ルーフの休暇願い
ルーフとオルエはこれまでのアダルに関する事をカウヨに説明した。
「お休みですか…………良いですよ。ツキ様には私から伝えておきます。でも、1人で行くのかしら?」
「私も……」
「うーん……2人一辺に休むのは困るわ」
「オルエ、私1人で大丈夫だ。こう見えて私は朱森領の武家の一族なんだぞ」
「それは知ってる。だが、相手は蝙蝠族なんだろ? その蝙蝠族がどんな奴かは知らないけど、私と同じなら……」
「掃除屋の可能性があるね」
オルエの言葉に被せる様にそれまで黙っていたコヨがそう言った。
「……蝙蝠族は朱森領でもあまり他の者達と交流がある種族では無いからね。能力は分からないから警戒しておく必要はあるわね。私も何度か朱森領の情報を調べた事があるけど、蝙蝠族に関しては本当に情報が少ないわ」
「心配要りませんよカウヨさん。相手は1人、私が後れを取られるはずがない」
「まあそうね。それにまだアダルが攫われたかどうか分からないのですものね。無事ならそれで良いのですし、良ければ私達の組織で保護しますよ」
「ありがとうございます。では直ぐに出発します」
「あっ待って、この子を連れて行きなさい」
そう言ってカウヨはアンの背中を押す。
「白犬の獣人ですか?」
「そう私の従妹。鼻も利くし頭も良いですよ。勿論、騎士の家系なので戦闘の心得もあるわよ」
アンはカウヨがそう自分の事を説明しているのを驚いているのか何の言葉も発せず黙っている。
「それはダメです! アンは私の使節団の一員。責任者の私が許しません」
私は思わずアンが取られてしまった様な感情になり私とカウヨの間の席から私とベァーテスの間の方へと腕を引っ張る。
「……アンはどうしたいの? まだ迷っている? 私の組織に入るんじゃないの?」
「私は……」
アンは困った顔をしていた。
「白山領にいたらいつまで経っても父親の…ゴウケンの言いなりのままよ? それで本当に良いの? 領主の娘のその子では助けられないわよ? その子も結局言いなりなのだから」
アンは私の顔をジッと見る。
「はい……」
『はい? はいって何の返事?』
「タリア、済みません。私はここで使節団を辞めさせてもらいます」
アンは私に向かって頭を下げる。
「どうして……?」




