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第17話 温泉

鯖対抗戦の翌日。寝ていたら幼女の声が聞こえてくる。自分のサポートロイドのコッペパンの声だ。


「マスター、そろそろ起きて下さい。今日はユリクリウス様のマイルームに行く予定の日ですよ」

「あと30分……」

「……はい、ぎゅー」


化け物みたいなスペックの身体になっても、寝起きに弱いことは変わらない。なおコッペパンに抱きしめられるとすぐに眼が覚める模様。しばらくコッペパンからのハグの感触を味わっていると、徐々に締め付ける力が強くなってくるので流石に眼を覚まして起き上がる。


一応この子もレベル125まで上がってるからね。まあ幼いロリっ子にさば折りされるのも良いかも……いや良くない。なんかもう色々と手遅れな気はするがその一線は超えたくない。


「……おはよう」

「おはようございます。既に食事の用意は出来ていますよ」


起き上がって、コロネの作ってくれた朝食を食べる。配給された完全栄養食とか色々と選択肢はあるけど、普通に米や肉も売っているので何パターンか朝食を登録しておいて、それをランダムに出して貰うことにしている。結構なゴールドはかかるけど特別許可証のお蔭で割引価格。特権階級万歳。


まあ、120レべのシアリーだった人は稼ぐ額が尋常じゃないから食料品の割引なんて誤差みたいなものだけど。今日の朝食は色んな果物が入ったグラノーラのようなもの。コロネの手作りである。サポートロイドの調理スキル、基本的にはカンストしているみたいだから安心して台所を任せられるのは良い。


[クロワッサン:コッペパンとコロネも連れていって良いか?]

[ユリクリウス:もち。何のために混浴にしたと思っているんだ]

[クロワッサン:あれ?男性用女性用に分けてなかった?混浴にしたのか]

[ユリクリウス:まあサポートロイドと一緒に温泉入りたいし、スペースを大きくしたかったからな]

[クロワッサン:お、欲望隠さなくなってきたな]


朝食を食べ終えたらユリクリウスに個チャを入れ、支度をしてユリクリウスのマイルームに移動。コッペパンとコロネも一緒に来て良いとのことだったので、3人でパーティーを組み、マイルームへ移動するとコッペパンとコロネもついて来る。ちょっとここら辺は、ゲームの仕様と変わってるな。まあ現実にいるから当然なんだけど。


「ちわす」

「お、来た来た。ユリクリウスとサタンちゃんとゆうしゃちゃんは温泉入ってるわよ」

「……ふわわさん水着っすか。というか男性になったんだから他人のサポートロイドをじっくり見るのはもう犯罪クラスですよ?」

「良いじゃない別に。はー、うちの子達の水着姿可愛いわー」


ユリクリウスのマイルームに行くと、既にふわわさんが来ていて自分と同じように連れて来たサポートロイド3人の水着着せ替えをしていた。そういうのは来る前に自分のマイルームでやってくれ。


ふわわさんのサポートロイドはリンゴ、ミカン、モモの3人。それぞれ果物の色の髪色をしているので分かりやすく、覚えやすい。ロリ巨乳撲滅委員会所属のため全員貧乳というかぺったんこ。絶壁だけどロリなのでそれが普通である。むしろコッペパンやコロネのような巨乳の方がおかしい。


ふわわさん自身は「近くの銭湯で時たま来る幼女の髪の毛を洗ってあげることが趣味」と言い張るれっきとした変態。おまわりさんこいつですと言いたいところだが自称婦警。こいつおまわりさんです。


というかシアリーが宇宙の警察みたいな存在だから、幼女同盟のメンバーも全員警察ということ……?


「クロワッサンも来たか。

……何でバスタオル(女性用)を付けているんだ?」

「まあ男性用だと上半身裸だし。この格好で上半身裸はR18になってしまう」

「……本当についてる?」

「いやその目付きどうにかしろやイケメンフェイスだから怖いんじゃ」


そういえばこの場にいるのは、全員今は男性か。幼女同盟に所属しているのはこの3人以外全員女性で、ゼルさん以外は元男のはずだからTSしたのは16人だな。8割ネカマのチームだったけどこのゲームの男女比的にはどこのチームもそんな感じになるんじゃない?


「師匠、そちらがクロワッサン様ですか?」

「お、素体クールタイプに愛称設定師匠は面白い」

「だろ?ついでにサタンちゃんとライバル設定にしたから色々と張り合ってる」

「レベルは当然1だからロリ魔王120レべvsロリ勇者1レべの構図ね。……こういうコンセプトものも良いわね」

「ふわわ様、いけません。他の人のサポートロイドの胸を触るのはいけません」


ユリクリウスの2体目のサポートロイドのゆうしゃちゃんを写真ではなくリアルで見ることになったが、まあ可愛い。ロリコンが本気でロリ作ってるわけだから可愛くならないわけないけど。


ふわわさんがゆうしゃちゃんの慎ましい胸に手を伸ばそうとするが、サポートロイドのリンゴが横から手を伸ばし、ふわわさんの腕を掴んで手の動きを静止させる。リンゴはよくやった。流石に胸触りにいくのは女でもアウトだよ。そして今は男だから通報出来るよ。


「そうよね、今は男だもんね……サポートロイドのみんな、これからは私がヤバイ行動とりそうになったら攻撃してでも良いから止めてね」

「その前に自力で止めろ。

さて、じゃあ自分達も温泉入るわ。サポートロイドの衣装もバスタオル女性用にしてと……」

「コロネちゃんのバスタオル姿可愛い!ねえ、髪洗ってふごぉふぉ」

「いい加減にして下さいふわわ様。……ふわわ様?」

「ああ……ふわわさんこれは人生初金的を受けたな」

「他人のサポートロイドに手を出そうとする方が悪い。まあこっち来てから作ったサポートロイドの方が完成度高くなるから手を伸ばしたくなる気持ちは分かるけど……サタンちゃんもちょっと修正しようかなー」


そろそろ風呂でも入ろうかと思って、コッペパンとコロネもバスタオル姿にしたところでふわわさんがコロネに飛び掛かり、リンゴから金的を受ける。これふわわさんにとって人生初金的か。見ているこっちもちょっと冷や汗掻いた。


その後は最初に入ったマイルームの右側の扉を開け、温泉宿風に改築した部屋を探索する。きちんと入り口には男性用暖簾と女性用暖簾があるのに中へ入ったら貫通してて分けられてないとかこれ意味あるのか?


そして大きなパネルの仕切りの向こう側には、大きな浴場が4つ組み合わせられている。この浴場、地味に高いんだよな。ゲーム時代では1つで300万ゴールドぐらいした。なお今は1000万ゴールドの模様。値上がりをし続けている家具の1つである。


しかしフレーバーテキストで『宇宙の最新技術で作られた大浴場。常に清潔なお湯が出続けており、いつ入っても一番風呂』とか書かれてあると元日本人として買いたくなる気持ちは分かる。


また大浴場の横にはジェットバスとか金色の浴槽とかも並べられていて、結構な数の家具を揃えていたことが分かる。ユリクリウスは自分よりも課金していたしな。ここら辺の家具は余りまくってそう。


「ではマスター、お背中をお流しします」

「……よろしくお願いします」


まずはコッペパンとコロネが身体を洗ってくれるけど、もうそういうお店に来た気分である。いや2人とも胸を大きく設定したから普通に当たるし、向こうにいかがわしいことをする気が全くないというのが余計にこう……来るものがある。


「うう……まだジンジンする……」

「お、生き返った。

というかふわわさんも水着かい。バスタオルは?」

「もってない」

「……バスタオル(男性用)渡しておくわ」

「女性用はない?」

「3個しかない」


身体を洗い終わって大きな浴場に入るのと同時に、生き返ったふわわさんと、ふわわさんのサポートロイドのリンゴ、ミカン、モモの3人が大浴場に入って来た。これで7人だけど、スペースにはまだまだ全然余裕ある。マイルームの大きな部屋は、とても広いし電話ボックスみたいなシャワールームも何台も置ける。シャワールームと洗面台が並んでいるのはちょっとシュール。


温泉に浸かってのんびりしていたら、ユリクリウスがバスタオル姿でアイスを持って入って来た。そしてアイスを持ったまま温泉にどぼん。ついでに大浴場の隣にコンビニとかでよく見るアイスケースを設置。おう世界観ぶち壊すなや。


「いやアイスケース置いても良いだろ。ゴールド払うなら中の奴は何でも食べて良いぞ」

「あれこれ食べたらなくなるの?」

「他の食べ物系家具と一緒。食べたら無くなってゴールド払ったら補填される」

「いやまだ食べ物系家具食べたことなかったから……」


しかしせっかくなのでアイスケースからシャーベットを拝借。1個300ゴールドとのことなので若干高いか?コッペパンとコロネにも食べさせ、他人とのゴールド取引の最低価格が1000ゴールドからなので特殊能力追加+10%を2000ゴールドで買い、1000ゴールドで売る。


ユリクリウスは、現実で金のやり取りだけはキッチリしていた。まあゲームの中ではわりと気前良かったけど、ゲームが現実になったらこうなるか。この取引だとこっちが損するけど、たかが100ゴールドだし入浴料ってことで押し付けた。律儀なところもあるから学生時代、それなりの数の女性が興味を持っていた気がする。なお中身はガチオタロリコン。


サタンちゃんとゆうしゃちゃんも大きな浴場に入って来たけど、サタンちゃんがコッペパンと同じく限界サイズの巨大な胸を持っているのに対し、ゆうしゃちゃんは慎ましい感じでほぼ皆無。良い趣味してるわ本当に。仲良くしたそうなサタンちゃんと、キッと睨むゆうしゃちゃんの構図というだけでスクショを何枚も撮れるな。きちんとユリクリウスから撮影許可は貰ったし、ひたすら撮るか。


[黒猫:ユリクリウスのマイルーム着いたぞー]

[ユリクリウス:入って右のマイルームが大浴場だ]

[白猫:水着で入ってもよろしかったでしょうか……?]

[ユリクリウス:大丈夫だよ]


のんびりしていたら黒猫と黒猫のサポートロイドの白猫が入って来るけど、白猫は黒猫の2Pカラーだ。通常、サポートロイドの方が全体的にワンサイズ小さいけど、黒猫は自キャラの身長を低くして、白猫の身長を高くすることで身長差を無くしているから双子みたい。ついでに黒猫が白髪白眼なのに対して白猫は黒髪黒眼なのは性格がひねくれている。


しかしまあ、女が多い世界だ。キャラの比率の時点で男性2割、女性8割だから仕方ないけど……サポートロイドも含めれば、男性1割かもしれないな。今のところ、地球組同士以外の交流はほとんどないし、将来のことを考えたらちょっと心配になって来た。そもそも、真っ当な将来があるのかも分からないけど。

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