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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
1章 私は何者?
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秘密と嘘


「ただいま~リャルルさん元気だったわよ」

パラルの明るい声が聞こえた。


「パラル姉さんリンちゃんがあの秘密を知ってるの!」

「あの秘密?」

「白兎族と白犀族が白鯨族と白蝙蝠族の領主選定5種族家を奪った事! リンちゃん、鯨族や蝙蝠族を知ってるの!」

「いや……まさか……」

「いやいや待って待って! 私、そんな秘密なんて知らない!」

私はピョコルの思い寄らない話と、それによって本当に秘密を知ってしまった事の驚きにどうするのが正解なのかな分からなくなっていた。


「ピョコル? 自分から秘密を漏らしてリンちゃんを悪者にするのは違わない?」

「アッ!」

ピョコルはそれまで私の肩を掴んでいた手を口に当てる。


「でもパラル姉さん、ピョコル姉さんが言った通りリンちゃんが鯨族や蝙蝠族を知っていたのは事実だよ。本当は秘密を知っていて惚けてるだけかもしれない」

「リンちゃん? 何で鯨族や蝙蝠族を知ってるの?」

「ええと……家に……図鑑が有って、それで鯨や蝙蝠がいるのは知ってて……『鯨や蝙蝠がいるなら鯨の獣人や蝙蝠の獣人もいるのかな?』って思って……」

「うーん。それなら明日リャルルさんに聞いてリンちゃんのお家に行ってもいいかな? その鯨や蝙蝠が書いてある本を私達にも見せて?」

「あ、ああ……」

『しまったそう来たか!』


「リンちゃん?」

「リンちゃん?」

白兎3姉妹に囲まれペコルに腕を捕まれて魔法で体を強化しても身動きが取れない。


「嘘でしょう! リンちゃんってまだ2歳だよね! なんて力……腕を押さえてるだけで精一杯!」

「リンちゃん、やましい事が無ければそんな抵抗する必要は無いはずよ?」

「……違うんです! 私が鯨や蝙蝠を知ってるのは……私が使徒だからです! 使徒なので知ってただけです!」

思わず自分を使徒だと嘘を言ってしまう。


「……使徒?」

「リンちゃんが使徒様?」

「使徒様!」

それまで強い力で私の腕を押さえていたペコルの手が離れた。

「それじゃ図鑑って言ってたのって……もしかして使徒様の絵本?」

「……そうです」

『そうだ! 使徒だと絵本を持ってるんだった!』

ピョコルの言葉に乗っかって思わずまた適当な嘘を吐いてしまう。


「失礼しました! 使徒様に手荒なまねを!」

ペコルが床に額を付ける様に頭を下げる。

「そうだ大変な事を!」

ピョコルも同じ様に頭を下げた。


「報告……報告し無いと! 誰に……ターガツ様……リン様はもしかしてターガツ様を?」

パラルの私の呼び方が様付けに代わってしまう。


『どうしようこれはさらにマズい! ピョコルが使徒様は資格のない領主を殺しに来るって言ってたんだった!』


「ターガツ様に報告し無いとするとゴウケン将軍! ゴウケン将軍にリン様が絵本の使徒様だと教えればダンさんの殺人容疑もリャルルさんの監視も解かれる! ゴウケン将軍はターガツ様を領主から下ろしてリャルルさんをターガツ様の側近から外したいのだからターガツ様が殺されれば……でもリン様のお母様はリャルルさんですし……」

3人の視線が私に集まる。

「私……」


『どうしよう。リャルルは秘書兼護衛をしているくらいだからターガツが領主に相応しいと思ってるんだろうね。でも使徒の使命は領主を殺す事……あれ? タリアが絵本からの声を聞いてターガツが使徒が近くにいて猫だと知って私とダンが呼ばれたのは……もしかして殺される前に使徒を殺すつもりだったのか? ダンを捕まえさせたのはゴウケン将軍じゃ無くて領主のターガツの可能性もある? 待って、そもそも使徒様の使命って領主を殺す事? 歴代の使命の中でその使命を受けた使徒様はどのくらいいたのかな? 別の使命とかない? 私は使徒じゃないから使命なんて伝えられてないし分からない?』

目を上げると3人は私をジッと見て黙っている。


「私はリャルル……お母さんと話したい!」

「分かりました。外はもう暗いので私が病院まで護衛をします」

ペコルが自室に行きコートを羽織って来る。

「病院なら私も行った方が良いわね。リャルルから貰ってきたお乳はピョコルに預けるからダルちゃんが起きたら飲ませてあげて」

パラルはピョコルにリャルルのお乳が入った袋を渡す。

「分かったわ。ダルちゃんは私が見てるから2人にリンは様任せたわよ」

ピョコルは私には少し大きいコートを羽織らせた。


「リン様、準備は良い?」

「はい」

私は少し多めのコートに包まれペコルに抱き抱えるられる。

「え?」

「私達はコートで顔を隠して病院に向かいます。リン様は病気の子供のフリをして下さい」

「なるほど」

私は大人しくペコルに抱えられ白兎家を出た。


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