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里のお勉強~勇者伝説(2)

カタゴラムの悲劇とその後・・・

「カタゴラムの悲劇・・・それは人族にとって致命的な悲劇でした。」


先生がこれから語る致命的な悲劇とはどんなものか、教室中の生徒が息をのむ


「人族がカタゴラムを奪還し、次なる作戦を立案していたところ

 作戦会議をしていたカタゴラム議会内に魔族のスパイが紛れ込んでいて

 隙をついて、ロマネルを殺害してしまったのです。」


何となく予想はついていたが、しかし魔族のリーダーを倒せる勇者ロマネルが

スパイとはいえ、そんなにあっさりと殺害されてしまうのだろうか?


「先生、そのスパイは魔族のリーダー達よりも優れていたんですか?」


生徒の一人が、まさに俺が疑問に思っていたことを質問してくれた


「実力はリーダー達よりもはるかに劣っていました。

 事実、ロマネルを殺害した後、異変に気付いた近衛騎士団によって

 そのスパイは殺害されています。」


近衛騎士団でも殺害可能な実力者が、なぜロマネルを殺害できたのか

何か勇者にだけ有効な魔術でも使えたのだろうか?


「なぜロマネルが殺害されてしまったのか。それについては未だ解明されてません。

 ただ、1つ言えることは、どうもロマネルとつながりがあった魔族の様で

 それゆえに、ロマネルに近づくことができたのではないかといわれています。

 それに・・・」


勇者と魔族がつながり?

ちょっと考えにくいが、神族ともつながりがある勇者ならあり得る話か?


「それに、勇者の最後の死に顔は大変穏やかだったと言われています。

 それも何か勇者につながりがあるものによる犯行だったのではないかと

 いわれている1つの理由です。」


その辺は殺さずに捕まえて尋問をすれば明らかになったであろうが

当時の状況で勇者が殺害されたとあれば、生け捕りなどと考える間もなく

とにかく倒すことに全力だったとしても騎士団を責めるわけにはいかないだろう


「かくして、戦の要であった勇者が暗殺されるというカタゴラムの悲劇により

 人族は再び窮地に陥るのでした。」


普通に考えると、この後切り札を失った人族はガタガタとなり

勢いに乗った魔族に再び攻め込まれると思うのだが、

史実はこの後も勢いを衰えることはなく、さらに人族の勢いは増して

一気にカタゴール領土を取り返したところで停戦を迎えたはずだ


「しかし、悲劇のあったカタゴールで、今度はカタゴールの奇跡がおこったのです。

 すなわち、新しい勇者の誕生です。」


なるほど、勇者が殺害された直後に新しい勇者が生まれたのか


「ロマネルが殺害されたのは、次の作戦開始直前でした。

 次の作戦の開始は、近衛騎士団の追加戦力が到着してからを予定しており、

 その到着目前での悲劇でした。

 追加戦力の近衛騎士団は団長のドメニクが率いていましたが

 奇跡はそのドメニクの身におきました。」


ふむ、神は次の勇者にドメニクを選んだということか。


「ドメニクはロマネルの再来とも呼ばれ、勇者となったロマネルと同等か

 それ以上の魔力を持っていたといわれています。

 真の勇者ではなかったので、光と闇の適性は持っていなかったものの

 その魔道具を通した光と闇の魔法の威力は、真の勇者であったロマネルを

 凌ぐものがあったと伝えられています。」


元々ドメニクはロマネルに近しい力を持ち、その者に勇者の力が授けられた

だから、人族は勇者の器を育てることに力を注いでいるのだ


「ドメニクは辺境の里出身で、その実力の高さから当時の騎士団長に見いだされ

 近衛騎士団に登用されたそうです。

 そして、そのドメニクの出身の里こそ、ここ勇者の里ブレイバルなのです。」


おおっと教室内がどよめく

何故この里が勇者の里と呼ばれているかの

核心が今語られたのだ


「ドメニクがカタゴラムに到着した時には

 すでにロマネルは息を引き取ったあとでした。

 悲しみの中、ロマネルの遺体と対面したドメニクは

 その時天命を受け、ロマネルの勇者の力を受け継いだといわれています。」


先代の勇者の命が尽きたとき、次代の勇者にその力が受け継がれる

一子相伝のようなシステムなのだろうか。


「その後、真の勇者の力を身につけたドメニクはロマネルの立てた作戦に従い

 首都カタゴラムから魔族国家デスパレスとの国境まで戦線を押し戻すことに

 成功し、勇者の力を恐れたデスパレスと停戦協定を結ぶに至りました。」


ここで、一人の生徒が手を挙げ、質問の許可を求めた

老教師はそれを認め、質問を促した


「そこまで攻めたのならば、一気に魔族を倒せばよかったのに

 なぜ当時の人族はそこで停戦したんですか?」


「いい質問ですね。それにはもう少し、当時の人族がどのような状況だったのか

 説明が必要でしょう。」


老教師は眼鏡をクイッと指で押し上げたあと、当時の人族の状況について語り始めた

勇者はなぜ一気に魔族を攻めることができなかったのか?

老教師が語る当時の人族の状況とは?


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