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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
余章 白虎の娘
132/151

3人の昔話


ユズの表情と仕草に私とアンはドキッとしてしまう。


「何々? 知り合い? 一緒に飲もう!」

シエルの目がこっちを捉える。

「ええと……聞きたい事があって……」

「聞きたい事? 何々? 私で分かるかな?」

「いや……あの……ユズさんに」

アンはシエルの圧とユズの妖艶さに言葉が辿々しくなっ

てしまっていた。


「アンの……彼女の従姉がこの町にいるのですが、どこに行けば会えるのか知りたくて……この店で聞けば分かると言われていまして」

「その子の従姉ぉ? その耳ぃ……カウヨかしらぁ?」

「そうですカウヨです!」

「あぁ……“ナ”のぉ」

「ナに入ったの!」

シエルが驚いた声を出す。

「彼女の従姉がねぇ」

「何か良くない組織なんですか?」

「良くないと言うかぁ……私達とは合わなかったかなぁ……ツキ様とねぇ……」

「ツキ様?」

「そぅ、闇黄ツキ様ぁ。秘密組織ナの実質的な指導者ぁ」

「名目上は別の人なんだけど、絶対にあの人の言う事が最優先になるでしょ?」

「私は別に嫌じゃ無かった」

「ソルン? そうだったの? じゃあ何で一緒に辞めた?」

「みんなが辞めたから」

「別に辞めなくても……」

「……ソルンの気持ちぃ私は分かる気がするぅ……かなぁ。私もツキ様と意見の合わない事はあったけどぉ……嫌いってまでではなかったかもぉ……シエル達はきらいだったでしょぉ?」

「うん……私は嫌いって言うか嫌だった」

「それ同じ」

「同じだよぉ」

シエルの言葉にソルンとユズがそう返す。

「え! そうかな? 私の中では違うけど。アクヨは嫌いだったみたいだけど、ラコアは私と同じで嫌だったよ」

「嫌いと嫌の違いが私には分からなぃ」

「嫌いはずっとで嫌はその時の気持ちかな? まあそんな感じだよ?」

「じゃあ私は嫌」

「そうだねぇ。私も嫌だったかなぁ? 良いと思う事もあったけどぉ、嫌だと思う事が増えてきてぇ私は辞めたんだよぉ」

「私も同じだな。考え方が合わない時が増えたんだよね」

「アクヨは最初から嫌いって言ってたけどねぇ」

「ツキ様がミカ様を批判していたから」

「そうだったぁ……アクヨはミカ様に育てられたからねぇ。まぁツキ様の気持ちも分かるんだよねぇ、ルシ様が殺されたのはミカ様のせいって部分もあるからぁ……」

「それアクヨの前で言っちゃダメなやつ」

「分かってるぅ」


「あの……それで、カウヨは……?」

3人が昔話で盛り上がり私達の事を忘れている様なので、私はもう一度ユズにカウヨの事を聞く。

「あぁごめんぅん。カウヨねぇ。カウヨは秘密組織ナの重要人物だからなぁ……」

ユズは少し困った顔になる。




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