピオネって白獅子ピオネ?」

「そうです。ピオネ以外の誰が白山領の次の領主になれるとでも? タリア様が立候補なさいますか?」

「私は……」

私は言葉に詰まってしまう。これまで私自身が領主になれるとも、なろうとも思った事が無いからだ。


「ピオネが領主になったからと言って何でも勝手に出来るとは思わないけど?」

アンが私の代わりに前に出る。

「勝手に?」

「そうよ。私の父や領都の人達は絶対に反対すると思うけど」

「それはどうでしょう。そんな事をすれば白山領だけ周りから取り残されますよ?」

「何? 取り残されるって?」

「魔人国の人族は既にこちら側です。人族の守護使徒様のミカ様も了承しています。それと絵本の国の朱森領も参加が決まっていますよ。魔族と玄海領は交渉中ですが、それも時間の問題。白山領だけ孤立しても良いとお考えですか?」

「いつの間に……」

私はユキの言葉に愕然とした。


『中心共和国に参加しなかったら白山領は孤立する……』


「待ちなさいよ! ピオネが白山領の領主になる事は無いわ!」

アンが叫ぶ。

「何でかな? 私が領主じゃ不満なの?」

町の中心部から白獅子ピオネがこっちに向かって歩いて来た。

「……白獅子の里は脱税しているでしょ!」

「脱税? これは穏やかな話ではないですね。そんな根拠のない話をして大丈夫ですか? こんなに人が集まっているのに?」

私達の周りにはいつの間にか人集りが出来ていた。

「こんなに大きな町が出来ているのに白獅子の里からの税収はそれほど増えていない。これが脱税では無いと説明出来ますか?」

「ムハハ。出来ますよ」

ピオネは余裕の笑みを浮かべる。



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