他領の領主の決め方
「ムフー……ムフー……お代わり!」
ベァーテスは鼻息を荒く団子を頬張る。
「2人話は分かりました。ですが私達の領主の決め方が良いのか朱南領の領主を生まれさせる方が良いのか玄海領の1つの家系の最初の子供にするのが良いのか、どの方法が正しいとか優れているとかはあるのでしょうか?」
「朱南領の領主がどう生まれるのか知った風な事を……」
「私も領主の娘ですから他領の事も勉強していますよ。朱南領の領主は特別な2つの一族に別の強い家系の者と結婚させ、その子供達を同士の子供を領主としているのですよね?」
「そうだ」
「なので望まない結婚を強要される事が往々にしてあるのでしょう? もしかして貴女もそれが嫌で朱南領を出たのでは?」
「…………」
ルーフは私の言葉に黙ってしまう。どうやら図星だった様だ。
「多分、アダルは凰家に婿入りするのが嫌で朱南領を出たのですよね? ルーフは鳳に?」
「アダルに聞いていたのか……」
「いえ、これは私の想像ですよ。有力な赤鷲家の者がわざわざ朱南領を出てまで冒険者になって、今はその冒険者を辞めて故郷を離れ鳥料理の店をしているとは一般的に考え辛い。私なら家族や友達に食べさせたくて故郷で料理を広めると思いますから」
「それは違うと思うけど? アダルに直接聞いた訳じゃ無いから本当のところは分からない。でも、違うと思う! 私は絶対に朱南領に連れ戻されないように秘密組織に入ったんだから! その誘いを断ったアダルは本当にあそこで料理をしたかったんだ!」
ルーフはそう言い切る。
「…………」
「…………」
私とベァーテスはルーフの強い言葉に圧倒されてしまって何も言葉を言い返せなかった。
「まあまあ落ち着いてルーフ。白山領の甘ちゃんには分からないよ」
オルエの言葉に一度静まり掛けたベァーテスの顔色がまた怒りの表情になってしまう。
「貴女は全く領主の争いとは関係無いですよね? それこそ何も分からないでしょう。私やその方やアダルの気持ちなんて!」
私は語気が少し強くなってしまった。
「そうかもね。白山領に住んでいる事が当たり前の苦労の無さそうな育ちの白毛にはね! 赤毛のアンタなら分かるよね?」
オルエはそう言ってベァーテスに視線を向ける。急に話を振られベァーテスの顔は怒りから困惑の表情に変わった。
「…………」
確かに白山領では白毛の者が優遇されている。そして逆に他の毛色でしかも女性のベァーテスには私の想像よりはるかに苦労して騎士になったのだろう事は分かる。
「黙ちゃった? 私の言った通り白毛のお嬢さんは世間知らずって事だよね」
そう話すオルエに私は睨まれたのだった。




