まるで走馬燈みたい
プロローグですが、転生前を少し描写しておきます。
深夜を過ぎた頃だろうか
ふと寒さに身震いしながら俺は目を覚ました
どうやらビールを飲んだ勢いで
そのままコタツで寝てしまったようだ
帰ってきてすぐだったので
暖房は相棒1号であるコタツだけに頼っていたので
そのまま突っ伏した俺は
寒さに起こされることになったようだ
12月に入ってから
特に都心から離れたこの辺りは冷え込みが厳しく
日に日に寒さが体に応えるようになり
とうとう昨日コタツを引っ張り出してきたのだが
これだけだと耐えられそうにない
頭までコタツに潜り込めばいいのだが
比較的体が大きめの俺に対して
1人用の相棒では足がはみ出てしまう
寝るためのベッドはあるのだが
窓際のその位置は
この時期には冷え込みが厳しく
エアコンのないこの部屋では
相棒2号を召喚するしかない
親のスネを丸かじりでワンルームマンションを
買い与えてもらっているがさすがに贅沢は許されず
エアコンなしの郊外の中古マンションとなった
…前の住人がエアコンを置いていってくれたら
よかったのにな
コンビニ弁当と空っぽのビール缶を
分別してそれぞれのゴミ袋に放り込んだ後
いそいそと相棒2号…灯油ストーブをセッティングする
目盛りを覗くとまだ灯油が残ってるようだ
おそらく去年の残りだろう
ま、いっか
灯油に賞味期限があるわけじゃないだろうし
いつもと変わらない慣れた手つきでストーブをつけると
まだ冷えているベッドに潜りこみ
部屋が暖まるのをじっと待つ
冷えたベッドの冷たさでちょっと目が覚めた
部屋が暖まるを待ってからベッドに入るべきだったか
もう少しコタツにいればよかったと少し後悔しながら
それでも眠ろうと目を閉じる
そういえば、今夜はこの冬1番の冷え込みとか言ってたっけ
いつもと違ってなかなか暖まらない部屋の中で
急激に襲ってきた眠気に抵抗することなく
俺は深い眠りについた
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
1番古い記憶は小学生くらいだろうか
学校のテストでいつも悪い点しか取れずに
残念そうな両親の視線と
あれやこれやとフォローしてくれる兄さんの様子に
子供ながらいたたまれない気持ちで
立ち尽くしていたことがよくあったなぁ
決まってそのあと
執事のじいやにしっかりして下さいと
お小言もらうまでがワンセットだった
中学、高校はよくも悪くも目立つことなく
何とか落第せずに進級できた
友達がいたわけじゃないけど
いじめられることもなかったので
まあ穏やかな学生生活だった気がする
たまに見ず知らずのお手紙が下駄箱に入っていたり
カバンが何故かゴミ箱に入ってたりしたけど
それくらいだから
うん、まあ平和だった
そうそうその頃になると
両親も優秀な兄さん、姉さんに夢中で
俺は落第せずにどこでもいいから
大学に入ればいい的な扱いだったなぁ
俺だけ家庭教師つかなかったし
大学ではまじめに授業だけは出席してたな
マサルと仲良くなったのもそれが大きかったな
あいつ、授業をしょっちゅうサボるから
勤勉な代返請負人である俺が重宝したんだろな
で、マサルと一緒に授業サボって
ゲームにハマってたクルミとも仲良くなって…
たまたまその日発売のゲームを買いにサボると聞いて
ポロッと俺も欲しいって言ったのがきっかけで
俺もゲーム仲間認定されたんだよな
大学生活はマサルとクルミのおかげで
それまでよりは充実したものだった
主にゲームのイベントや
ゲームの舞台になったところへ旅行してみたり
それまで誰かと旅に出ることなんてなかったから
新鮮で楽しかったな
でも、就職のときはちょっと凹んだな
俺は相変わらず面接で連戦連敗
なかなか就職先が決まらず焦ってたのに
マサルとクルミは
あっさり大企業の内定ゲットしちゃうんだもん
あいつら授業はサボるけど
地頭がいいから成績は優秀だったからな
本当参ったけど
最後はあいつらのおかげで
ゲームつながりのおじさんの会社の
経理を紹介してもらって
ギリギリ社会人に滑り込んだからね
あいつらには頭があがりませんよ
就職後も
都心のオフィス街でバリバリ働くあいつらとは
いつも一緒ってわけにはいかないけど
変わらぬ付き合いしてくれてるのは嬉しいな
この前、2人が結婚するって照れながら
揃って報告に来たときはちょっと寂しかったけど
2人が幸せそうだから良しとする
何だか久しぶりに昔を思い出したなぁ
まるで走馬燈みたい…
…あれ?
プロローグはあと1話です
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