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異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
余章 白虎の娘
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土大領に到着


一晩明けて今日は土大領へ向けて出発する。

道中でクオに土大領でも領主に会いに行くのか聞いてみた。

「勿論、行きますよ」

「そう。それは私も一緒に連れて行ってくれるつもり?」

「タリアさえ良ければですよ」

「……土大領の領主様ってどんな人?」

「そうですね……一言で言えば昔ながらの考えが抜けない古い人ですかね」

「古い考えの人って事?」

「そうです。土大領の領主様は魔貴族の中で一番の年長者。多分千年くらい生きているのではと噂です。そこまでいくと魔族は年齢を数えていないので正確な歳は分かりませんけどね」

「千歳……それって……」

「多分、魔王様が現れる前だと思いますよ」

「じゃあ…やっぱり……獣人に偏見がある……のかな?」

「そうかも……どうする? 会うの止めておく?」

「少し考えさせて。土大領に着くまでまだ大分あるでしょ?」

「そうだね。早ければ1週間くらい、人族の集落を見て回るなら2週間くらいかな……」



クオに言われた通り、私達は街道沿いにあるいくつかの人族の集落に寄り道しながら2週間掛けて土大領に到着した。

途中に立ち寄った人族の集落はその名の通り人族が静かに暮らしている。集落の中に魔族は見当たらなかった。

集落で私達は土大領の領主の評判を聞いてみたが、どこで聞いても良い噂は聞かれない。

「それはしうでしょ。人族の集落は魔族に守られるのを拒否している人達の集まりなんだから」

クオから『悪い評判なのは当たり前だ』と言われてしまう。



「着いた!」

「ここが土大領?」

「ええ。ここからが土大領です」

「なかなか大きな町だね。それでここも領主の館は町の。外れにあるの?」

「え? 何言ってるの? ここは土大の町じゃないよ。ここは魅高領と土大領の境目の町。両方の魔族が魔物を退治するのに造った町だよ」

クオはそう私に町の説明してくれた。

「魔物退治用の町なの?」

「そうだね。昔はここを拠点にして街道沿いを東西に自領の魔物退治をしていたんだよ」

「昔の話なの?」

「今は魔物が減ったから街道沿いに魔物は出ないんだ。だから今は魔物退治するなら、ここから北や南に遠征するんだよ」

「わざわざ遠征してまで魔物退治してるの?」

「そうだよね。でも今でも魔物の肉が食べたいって人が多いから。普通の家畜の肉じゃ物足りないらしいよ」

「肉……考えた事無かったかも。魔物の肉か家畜の肉かなんて……」

「そうかもね。今でも魔物の肉が重宝されているのは魔族の魔法に関係しているからって言われてるんだ。魔力の総量を上げるには魔物の肉が良いんだって」

そう言ってクオは魔族の歴史を少し話してくれる。

それは私達獣人族から見た歴史と違う反対視点の歴史だった。



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