釈放
「出て良いぞ」
地下の薄暗い部屋の扉が開き検問所の職員がそう言った。
検問所の外は夕暮れ時のオレンジ色の空。
『私達……丸一日ずっと地下に閉じ込められてたの?』
昨日、検問所の地下に連れて行かれたのは日が落ちてからだった。
「疑いが晴れたのでしょうか?」
ベァーテスの疑問と同じ事は私も思っていた。
「疑いって、疑われる事は何もしてないでしょ」
そう言って声を掛けて来たのはクオだった。
「クオ!」
「何で私達を置いて1人で逃げたの!」
「別に逃げた訳じゃない……全員で捕まったら無実を訴えて早く検問所を抜けらら無かっでしょ?」
クオはそう言って説明してくれた。
クオは私達の馬車を飛び降りた後、元魔族軍の経歴を生かして検問所を抜け歩いて知り合いの所に行っていたらしい。
その知り合いは誰なのか聞いてはみたが、「内緒」とはぐらかされただけだった。
それでもなんとか無事に旅を続けられそうで私は少しホッとしている。
「あーっ、やっと真面な宿で真面なベッドで寝られる!」
アンは背筋を伸ばす様に伸びをすると町に向かって歩き出す。
「私は早く食事がしたいですよ。検問所では昨日の夜に一回と今日も多分……昼頃に一回しか食事が出なくてそれも量も少ししか食べさせてもらえなかったんですから」
ベァーテスがそうぼやきながらアンに続く。
「そう言えば馬車は?」
「馬車なら私が今日泊まる宿に停めておきましたよ」
「宿取ってくれてるの?」
「ええ、少し良い宿ですよ。期待していてください。フフフ」
クオはそう言って宿に向かいながら町中を案内してくれた。
「もう直ぐ宿ですが途中で何か食べましょうか?」
ベァーテスの食べ物屋を見る目にクオがそう提案する。
「良いですか?」
ベァーテスは私に許可を求める様に聞いた。
「食べようか、私もお腹空いてるし……」
「それなら私のお勧めの店に寄って行きましょう」
そう言ってクオが案内したのは一軒の店だった。
「いらっしゃい!」
私達にそう言ったのは明らかに鳥の獣人だった。
「こんな場所で獣人族が働いている?」
「フフフ、驚きました?」
クオは私達が驚いた顔をしたのを見て嬉しそうに笑った。




