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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
余章 白虎の娘
136/151

新たに2人の獣人


「領主の娘が魔王城の前で何をしているのかしら?」

ニヤリと笑いながらコヨが私の顔を覗き込む。

「ええと……そうだ! 使節団で、私達は白山領の使節団で魔人国を友好関係を築くために回っていて」

「ふーん。使節団……それならアポを取っているのかしら?」

「アポ?」

「誰かと会う約束はしてあるの?」

「いや……それはまだ……これから?」

「誰? もしかしてそっちの赤い熊が口にしたツキ様?」

コヨはベァーテスがツキの名前を言ったのを聞いていた様だった。

「ええと……そうかな? 一番偉い人でしょ?」

「フフ。ツキ様が? 少し違うんじゃないかな? ねぇ? 貴女は魔族でしょ? それも元魔族軍にいた」

クオの後ろには魔王城の入口から私達を追い掛けていた兵士がいて、コヨに何か表情で何かを伝えている様だった。

『挟まれた……逃げられそうに無いかも……』

そう考えているとコヨの後ろからまた別の獣人達が歩いて来るのが見えた。


「コヨ、カウヨさんに呼ばれてるんでしょ?」

「そうなんだけど、怪しい獣人がいたから。白山領の領主の娘らしいんだけど」

「へぇー」

黒見た事の無い獣人が私に顔を近付けて来る。

「あの……私は白山領の使節団で……そうだ、カウヨ…カウヨさんの従妹のアンが今……」

「ふーん。私達の仲間になりに来たのか」

「いや……仲間になりたい訳では……友好関係を……」

「カウヨさんと?……ルーフはどう思う」

そう呼び掛けられたのは領境の町で会った赤鷲アダルと似た姿の女性だった。

「どうって言われてもね……カウヨさんに話してみないと、コヨは早くカウヨさんの所に行きな。この2人の獣人の事も伝えておいて。本当に従妹が会いに来ているかも確かめてね」

「うん」

そう返事をするとコヨは私達を置いて魔王城へと走って行った。


「じゃあアンタ達はお姉さんとお茶でもしてコヨが帰って来るのを待とうか?」

そう言って私達の腕を掴むと魔王城から少し離れた店へと連れて行く。




「それで? 何飲む?」

席に座った赤鳥の獣人は私とベァーテスの前にメニューを開く。

「……お茶で」

「私も……」

「お茶と団子のセット4つね」

私の隣には赤い鳥の獣人、ベァーテスの隣には黒い魚の様な獣人が座っている。

クオは魔王城の前で魔王城の入口の前から私達を追い掛けて来ていた顔見知りらしい兵士に連れて行かれていた。



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