国境の町は今
私達は白獅子の里で休む事無く国境の町にやって来ていた。
「ここが国境の町……」
私の予想いていた町とは全く違っていた。私は領都と同じくらいに発展した町を想像していたが、国境の町は大きさからしてかなり大きい。それも2倍以上、もしかしたら3倍くらいは大きいかもしれない。
「タリア……国境の町がこんなに大きくなってるって知ってた?」
「いいえ……バァーテスは?」
「私も勿論知りませんよ。タリアの護衛になってから私は領都から殆ど離れていませんから」
「そうでしたね……」
私達3人は町の入口から見える光景に口が開きっ放しなくらい驚いている。
「オイ! 邪魔だ! 田舎者!」
町の入口で立ち止まっていると後ろから来た商人風の男に怒鳴りつけられる。
「い、田舎者……」
『ここは間違いなく白山領の……いや、絵本の国の辺境だったはず』
「タリア、まずは検問所を通って町に入って宿を取りましょう。馬を休ませないと。今日は予定より移動が多かったので」
「そ、そうですね」
「でも確かアイさんが先に来ているのでは?」
「はい。ですが国境の町で待っていると言われているだけで、どこにいるのか……ここに着くまでこんなに広いとは思わなかったので待ち合わせの時と場所を細かく決めていないのです」
「そうですよね。何か……あれはアラシ様のお嬢様では?」
目の前の町の入口の検問所の兵士と話している白狐族の顔に見覚えがある。
「タリア様?」
白狐族の女性が私に気付いた様で私の名前を呼ぶ。
「ユキ様……でしたよね」
「はい。白狐アラシの娘のユキです。お待ちしていました」
「待っていた?」
「ええ。白犬アイさんからタリア様が来ると聞いていました。ですがこんなに早く来るとは思いませんでしたよ」
「それは……道中で魔物と遭わなかったからかもしれませんね。アハハハハ」
「そうですか。魔物……そうですね、今は魔物はかなり山奥にでも行きませんといないですからね」
「コットン商会が街道に魔物を出ないようにしたと聞いていましたが、ここまでとは思いませんでしたよ。旅人にとってこれは大変助かるでしょうね」
「そうでしょう。コットン商会と私達の成果です」
「私達?」
「はい。私達“中心共和町”です」
「中心共和町……?」
私達はユキの放った言葉の意味がいまいち理解出来ていなかった。




