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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
3章 聖人ミカの想い
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ラムメェの野望


ラムメェに案内されたのは大きな倉庫の前、私達は3人で相談して氷魔法を使う事にしたのだった。

結局最後までフリザは『エルフの決まり』を譲らず、氷魔法は私が使う事になった。

しかも馬車の代金は冷蔵車2台か倉庫1つと言っていたが、ペコルとフリザ、それとキャノも加わり話した結果『旅の資金もこの際都合してもらった方がいいのでは?』となってしまう。

あれだけ氷魔法を使う事を渋っていたフリザだったが、氷魔法を使うのが私と決まってからは『旅の資金は多い方が良い』と言いだしペコルとキャノも『そう思う』『そうだね』と賛成した。


こうして私はラムメェに連れられて大きな倉庫の前にいるのだった。

倉庫の隣には準備していたかの様に2台の馬車の荷台部分も置かれている。

他の3人はと言うと『私達は足りない物を買っておくよ』とラムメェからお金を受け取り軽い足取りで買い物に行ってしまっていた。



「じゃあお願い。まず、荷台の方から」

そう言うと私は2台並んだ荷台の前に立たされる。私はその内の1つの中に入る。

『氷魔法に減速魔法を混ぜて……』

私は集中すると魔力を高め荷台の内部に魔法を掛けていく。

パキ……パキパキ……パキパキパキ……

荷台の内部に氷が出来始め壁、天井、床と凍っていく。

パチパチパチ

「凄い!」

ラムメェが手を叩いて喜んでいる。

私は最後にもう一度全体に減速魔法を掛けて終わる。

「本当に全体が冷たい。これがエルフの氷魔法か……凄いよ。それもエルフじゃ無いのにエルフの魔法が使えるのがリンが凄い! ねぇ、もし良ければコットン商会に入社しない? これだけの魔法が使えれば大金持ちになれる事間違いなしだよ?」

「いや……考えておくよ。今は両親と弟に会いに行かないと。その後の話はそれからだから。今は何とも言えないし、私まだ2歳だよ? こう言うのって親の許可とかいるんじゃない?」

「そうだね。リャルルさんももし同じ魔法が使えるならリャルルさんも雇うって伝えて」

「それは無事に再会してからだから」

「そうだね、ごめんごめん。じゃあ次頼める?」

そう言ってもう一台の荷台に入った。

『同じ様に氷魔法と減速魔法を……』

もう一台の荷台にも無事に魔法を掛け終わる。

「良いですね。この調子で倉庫もお願いします」


ラムメェに案内されて入った倉庫は私の想像より遙かに広くて大きい物だった。

「ここ全部を魔法で凍らせるの?」

「そうです。無理そうですか?」

「いや、出来るとは思うけど……」

私は手を上に上げるとまず始めに天井から魔法を掛けようとした。

「待って。あの、凍らせる前に少し相談があるんだけど」

「相談?」

私は一度手を下ろしラムメェを見る。

「倉庫を凍らせる時に温度を場所によって変えたり出来る?」

「温度を変える?」

「そう。例えば奥の方の温度を低くするとか。右側は常温の状態のままにするとか」

「どうかな……出来るか分からないけど試しにやってみようか?」

「うん。お願い」

私は倉庫の奧へと移動しさっきより強く魔力を込める。


『氷魔法を強く……減速魔法は同じ強さで! …………変わらない?』

魔力を多く込め氷魔法を使ったが荷台を凍らせた時と温度は変わらない様に思える。

「無理だった……」

「そう。良いよ良いよ。無理を言っただけだから」

「うん。でも常温の部分は土魔法で囲いとかを造れば出来ると思うから」

「そう。それなら入口近くの右側は常温のままにして。大体倉庫全体の6分の1くらいの大きさで」

「分かったよ」




30分後。

「フゥ……」

倉庫の冷蔵化をやり遂げた私は一息ついていた。


「リン、お疲れ様」

そう言ってラムメェが果実水を渡してくれる。

「美味しい!」

この世界に来て初めてジュースを飲んでその味に驚いてしまう。

「美味しいでしょ。これはコットン商会自慢の朱森領産の果物の果実水をリンに造ってもらった冷蔵車の中で冷やした物だよ」

「うん、最高に美味しい」

「だよね。ここまで朱森領産の果物を運ぶのは大変なのよ。でもこれからはリンの造ってくれた冷蔵車があるからもっと沢山の果物が運べる」

「これは? これも朱森領産の果物だよね? 今まではどうしてたの?」

「今までは昔……今から百年くらい前に助けたエルフがくれた箱があって、それがリンの使ったのと同じ氷魔法の冷蔵箱で運んでたんだよ。だからそれに入るだけしか運べなかった。でも今はコットン商会に前にフリザが造ってくれた冷蔵車も有るし、これからはリンが造ってくれた2台分の冷蔵車も有る。そしてここにこんな大きな冷蔵倉庫も出来た! これでこの町を世界の流通の中心地に出来る! ねえ、だから私にはリンが必要なのよ! リン、私と手を組んでコットン商会を乗っ取って一緒に世界の流通を牛耳ろう!」

「ハハ……ハハハハ……」


『聞かなかった事にしておこう……』

私はこの時、笑って誤魔化したがラムメェの恐ろしい計画を聞いた気がしたのだった。



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