表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に生まれ変わるなら猫  作者: りづ
プロローグ
1/151


「ミ…ミャミャ~?……」

『こ…ここは?……』


「元気な女の子ですよ」


『ケモ耳? 兎?』


フワッと抱え上げられ驚いて目をパチパチしていると兎姿の女性と目が合い、彼女は笑顔でベッドの上の女性に私を手渡す。


『この人はケモ耳じゃない……』


「わぁ~可愛い! 見て見てダン! 貴方そっくりの可愛い猫耳よ!」


「うん。可愛い……うん……うん……本当に可愛い。リャルル可愛い子を産んでくれて……ありがとう…………リン……僕がパパだよ。これからよろしくね!」


人と同じ大きさの黒い猫の様な姿のダンと呼ばれた男性がリャルルと呼ばれた女性に抱かれた私の顔を覗き込み涙を流していた。


「ミャ? ミャ? ミャッミャミャ? ミャミャ~ミャミャミャミャミャ……ミャミャミャ~? ミャ……ミャ~? ミャ……ニャ~!」

『リン? え? リンって私の名前? あの猫男がパパって事は……私も猫? 私……猫人なの? 猫……猫~!』









-前世-


-3年前-


「異世界で生まれ変わるなら何になりたい? 人間以外で」


ベッドに横になる男の子がそんな話をしてきた。


「人間以外で? うーん……ワタシは猫かな?」


「何で? 自由に生きてそうだから?」


私の隣に座る女の子が聴く。


「入院する前、家で猫飼ってたんだ。その子ってワタシの言う事はあんまり聞いてくれなかったんだけど、私が落ち込んだりしてると何故か隣に寄ってきて甘えてくるんだよ。それがいつも自由に自分勝手にしてる様で本当は優しいみたいな……」


「ふーん猫か……。アタシは絶対に鳥! 自由に空を飛んでみたい! 陸は?」


「ボクは亀かな」


「「「亀?」」」


ワタシと莉愛、竜の3人の声が揃う。


「うん。次は長生きしたいんだ。亀って長生きでしょ?」


「ハハハ、 言い伝えでしょ?

本当の亀はそんなに長生きでもないよ」


「1万年は無いと思うけど150年以上かかる生きた亀はいるらしいよ」


「へー。人間より長生きじゃん」


「異世界なら本当に1万年生きる亀もいるかもしれないでしょ? それで、竜は?」


「オレは勿論、竜!」


「竜?」


「異世界なら竜もいるはずじゃん。竜なら空も飛べるし長生きそうだし、それにやっぱり竜は強いでしょ! オレは強い体に生まれたい!」


「強い体か……」

「…………」

「…………」

「…………」


私達4人は【強い体】と言う言葉に少し沈黙してしまう。




「……陸、何で急に異世界に生まれ変わるなんてそんな話したの?」


「夢……見たんだ。この4人で異世界に生まれ変わる夢。ボクの体は何故か亀で……やっぱり無意識にでも長生きしたかったのかなとか思って……でもみんなの姿が霧に包まれたように霞んでよく見えなくて……でもこの4人だったって何となく分かって……」


「それであの質問?」


「うん。あの夢が本当になったら良いなって……生まれ変わったらどこかの別の姿でまた遭えたらって……」


「そうか……で、鈴は本当に猫で良いのかよ」


「何で? 良いよ。ワタシ猫好きだし」


「それならオレは竜、陸は亀、莉愛は鳥……鳥って種類多くない? 猫もだけど」


「それじゃ……鶴? 鶴は千年でしょ!」


「ワタシは……別に夢なんだから細かい事はよくない? それに亀だって何種類か有るだろうし、それこそ竜なんてねぇ」


「そうだよ! 竜なんて実際いないし! 鶴ってマジで答えたアタシが恥ずかしいわ!」


「まあまあ。ボクが亀、莉愛が鶴、鈴が猫、それで竜が竜。本当に生まれ変わったら探しに行くからね」


「それなら合言葉決めない?」


「合言葉?」


「亀だって鶴だって猫だって竜だって1匹とは限らないだろ? だから合言葉!」


「そうだね。良いね合言葉!」


「何にする?」


「…………」


「…………」


「陸、ここはこの話を言い出した陸が決めて」


「ボク? ……りよん」


「リヨン?」


「ボク達の名前、陸、莉愛、竜、鈴の最初の文字【り】と4人の【4】で【り4】」


「【り4】……うん。でもリヨンって言葉は他にも有りそうだから、お互い合言葉の確認は【り4】って文字で書いて確認ね!」


「そうだな」


「うん」


「……」


「鈴も良い? それとも何か他の言葉が良かった?」


「ううん。【り4】で……文字で書いて確認ね」





陸が息を引き取ったのはそんな話をした2日後、まだ9歳の冬だった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 冒頭から切ない始まり方…。 果たして幸せになれるのでしょうか? 応援させてください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ