第4話 どらごーん
僕が龍二を羨ましがっていると思ったのだろうか。
勿論、栗原と模合は可愛いと思うけれど。
身の程はわきまえている。
親友の女を取るほど腐ってもいない。
あいつらは早くくっつけば良いのにと思っている。
……龍二がにぶすぎるんだよな。
あんなにあからさまな好意を向けられているのに。
本当に、龍二は主人公体質だと思う。
もっとも。
あの2人ほどぐいぐい来ないだけで、龍二のファンはかなり多いのだけど。
龍二の妹まで、龍二の恋人の座を狙っているからな。
『ふむ、なかなか良い物が採取できそうですね。少し遠いですが……行きましょうか』
お、今日も稼げるのか?
現在のところ、こんな感じだ。
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手持ちのマナ:2,000pt
リアの残マナ:3,650pt
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ちなみに、1,000ptは生活費の為に換金した。
リアに乗り込み。
リアが発進する。
この、無調整で発進するというのが慣れない。
まあ、授業で使ったやつは、リモート操作なので、僕たちにとっては無調整で発進しているのだけど。
座標は、α77、β34。
……これって結構遠いな。
敵が強いんじゃ?
γ98って何?
「随分遠いけれど、大丈夫なのか?」
『多少危険ですが、その分、良いものが採取できます。頑張って下さいね』
ふむ。
船から降りるなり。
絶望した顔の女の子と目があった。
……!?
ダンジョン内での、他人とのエンカウント。
滅多に無い出来事だ。
ダンジョンは、出現しては消えを繰り返す存在。
その数は無数。
特定の経路でないと辿り着けないので、偶然同じダンジョンに行き着く事は、まずありえない。
「船……が現れた!?」
女の子が驚きの声を上げる。
「ああ、偶然同じダンジョンに着いたみたいだね。君もソロで探索を?」
もしくは……壊滅したPTの生き残り?
絶望した顔をしていたし。
「た……助けて下さい!何でもします、何でもしますから!」
え、今何でもするって?
勿論冗談だ。
「ここは強力な魔物がいるんだね?なら、適当に採取してさっさと切り上げ──」
「一刻も早くここを出たいです!ドラゴンが……足止めに使った聖石の効果も、もう保たない……!」
ドラゴン。
それはまずいな……
強そうだ。
しかも、あのαとβの値。
かなりベースレベルが高い筈。
どうする……?
赤字になるのもまずい。
とにかく、適当な苔や岩をつかみ、アイテムボックスに放り込む。
で……
「とにかく乗って」
もともと、俺1人がなんとか乗れる大きさだったんだけど。
座席を消去、詰め込む形でなんとか乗ってもらい。
ダンジョンから離脱した。
……きっと赤字だと思う。
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消費マナ:10,000pt
リアの残マナ:-6,350pt
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獲得マナ:420pt
差し引き:-9,580pt
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赤字じゃないか……
移動コスト高すぎ!?