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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
4章 再会と別れ
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エルフの里がある場所


「私も泊まらせてもらって良かったのかな?」

割り振られた部屋に案内される中、ウスノは気まずそうにしている。

「気にする必要はありませんよ。広いだけの屋敷ですし、エリオット様もワインについて語り合える人が来てくれて嬉しそうでした」

私達を案内してくれているメイドの1人がそう言ってくれた。

「それなら良いんですけど……」

「ねえ、一度部屋に荷物を置いたら誰かの部屋に集まらない? リャルルさんが来てからの事を話し合おう。リンは行く所が出来たって言ってたよね?」

「絵本の国に戻って、それから人捜し」

「それも相談しよう」




そうして集まったのは私の部屋。

「何で私の部屋?」

「ここが一番広いから。私達の部屋は客室、でもリンの部屋は……」

確かに私の案内された部屋は広かった。

「多分、死んだ息子の部屋だったのか……それかリャルルの部屋だったのかも」

ペコルにそう言われて改めて部屋の中を見回す。だが綺麗に片付けられているからなのか、それとも百年以上も経つからなのか、前の部屋の持ち主の痕跡は残っていなかった。


「私はカリナのお姉さんを紹介してもらいにカリナのご実家に付いて行くぞ」

ラドウが話し始める。

「となるとぉ私はラドウを連れて実家に帰る事になるのかぁ……勝手に行ってぇ私の紹介だと言ってくれればぁ……」

「そう言う和気にはいかない。正式に結婚を申し込むのだから」

「じゃあ、ラドウとカリナは魅高の町に行くって事ね。次はリン」

キャノが私に話を振る。こう言う場合大体は静かにしているキャノが話を回すのは珍しい。

「私は絵本の国に帰る。そこから……北の玄海領に向かうつもり」

「確か人捜しだよね?」

「うん。多分……使徒」

「使徒か……手掛かりは何かあるの?」

「予想だと亀の獣人に生まれ変わってるはず」

「だから玄海領か……分かった、私はリンの護衛を続ける。だから玄海領にもかかわらず一緒に行くから!」

ペコルがそう宣言する。

「リンとペコルはそれで決まりね。次はフリザ」

「私もリンに付いて行くよ。まだリンの魔法を調べ途中だからね」

「じゃあフリザもリン達と一緒ね。ウスノはどうしたいの? 確か米カラ作られたお酒を探しに来たのよね?」

「ええ、はい。なのでお米の産地だと聞いたここから南に行く予定です。手掛かりがそれくらいしか無いので」

「ねえ、お米ってミカが栽培してるって言ってたよね? それもルシに食べさせるために。それならお母さんと一緒に居れば、その内ミカが訪ねてくるんじゃ……」

「リャルルと?」

「あっ……」

私は口を滑らせてしまった。

「大体の察しはついてるわよぉ。聖人ミカ様がリンにまた会いに来た理由でぇ。リンの近くにいる中で魔王様の生まれ変わりに一番近い人物ぅ」

「まあそうだね。あえて言わなかっただけ」

「そうそう」

「思い返せばあの人は普通じゃないって分かる」

みんな口にはしなかったが仲間達の中ではリャルルが元魔王ルシだって事は暗黙の了解だったようだ。


「リンのお母さんが魔王ルシなの! 凄~」

「魔王ルシって何百年も前の使徒ですよね? 使徒って生まれ変わるんだ……私の知ってる使徒も変わった人だけどリンのお母さんも変わった人?」

今日知り合ったばかりなので若干知らない者もいた。そしてウスノの言葉に思いも寄らない単語が出て来た。

「ウスノも使徒の知り合いがいるの?」

「知り合いでは無いですよ。エルフの中で私はそんなに偉くないですから。何度か見掛けただけです」

「エルフの里にいるって事?」

「エルフの里と言うか……」

ウスノは同じエルフの血を引くフリザとラドウに『助けて』と何かを訴える視線を送るが、2人は何を助けて欲しいのか分からない様だ。

「何? エルフの秘密的な? 気になる! リンの秘密も知ったんだからウスノも秘密を話してよ。交換交換!」

キャノが興味津々にウスノを見詰める。

『交換ってキャノは何も秘密を話してないけど……』

多分みんな心の中でそう思っていたと思う。


「ええと……私が知っているのは青霧領の中心にある天界山に棲んでいるエルフと竜族の守護使徒様です」

「そうなんだ。青霧領にも使徒がいるんだ」

私はそんな単純な感想の様なものを軽はずみに言ってしまう。

「青霧領?」

しかしペコルは『青霧領』と言う言葉に疑問を持った。

「ここの隣の青霧領が何かあるの?」

キャノが何かに引っ掛かりを持ったペコルに聞いた。

「隣の青霧領?」

「そうでしょ? 風大領の隣、西側は青霧領だよ?」

キャノの言葉にカリナも頷く。

「エーぁーアー! ちょっとウスノ、こっちに来て!」

突然フリザがみんなの話を遮る様な不自然な大声を出しウスノを部屋の隅に連れて行く。


「エー! それなら話す前の視線を送った時に止めてくださいよ!」


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