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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
余章 白虎の娘
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逃げ出す様にマチを出て……


私達はまだ住民が起き出す前に領主館を後にした。

それでも数人には私達の乗る馬車が朝早く土大の町を出て行くところを見られている。


「こんな逃げ出す様に町を出る方が怪しまれないかな?」

「そんな……ではあのまま館にいた方がよかったですか?」

「そうは言ってないけど……」

「今更戻る訳にはいきませんよ。『犯人は現場に戻る』と言いますから」

「ベァーテス、それ私達が戻ったら犯人みたいって?」

「一般的に昔から言われていると言う話ですよ」

「それ私も聞いた事あるけど……クオはどう思ってるの? やっぱり殺人? それとも事故? 病気?」

「なぜそれを私に聞きます?」

「いや……魔族の考え方はどんな感じかなって言う思って。一般的な魔族にはやっぱり獣人族が怪しいと思われるのかな?」

「そう考えた方が安心でしょうね。自分と近い者が犯人だって言われるより、自分と関係の無い者が犯人だったと言われる方が納得しやすいでしょ? だからタリア達は今回のスケープゴートには打って付けだとも言えるんじゃないかな?」

「なのにチョチョは私達を逃がしてくれたの?」

「それはどうですかね……『朝早く急いで出て行っていなくなった』って言われたり、『疑われたら逃げる様に出て行った』と言われたりしているかもしれませんよ? フフフ」

「待ってよ! そんな事言われたら私達完全に犯人じゃん!」

アンがクオに怒った感じで言う。

「あくまでチョチョ達がタリア達を犯人にするならと言う話ですよ。多分チョチョはそんな事はしませんよ」

「何でそう言い切れる?」

「それはチョチョも容疑者の1人だからですよ。それも一番有力なね」

「私達より?」

「それはそうでしょう。突然訪ねて来た見ず知らずの獣人族が領主を殺すって考えます? 私ならそうは考えないと思いますよ。多分殆どの魔族も。それよりは恨みのある者が怪しいと思うと思うけど……」

クオは少し含みのある言い方をした。


「それってチョチョは自分は祖父を恨んでたの?」

「どうでしょうかね……チョチョは恨んでいるとは誰にも言って無いと思いますけど、アーガン様との繋がりから考えると……ね?」

「何があるの?」

「フフフ。秘密です」

そう言ってクオは何も教えてくれなかった。


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