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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
余章 白虎の娘
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立場が上の者には反対の意見が言いにくい


ベァーテスから白山領での白毛族の特権意識の様な振る舞いがあると聞いて私は思い当たる事を思い浮かべていた。

『確かに私も感じる部分はあった。領主の側近にもやはり白毛の者が多いし、今までの領主も騎士の将軍も白毛族がなっている。他の毛色の者が重職に就く事は無かった。領主は仕方ないところもある。それは抑も領主になるための候補の時点でそうだからだし、決める者達も白毛族だけ。優遇はされている』


「それは常識的に有りますね」

アンは当たり前の様に呟く。

「おかしいとは思わないでしょ?」

「そうだね。おかしいとは思ってないよね」

「それがタリアやアンが白毛族だからです。私の様に白毛では無い者からすると白毛族には壁を感じてしまいます」

ベァーテスの白山領での言動に私は確かな見えない壁をずっと感じていたかもしれない。それはベァーテスが私の護衛だったからだと思おうとしていただけだったのかもしれない。本当は私も無意識に白毛族以外を下に見ていたのかと考えてしまう。


「多分、2人が高官の娘として領都で育ったから気付きにくいのかもしれないですね。親の地位が子供達の関係性にも影響するでしょうから。誰も領主の娘や騎士団の将軍の娘に失礼な態度をしないでしょうから」

「それね。多分、大土アーガンも同じなのかも。アーガンも最初の魔貴族の一人だから誰も失礼な態度で接したりしない。誰も直接的に反対したりしない。だから自分の言う事がいつも正しいと思っているだけかも」

クオは私達の話を横で聞いていてそう呟いた。

「そうなのかな?」

「タリアのお父さんの領主様は領主になって何年? 10年くらい?」

「まあ、そのくらい」

「例えば領主様に表立って直接反対する人はどのくらいいた?」

「お父様に反対……お母様と……後はリャルルさん……くらいかも。領相のアラシ様も提案の形で反対と言うより『少し変えましょう』みたいに言っていた……」

「私の父も家ではターガツ様の決定に反対だと言う事はあったけど、確かに最終回には反対していなかったかも。反対の時はタリアのお母様や領相のアラシ様に相談して自分の意見に近付ける様にしていた……」

「どこでも立場が上の人には真っ正面から争いたくないと思うんじゃないかな?」

「そう……だね。私もお母様にはハッキリ自分の思った事を言えていない」

「私も父には騎士にならないとは正直言えていない」

「だから使節団として魔人国に来てしまったんだね。フフフ」

最後はクオに笑われてしまう事になっていた。


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