カウヨの情報
「私が魔族の料理人ユズに出会った頃、ルーフはある魔族軍の幹部に出会っていました。それが秘密組織ナの総帥の育ての親、闇黄ツキでした」
アダルの口から聞き覚えのある名前が出る。
「闇黄ツキ? それってどこかで聞いた名前……」
「チュチュの母親だったかと思います」
「母親? 闇黄ツキには子供はいなかった様な……」
アダルはベァーテスの答えに疑問の表情を浮かべた。
「長寿の魔族なのですから昔に産んだ子供とかなのではないですかね?」
「アンさんの言う通り、そうなのかもしれませんね」
私達獣人族は魔族の事がまだよく分かっていないのだと思うのだった。
「それで……話が逸れてしまいましたが、ルーフは闇黄ツキに誘われる形で秘密組織ナに入ると決めたのです」
「アダルは誘われなかったの?」
「女性だけの組織を造るらしくて、私は入れないと言われてしまいました」
「女性だけの組織……アンの従姉は……どこで勧誘されたのですかね?」
「従姉?」
アダルはそう言ってアンを凝視した。
「何か?」
「もしかして桃色の毛色の犬族! その方はカウヨと言う名前では?」
「そうです! 知っているのですか?」
「ルーフから名前を聞いた事が……桃犬カウヨと言う仲間が出来たと。秘密組織ナには獣人族は珍しいらしくルーフの他に2人しかいないと聞いていて、その一人が確か桃犬カウヨだったと」
「それ! それ私の従姉! カウヨとどこに行ったら会える?」
「そこまでは分かりません」
「え? でも、鳥料理の店で聞けば分かるって……ここ鳥料理の店だよね?」
「まあそうですね」
「じゃあここじゃない! カウヨに会うにはどうしたらいいの?」
アンは椅子から立ち上がるとアダルに詰め寄る。
「待って下さい! 鳥料理の店は他にもあります。どこか他の店では?」
「他の店?……それなら首都エルの鳥料理の店の場所知っている限り教えて!」
「首都エルの? あの……ここはまだ首都エルではありませんよ?」
「え?……あっ!」
アンは恥ずかしそうに椅子に座った。
「でももしかしたら私の鳥料理の先生のユズの店がその店かも……先生も闇黄ツキとは知り合いなので」
「それはどこ?」
「首都エルの南区画ですよ」
「ありがとう……念のために他にも鳥料理の店を教えて?」
アンはそう言ってアダルから数件の鳥料理の店を聞いてメモしていた。




