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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
2章 私が跡取り?
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飛行艇


カリナの飛行艇に乗った私達4人、私リン、ペコル、フリザ、キャノ。


「出行ぅ!」

カリナの声と共に飛行艇が浮かび上がり窓の外の景色が凄い速さで流れて行く。


「飛行艇っていう凄い乗り物だね! これだと国境の町まで直ぐだ!」

私は興奮してペコルとフリザに話し掛ける。

「そうだけど……落ちたりしないよな?」

ペコルは不安そうにフリザの腕を握っていた。

「大丈夫。落ちない落ちない。もし落ちたとしても2人も風魔法が使えるんだから。リンもしもの時は私が指示を出すからペコル達を抱えて飛行艇を脱出したら下に風魔法を全力で放ってね」

「う…ん……」

『フリザも不安なんじゃん!』


私達3人が不安な気持ちになっている時、キャノは1人楽しそうに浮かれていた。

「空飛んでるよ! ねぇ見て見て! 遠くまでよく見える! 大風様の屋敷も、この辺りで一番大きい風大の町もあんなに小さく見える! あれは……エルフの森かな? 霧に包まれてよく見えないけど!」

エリオットの屋敷大風家のある風大の町から少し離れた場所に停められていた飛行艇は今さっきいた町を通り過ぎる。そして遠くに青い霧に包まれた森林地帯が見えていた。

「ねえキャノ、あの霧に包まれた森林地帯がエルフの森なの?」

「そうよ」

「ねえフリザ、本当?」

「…………」

「ねぇ? 聞こえてる?」

「…………」

「もしかして知らないの? フリザのお父さんは絵本の国のエルフだったから」

「……そうかもね」

「そうなんだ。同じエルフの親戚なのかな? 2つの国の端と端とに……」

私はここで前世の地球を思い出す。

『あれ? 待てよ……この世界も丸い? そうだとすると……あの霧に包まれた森林地帯のエルフと絵本の国の青霧領のエルフは同じエルフ? この世界を一周回ってあの先に絵本の国があるんじゃ……』


「ねえフリザ! あの霧に包まれた森林地帯……」

「リン! 黙って! いくら使徒様でもエルフ森の秘密は話せない。分かるでしょ!」

「あぁ……うん、そうだね。話せない事もあるよね……あれ? でもそうなるとフリザのお父さんは何で直接……」

「リン! だからそれ以上……口を閉じてて!」

「何々? 何を怒ってるのフリザ」

「何でもない。ペコルは知らなくていい事。エルフの禁忌の話。ペコルが知ったら私はペコルを殺すかエルフの森の牢屋に一生入れないといけなくなる」

「そんなに! リン! 口を閉じて!」

そう言ってペコルは自分の長い耳を押さえてパタンと倒した。


「私は聞きたいなぁ~。エルフの禁忌の秘密ぅ」

操縦桿を握るカリナが笑いながらそう呟いた。










☆約数日前。


「後で相談があるから。白獅子の別宅に行くね」

「分かった。待ってる。ユキとラムメェも来るはずだから3人で待ってるよ」


ペコルとピオネが馬車の荷台の後ろでそんな話をしている頃、私はキャノに話し掛けられていた。


「ねえ、私の家に来なよ。広いよ。ほら私、カール大将軍の子孫だからお金持ち。食事も出すしベッドもふかふか。ねえ、私の家に泊まっちゃいなよ」

「でも、お母さんとお父さんが宿を取りに行ったから……」

「キャンセルキャンセル! そんな宿なんてキャンセル!」

「勝手に決められない……」

私が困っているとフリザが助け船を出してくれる。

「そうだよ。リャルルさん達が戻ってからって、それより何でそんなに私達を家に呼びたいの?」

「え? 別にアナタは呼んでないわよ?」

「何それ!」

「私はリンちゃんとリャルルさんを我が家に招待したいの」

「だからそれは何で?」

「だって、リャルルさんってミカ国から絵本の国に移り住んで行って活躍してるのよ! 憧れよ! 私はミカ国から出て周りが獣人だけの中で上手くやっていける自信がしない。この町でも人族や魔族と獣人達との揉め事が多いのに。旅をしてきたエルフなら分かるでしょ?」

「まあ少しは……確かに人族や魔族は暮らし辛いかも。エルフの私でも……」


『キャノは私じゃなくリャルルと話したいのね』

私がそう思っているとピオネはペコルとの話を終えてどこかへ行ってしまう。

そしてペコルもフリザとキャノの遣り取りを黙って私の隣に座り退屈そうに聞いていた。

いつの間にかキャノも馬車の荷台に上がって来て、両端の椅子の様になった部分に私達4人は右側に私とペコル、左側にフリザとキャノが座っている。


『早くリャルル達戻って来ないかな……』

ボーッとフリザとキャノの話を聞いていると御者台に人影が見えた。

『ダン……じゃない……誰? 青い制服?』

見知らぬ青い制服姿の女性が振り返る。その右目には赤い眼帯。


「どうもぉ~。皆さんを私の飛行艇にぃ~ご招待ぃ~」

そう言うと右目の眼帯を上に上げた。


キランと眼帯の下に隠れていたピンクの瞳が煌めき私の意識は途絶えた。



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