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カリナ


「アナタは未来の魔人族の希望の一人。人族と魔族がまた1つになるための……」

物心が付いた頃から母から言われ続けた言葉。


母は人族と思われていたが純粋な人族とも違う勇者ミールの末裔。

人族だが魔力持ち、しかし魔法は使えない特殊な存在の一人。

たまに魔力を少し持って生まれる人族もいるが母の魔力量はかなり多いらしい。

その魔力で魔法道具を使い私の父になる魔貴族を襲った。


襲ったと言っても殺した訳では無い。襲って子供を作ったのだ。それが私の姉。


最初、母はメイドとして高魅の屋敷に潜入。しばらく出来るメイドとして信用を勝ち取り周りの人から信頼できると思わせて、ある夜に魔法道具を使って当主の魔法を封じ襲い掛かった。


魔族はその寿命の長さからあまり子孫を残す事に積極的では無い。性欲もかなり少ないと言うか殆ど無いに等しい。

しかし魔族の中でも魔貴族と呼ばれる四大魔貴族と三高魔貴族には歴代の魔貴族の魔力を子孫に伝え高めていくと言う使命がある。

なので魔貴族には必ず子供を複数人作る義務があった。


だから私の父、高魅の魔貴族家の当主にも婚約者となる決まった人がいたらしい。

前の高魅家当主だった私の祖父にあたる人物は母がメイドになってしばらくして原因不明の病で衰弱死してしまっていて、父は当主を継いだばかり。婚約者との結婚も急がれていた。

そこに私の母が起こした事件。

父の婚約は破談になり母は子供を産む。

母が人族だと名乗っていたために父と母は正式に結婚はしなかったが、母は高魅家の時期当主の母親と言う立場になった。

そして私は姉に何かあった時のための予備として生を受ける。


私が生まれた時、姉は首都のあるルシミカの魔族の学校に行っていたが、その姉が心を壊し屋敷に帰って来てそのまま部屋に引き籠もってしまう。

魔族の学校には人族ハーフで魔法の使えない姉の居場所は無かった。


姉には確かに魔力はあった。しかし魔力が有るだけでは魔法は使えない。特に私の家、高魅家は魔貴族の中でも特殊な家系。魅了や魅惑などの精神に作用する魔法が得意な血筋。姉も精神作用系の魔法の資質はある。だが資質はあってそれを上手くコントロール出来なかった。上手く使えば相手を思う通り誘導したり出来るはずだが、慣れない生活による姉の心の不安に反応した魔力が周りの人達に作用し姉に対してマイナスな印象を与えたのだった。更にその周りの人達のマイナスな感情が反作用し姉の心を落ち込ませる。

元々高魅家の魔族は心が不安定傾向だと言われている。それは相手の精神に干渉するのと同時に自分の心にも少なからず魔法を使った相手の心の影響が反作用するためだ。

こうして姉は睡眠も食事も取れなくなり高魅の屋敷に帰された。


「高魅の魔力を継ぐのはカリナしかいないのよ。アナタは未来の魔人族の希望の一人。人族と魔族がまた1つになるための選ばれた存在」

母は生まれたばかりの私にそう言い続けた。

父はそんな私や姉、母とは関わらない様に自室に籠もり魔法の研究に没頭していた。


父の研究は私に思わぬ贈り物を与える。

それは偶然だったのか姉の事があって私に同じ想いをさせない様にだったのか、それは分からない。父は自分の心の内を誰にも語らないし、魔力を完璧にコントロールして親戚の魅魔法使い達にも誰にも心を読ませなかったからだ。


父の造った魔法道具。それは魔力を込めるだけで魅魔法を使える魔法道具。魅魔法の得意な父には必要の無い魔法道具。


15歳になった私はその父の造った魔法道具持って姉の通えなくなった魔族の学校に向かう。

入学当初は純粋な魔族では無い私に忌避感を持っていたクラスメイトも父の造った魔法道具に魔力を込めて私に好印象を持つ様に魔法を使うと、途端に私はクラスの人気者の様になった。


5年間の学校生活はとても楽しいものだった。

自分の部屋にいる間以外はずっと魔法道具を使い続けた事により、普通に魔法の使えない私にみんなが親切に手を貸してくれる。

そうしている内に私の体に変化が起こった。

元は黒かった私の右目がピンク色になったのだ。ピンクの瞳は高魅家の印。私は魔法道具が無くても魅魔法が使えるようになった。

これによりますます魅魔法の効果が上がる。テストは常に満点。魔法実技も魅惑魔法の幻惑で不正をしトップの成績。

そうなると卒業した後の進路も変わってくる。卒業したら実家のある魅高領に帰り父に付いて領主になる勉強をするつもりだったが、私は生まれて初めて自分の心を動かされる物と出会う。それは飛行艇。


5年生のある時、突然の出会い。

運命の様に心が躍った。空が飛べる。

他の魔族は風魔法の技術を高めれば空も飛べる。だが見せかけの魔法のカリナは試験で風魔法を使っている様に見せても実際は使えていない。なので空は飛べない。

『でも飛行艇を使えば!』

そして飛行艇に乗るためだけに軍に志願する。

飛行艇の操縦は軍でしか習えない。


軍への入隊は見せかけでも成績も魔法技能も満点のカリナには簡単。

入隊して直ぐに同期で一番になり飛行艇訓練を開始したがそこで躓く。見せかけの魔法では上手く飛行艇は動かせなかった。

それがまたカリナの運命を変える。飛行艇の操縦訓練で砂漠地帯と鉱山地帯の間のどこの町からも外れた場所に墜落ししまったのだ。


気を失って次に目を覚ました時、目の前に思いもよらない人物がいた。『聖人様』。何百年も姿を隠していた聖人ミカが目の前にいた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 2章まで読ませて頂きました(*'ω'*) リンの目線を通してこの世界の事が伝わってきて物語に浸れました。 リン、リャルル、ダン、ダルすごくいい家族ですね。 リャルルの正体には驚きました…!…
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