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第15話 応答願います

「……僕は告って、断られてる。杏那は、好きな人がいるからね。そもそも、共闘関係になったきっかけが、杏那が好きな人と上手くいく為の練習だし」


「……そ、そうなのにゃ……」


ミアが、苦い顔をする。


「私は、お兄が好きだからねー」


「え、そ、そうは見えなかったにゃ!?」


「照れもあるし、焦りもあるし……そもそも、ばれる訳にはいかないからね。かなわない恋だから、さ」


杏那が、たはは、と笑う。


「かなわない恋にゃ?」


「兄と妹じゃ、結婚できないじゃん?」


「え、何故ですか??」


ミアが、驚きの表情を浮かべる。


「ミアの世界では、兄と妹の結婚は普通、とか、むしろ推奨されているのかな。日本では、血が濃くなるから駄目だと決まってるんだ」


「にゃ……変な決まりがあるにゃ……」


「でもいつかは、挑戦したいからね。だから羽修と練習してる。セフレも続けてるってわけ。テクニックで突破して、既成事実を作れば、ね」


杏那が腕組みをする。


「にゃあ……」


[情報提供。近親婚禁止の法律を廃止する場合、内政コマンドを利用して下さい]


リアからの遠隔通信。

何それ。


[金銭の貯蓄、マナの蓄積、番の確保、私のアップグレード。加えて、内政コマンドで政治や地域に介入、発展させてこそ、王と言えます]


王じゃないんだけど。

その冗談のノリにはついていけない。

流石にアーティファクトとは言え、できる事とできない事がある。

……できないよね?


[なお、住居や倉庫が手狭となった場合は、設備コマンドから拡張を実施して下さい。ただし、私自身の拡大と共に、倉庫は必要に応じて自動拡張されています]


本当に大きくなってた!?


--


寝る前に。


「内政コマンド?」


「うん。リアから遠隔通信で」


「遠隔通信?羽修、通信機器つけてんの?」


「いや。レシーバーとかつけてないよ。脳内に直接」


「……いくらアーティファクトでもおかしくない?魔法?」


そういえば。

魔法があるんだから、疑問には思わなかったけど。

確かに、アーティファクトって、科学の延長線上ってのが多いよね。

アーティファクトの中でも異質なのかな?


ジリリリリリ


スマホに着信。


「と、悪い。ん。未登録の番号から?」


『応答願います、応答願います。こちら、リア』


リアじゃん。


「確かにスマホを利用する通信だと機械っぽいけど、今更誤魔化すのは無理じゃん?」


杏那が素で突っ込む。


ぷつ


通話が切れる。


「今の、スマホという物にゃ?私も欲しいにゃ」


「そうだね。ミアのも明日買おう」


脳内の買うものリストに追加、と。


とあれ。

リアのもとへと移動。


「コンソールパネル」


ぶっ


疑似ディスプレイが展開される。


「……あるな」

「あるね」


改装、内政


メニューが2つになっている。


内政、を押すと、更にカテゴリーが。


地域、人物、出来事


地域?


法律、常識、イベント


「……ねえ、羽修。何だか冷や汗が凄い。嫌な予感がする」

「やめませんかにゃ?」


杏那とミアが震える声で言う。

しかし。


法律、を押す。


殺人、窃盗……色々並ぶ中で、


近親婚


『近親婚禁止の法律を撤廃しますか?」


消費マナは1pt。


はい/Yes


震える手で、はいを押す。


『関連して、常識の改変を実行しますか?」


はい/是


震える手で、はいを。


『内政コマンドが成功しました』


「えっと……何か変わったかな?」


「どうなんだろ……?」

「分からないにゃあ?」


うーむ?


「ミア、近親婚についてどう思う?」


「むしろ推奨すべきにゃ」


ミアが食い気味で乗り出す。

……成功している!


「いや、ミアに聞いても駄目じゃん。ミアの世界だと、最初から推奨なんだから」


ぐ。

そうだった。


「杏那は?」


「変わってないかな。近親婚は、血が濃くなるし、避けるべき、だよね」


……時間がかかる可能性もあるけど。


「僕の考えも、変わってないと思う」


そう。

なら。


「スマホで、近親婚の法律がどうなったか……」


うわ


「ワードがヒットしない。というか、妹との恋愛物のラノベは普通にあるけど、有名どころが消えていたり、内容が変わっていたりするな」


「うわ……まじかー」


杏那も、幾つか検索し、絶句している。


「これで、お兄さんにアタックできるにゃ!」


ミアの言葉に、


「でも、私自身の常識が変わってないから微妙なんだけど……」


杏那が困った様に言う。

結局、現状維持。

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