表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/28

第18話 隠しダンジョン

「にゃ……やっぱり変だにゃ」


「どしたん?」


ミアが困惑した様に言い、杏那が尋ねる。


今日は朝からマナ稼ぎ。

α35、β28、γ51のダンジョン。


「前回より力が出せない……ううん、これまでにないくらい、力が出せないにゃ」


「……最初に、光で敵を照らしてたよね」


危うく、敵に近づかれるところだった。

で、杏那がとっさに蹴りを入れ……魔物が派手に吹っ飛んだ。


「むしろ、僕も杏那も、いつもより調子が良いと言うか……魔物が弱い?」


動きもとろい。


「にゃあ!むしろ魔物の動き早いにゃ!?」


ミアは十分強い。

が。

今日は普段使わないもの……秘蹟を使って戦っている。

本気モードだ。


逆に、杏那が敵を引き付ける……ついでに倒してしまう事がある。

敵を引き付けるのは良いが、別に倒してしまっても問題ないのだろう的な。


しばらく進み……休憩を取る事にした。

ミアがばてたのだ。


「ダンジョンによって、出せる力が変わっている気がするにゃ。単純にレベルアップで強くなっているだけでなく……むしろ、今日みたいに弱くなったりするにゃ」


「そんな話は聞いた事がないけど……でも、確かに、前回のダンジョンより、今回のダンジョンの方が力が出しやすいかな」


レベルは上がっていないのだけど。


「そもそも、異世界船や、異世界ダンジョンが一般的とか、凄い世界だにゃ」


「僕達にとっては、これが一般的だからね」


まあ、異世界船の発見前には、考えもしなかった話だけど。


「ミアちゃんの世界にも、異世界船はあるんだよね?」


「無いわけではないですが……伝説の存在だにゃあ。世の理を外れるような強者が、異世界を旅する為に乗っている、と言われているにゃ」


伝説的な存在が、一般家庭にもあったら、そりゃ違和感あるよな。


「ダンジョンも、普通に入り口が同じ世界にあるにゃ。というか、ダンジョンも生き物だから……侵入者とか、世界から力を吸い上げるとか……なにかの力を吸い上げる必要があるにゃ」


「ミアちゃん、異世界ダンジョンにいたんでしょ?」


「そうにゃ。次元の間には、凝集したエネルギーが、ダンジョンの形態を取ることがあるにゃ。本来であれば世界に成長する為の種が、成長に失敗して異形となったもの……それが異世界ダンジョンにゃ。神造ダンジョンをも超える規模になったりもするけれど……極めて珍しい存在にゃ。お手頃サイズがその辺に漂ったりはしてない筈なのにゃ……」


「本来なら、ゲームクリア後の隠しダンジョン的なものなのか」


そういえば。


「以前龍二達とダンジョンに行った時、異世界船が妙にゆっくり進んでいたよね。あの時、窓の外に魔物らしきものがいたんだけど」


「あれは境界獣……やはりあれも、世界の種が変異してできたと言われているにゃ……けど、それが成長して、世界の種を食べたり、世界を食べたり……本当に危険な存在にゃ」


世界を食べるって……


「ちなみに、窓ガラス越しで遠かったから大丈夫でしたが……まともに見ると、精神が狂うにゃ」


正気度チェックが必要な存在らしい。


「にゃあ。少しは回復したにゃ……いけると思うにゃ」


「まあ、無理はしないで良いよ。とりあえず引き返そうか」


本格的にミアが動けなくなるのはまずい。

何故か杏那が妙に動けているけど。


「私が強くなったり、ミアちゃんが力を発揮できなかったり……何か法則があるのかな?」


杏那がぽつりと言う。

法則、か。


--


マナへの換算が終わった。


--------------------------------------------

残マナ:1,000pt

消費マナ:1,000pt

冒険後残マナ:0pt

--------------------------------------------

獲得マナ:104,233pt

所持マナ:114,233pt

チャージ:104,233pt

チャージ後所持マナ:10,000pt

チャージ後残マナ:104,233pt

--------------------------------------------


勝手に使われるから、チャージしないでおく手も考えたけど。

結局残マナがマイナスになるだけだから、チャージしておいた。


「104,233ptか……やっぱり結構いくよね。何で龍二達と出かけた時、あんなに低かったんだろう?」


「私が強かったのとも関係あるのかにゃあ?」


「羽修、何か心当たりない?」


「分からないね。せいぜい、γの値が0だったとか、今回はγの値が高かったとか……」


ぴくり。


ミアが、耳を動かす。


「それかも知れないにゃ?」


「ん?」

「どゆこと?」


「次元差。私達の世界では、異世界から呼んだ勇者は、強いにゃ。元の世界では、魔法がない世界で、学生だったとかそういう場合でも」


「次元移動による、能力覚醒か」


「にゃあ。多分それだけじゃないのにゃ。確かに、レア職業やレアスキルを得る事も多いにゃが……そもそもの強さも異常だったりするにゃ。これは、元の世界と、召喚された世界との、次元差……距離のせいだと考えられているにゃ。つまり、遠くの世界に行けば行くほど、強くなるにゃ」


「つまり……γの値は、能力の強弱に影響する、次元間の距離という事か」


「αやβは一般的だけど、γなんて初めて見たしね。γ方向に移動できるこの船が、異常って事かな」


杏那が頷く。


最初、ミアのいたダンジョンとのγの差は、98。

今回のダンジョンは、51だから、差は47になる。

前回のダンジョンは0だったから、差は98。


で、マナの還元量にも影響あるとすれば。

僕達の稼ぐマナが異常なのも分かる。

γの値だけ、マナが増えているのだ。

そして、前回はγが0。

だから、マナは通常と同じ程度のレートで換算されたと。


「よし、リア。次行くダンジョンは、ミアのいた世界と逆方向に対して離れた場所にしてくれ!」


これでミアはますます強化され、僕達も強くなり、マナも経験値も稼げる!


『ようやくそこに辿り着いたのですね……』


リアが、感慨深い様な声を出す。


『だが断る』


「「「!?」」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ