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里のお勉強〜勇者伝説(1)

お勉強のお時間です・・・

養成所の教室に入ると、すでに他の生徒がほとんど席に着いていた

俺は教室の端に空いている()()()()()を見つけて座った


基本的に教室内は自由に席を決めていい

人気のある講義は前の方から埋まっていくし

ちょっとくせのある講義は後ろの方から埋まっていく

講義ごとに、前に座るか、後ろに座るか

人の個性や先生の評価が垣間見れて

教室内の席の埋まり具合を見ているだけでも中々楽しい


あまり目立つことを好まない()()

どの講義でも座る位置は固定していたので

多少遅くいっても、()()指定席はだいたい空いている


「はい、それでは講義を始めますよ。」


ベテラン老紳士の先生が教室に入ってくるなり、講義開始を宣言した


「最初の授業は勇者学です。教科書の第3章 勇者伝説のページを開いてください」


教室中に生徒が教科書を開く音が鳴り響く


最初の授業は勇者学

勇者の資質、勇者の心得、勇者伝説と学んでいくカリキュラムだ

1,2章までが基本カリキュラムでここまでは必修科目

これを修了しないと勇者の器判定試験が受けられない

勇者の器については、1章の勇者の資質の項で学ぶが

勇者伝説の深いところまでは、3章まで追加で学ぶ必要がある


勇者伝説は誰もが興味があるところであり

それゆえに朝一番に講義が設定されている

この講義を受けたいがために、

みんなが早起きして規律が保たれるという効果も期待してのことだ


「一般的な勇者伝説については、先回までの講義でお話しました。

 みなさん、頭に入っていますよね?」


当然だ、と教室中のみんながウンウンとうなずいている

俺も頭の中の()()記憶で理解はしている


世界の危機を救う勇者は

人族が窮地に陥ったとき神から遣わされ

魔族に対抗する力となると言い伝えられている


「それでは、今日は()()()()()()についてお話していきましょう。

 といっても、勇者の器についてはみなさんはすでに理解しているので

 勇者というものがどのようにして生まれてきたのか。

 そして歴史上、何をしてきたのか。

 その辺りを中心にお話していきましょう。」


いよいよ核心にせまるということで、教室内に緊張感が漂う


「まず、そもそも勇者はどの様にしてこの世界に現れることになったのか。

 時は第1次種族大戦に遡ります。

 この大戦では、魔族の手によって、当時の西の大国アシリスタンが陥落し

 南の大国カタゴールが攻め込まれている状況の中

 我々ロマネガルドの近衛騎士団団長だったロマネルは獅子奮迅の活躍で

 カタゴールから魔族を追い払うことに成功しました。

 このとき、ロマネルはまだ真の勇者ではありませんでしたが、

 非常に魔力が豊富で、当時の亜人の中では珍しく、

 火、水、風、土のすべての属性の魔術に長けていて、

 光と闇の魔道具を使いこなし

 その魔器の底は見えず、周囲からは神から遣わされた勇者だと呼ばれていました。」


亜人とは、魔道具を使わずに魔法を使えるようになった人族のこと

亜人は修行の成果で進化することもあるが、基本的には血筋によるところが多く

亜人を多く輩出する血筋が貴族として、高い身分を得ている

しかし、第1次種族大戦当時は、亜人は通常、1つか2つの属性について適性を持っており

すべての属性に対して適性を持つのは極めてまれであった

また、第3次魔術革命で発見された光と闇属性の魔法も魔道具有りとはいえ、

使いこなせたのは当時ではかなりレアなスキルの持ち主であっただろう


「第1次種族大戦は何とか停戦に持ち込めたものの、

 また魔族が力をつけていけば、人族に対して攻めてくるのは時間の問題でした。

 そこで、魔族の中でも比較的我々に友好的だった神族に助けを求めるべく、

 ロマネルは単身で神族の元に向かい、

 魔界の森の精霊族の試練、プルトン山地の神龍の試練を乗り越え

 北の霊山ウラヌスに住む神族に会うことができました。」


この勇者の里ブレイバルは東の大国ロマネガルドの西北に位置し

北の大地にある魔界の森に近い山間に位置する

神族が住むという霊山ウラヌスにたどり着くためには

ブレイバルのある山間を抜けて

魔界の森と呼ばれる鬱蒼とした森林地帯を抜け

険しいプルトン山地を超えていく必要がある

そこまでには、いくつかの試練があるといわれており

その試練を乗り越えたものだけが

霊山ウラヌスにて神族に会うことが許されるのだ


「霊山ウラヌスでの厳しい修行を乗り越えることができたロマネルは神族より

 真の勇者としての力-すなわち

 光・闇属性への適性

 魔族に匹敵する魔器

 の2つを得ることができ、ここに真の勇者が誕生しました。

 みなさんも目指す勇者の器とは

 このロマネルが真の勇者の力を授けられた時と

 同等の力を持っている亜人のことを指すのです。」


なるほど、通りで勇者の器判定試験が高難度になるわけだ

ただ全属性に適性があるだけでなく

将来光・闇属性をも適性を示し

さらに魔族に匹敵する魔器を有しても耐えられる

強靭な魔力適性と肉体、精神力が必要なのだ


「こうして、勇者となったロマネルは

 時を同じくして開戦した第2次種族大戦の人族の窮地を救うため

 神族の元から、最前線へと赴いたのです。

 その当時、魔族の圧倒的な魔力の前に、人族の騎士団は歯が立たず

 南の大国カタゴールはほぼ陥落してしまっていました。

 しかし、勇者が戦列に加わったことで人族は持ち直し

 カタゴールの首都カタゴラムまで戦線を押し返し、膠着状態になりました。」

 

勇者一人が増えたところで何が変わるのかとも思うが

それは魔族の戦い方によるところが大きい

基本的に魔族に連携はないので

一部のリーダーの指示の元に攻撃を仕掛けてくるが、各々で戦況を判断する力はない

よって、リーダーさえ潰してしまえば、いくら魔力に優れる魔族といっても

人族の連携の取れた騎士団の前では逆に歯が立たなくなる

このリーダーをつぶすことができず苦戦していた人族にとって、

魔族のリーダーを倒すことができる勇者の存在はとても大きく

戦況を一人でひっくり返すことができたというわけだ


「しかし、そのとき悲劇が起きたのでした。いわゆるカタゴラムの悲劇です。」


それは人族にとっては、致命的な悲劇だった

カタゴラムの悲劇とは・・・


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本編で書ききれない設定や用語を解説する解説編も

本編に合わせて更新中(毎週土曜日更新)

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