テンプレ4人衆、作者パターン2
ちなみに、作者パターン1は主人公、脳筋、天使、お姉様。
「ただいま。父さん、母さん、天音」
「お帰り、天雅」
「お帰りなさい。直ぐにご飯にしましょう」
「お帰り、お兄ちゃん」
「今日は父さんも早いね。珍しい」
「ああ。社長が突然今日は早く帰るって言い出してな。大変だったよ、まったく」
「たまには良いではありませんか」
「お兄ちゃん、今日は私も手伝ったの。これと、これは私」
「うん。ご飯も豪勢だね。美味しそう」
「クスクス。大好き!お兄ちゃん、お母さん。お父さん!」
「どうしたんだ?突然。知ってるよそれくらい。俺も天音が大好き。……えっと、母さんと、父さんも」
「おいおい。お父さんは最後かい?天雅も天音も大事な子供達だ。愛してるよ。雅音も、愛してる」
「あらあら?私は最後なの?お父さん。天雅、天音、大好きよ私達の子供達。天広さん、愛してるわ」
これ以上無い程の幸せな家庭だった。
確かに家族の愛を感じて居た。
その日は、いつもは恥ずかしくて口には出せない思いを、伝え合えたと思ったんだ。
~夢~
……ここは?
「……っ。………」
夢!
あれは、一体?
目の端によく一緒に行動する友人の姿が映る。それを認識した瞬間、幾つもの見覚えの有る顔が座り込んでいて周囲の騒がしさが一気に耳に入ってきた。
座り込む人の、奥。今居る場所を確認する。
「何だ、これ」
そこに有るのは、写真でしか見たことが無いようなきらびやかな壁や天井、柱。どこか、近所の神社を彷彿とさせる、神聖と言える空気。そして、物語の住人の筈の、貴人達、騎士達。
「……テンガ」
「慧人。お前……」
「落ち着け、テンガ。よく分からないけど、しっかりしろ。とりあえず、二人と合流するぞ。それと、着替えさせられたのか、この貫頭衣みたいのしか持ってなかった。これからどうするか考えないと」
ケイトはやっぱり頭が良いなあ。
これからの事を考えられる何て。
でも、俺は夢で有った出来事が頭にチラついて離れない。
「……ああ。ユウカとリンを探そう。……確かにここに居るのはうちの学校の生徒達みたいだ。全員が居る訳でも無いようだけど」
「混乱しているのは分かるが、頼むよ。お前は生徒会ちょ……」
「皆様、言葉は分かりますか?」
一段と豪華な女の子が声をかける。
それから説明を受けてハッキリした。
夢は夢では無かった。
多分、本当に地球の人は……。
救いは、俺達が生きている事。これからも少しずつ少しずつ、地球の人はこの世界にやって来るであろう事。
家族はもう召喚されたのだろうか。
でも、そんな事関係ない。二度と会えないのだから。
……大好き。父さん、母さん。天音……。
俺の部屋にいつものメンバーで集まった。
生徒会長、テンガ
副会長(庶務)、リン
書記、ユウカ
会計、ケイト
「……ふふっ。このメンバーが集まると、ここが生徒会室に思えるね」
「そうね。うちの会長と会計は頼もしいから。それにしても助かったわ。4人揃って。本当は今回召喚されなかった生徒も心配するべきなのでしょうけど」
「……召喚はされない方が良いだろう?」
「……」
まさか。
「……?」
「リン。ちょっといいか?すまん、ケイト、ユウカ」
「……っ。ええ。そうね」
恐らくケイトとユウカは夢の内容。地球の人類が滅んだという記憶を消されている。それを言ったらたかが夢で見た事を本気で信じている自分こそ神という奴に操作されているのかもしれないか。
「多分、召喚と言う事実と選んだ【固有能力】の事しか覚えてない。受け入れられなかった事をわざわざ伝えるべきじゃない」
「いえ。召喚者、神子は他にも居るのよ。あの賢い二人はいずれ真実を知るわ」
「……真実とは限らない」
「本気?……いえ、確かめられない事を真実と言い切るのはおかしいわ。既に召喚何て有り得ない事を体験しているわ。私達の思考も操作されている事も考えて……。そうね。知らない方が多角的に考えられるかしら」
「リンは……強いな」
「テンガは優しいのよ」
全てを疑っては身動きは取れない。
いずれはこの召喚された場所、神殿から出ていくが今は俺達に何も要求しないここで知識や技術を蓄えていこうと思う。
「待って。出ていくって、早すぎる。たった3ヶ月しかここで暮らして無いんだ。武術の先生も居るんだし、もう少し訓練して……」
「うるせえ!もうここは日本じゃねえんだ。いつまでも生徒会長ぶってんじゃねえぞ!」
「違う!そんな肩書きだけじゃなくて、同郷の人なんだ。心配して何が悪い!」
「優等生が!オレには【固有能力】も有る!お前なんかに心配される必要はねえ!」
「ごめんねー、かいちょー。でも、僕達は【固有能力】を3つも持つし、……神殿をそこまで信用出来ないんだ」
「……っ」
「テンガ」
「……どうか、気をつけて。召喚されて数日の内に出ていった数人は死んだか、奴隷から助けられたらしい」
「分かってる。……その、お前もな!お前は世話焼きすぎなんだっ!」
「……聞いたよ。でも、言語は日本と変わらない。精神性も。後は常識のずれを意識して学べば3ヶ月で十分だ。これでまだ、生きていけないようじゃどっちにしろ直ぐ死んじゃうんじゃないかな。ごめんね?かいちょー。」
自身の力を過信する者、自信が有る者、神殿を信じられない者、何処かの生産者に弟子入りする者、学園に通う者、権力者に仕える者。
だんだんと神子は散らばり、やはり冒険者になる者は多かった。
そして、1年が経ち。ここにきて4人の中ですれ違いが起きた。
「冒険者は止めよう?魔物と殺し会うんでしょう?怖いよ」
「でも、物理的な力(魔法も含めた攻撃的な力)を持つのは賛成しただろ?そういう力を一番活かせるのは冒険者だ」
「ええと。それは護身程度に止めて、別の道を探す……とか」
「ダメよ。Lvとスキルのせいで護身なんて意味の無い代物だわ。この世界は。中途半端にどちらもやるのもダメ。そもそも、ユウカの【固有能力】は結界と癒し、バフでしょう?」
「……まあ、【固有能力】は必ずしも使わないといけない訳じゃない。この世界で生まれた人は進化して初めて手に入れられる物なんだから。ユウカはユウカがしたい事をすれば良い。自分の人生だよ。ユウカ。ケイト、リン」
「テンガ。あんなに皆を引き留めようとしてたのに。どうしたの?」
「別に、方向性を否定したつもりは無い。ただ、もう少し学んでからでも遅くないと思ったんだ。俺達は今1歳で、Lvを上げていけばもしかしたら300歳まで生きるかもしれないのだし」
「……。そうね、ユウカと一緒に居たいが為にユウカの意思を確認しないままだったわ」
「……リンちゃん。わ、私もリンちゃんと離れたくない……けど……」
「……すまない。でも、僕は魔法に魅せられてしまった。研究だけじゃない。自分で自在に使いたくなってしまった。僕は冒険者を目指す。だからユウカ、ユウカにまで冒険者になる事を強制はしない。すまない」
「謝らないで、ケイト君。私もわがまま言ったから」
「うん。別々になっても生きてれば、会えるはずだ。だから、自分は自分の生きたいように生きよう」
主人公は、特定の人物、家族を召喚する為の魔法陣を追い求める旅に出る……かもしれない。
秀才は、失われたスキル、〈魔力操作〉に至り、魔女に弟子入りする……かもしれない。
癒しは、自分で選んだ【固有能力】を活かさないで良いのか悩んだ末、怪我は怖いが、他人の為にも治癒院を開く……かもしれない。
お姉様は、昔こっそり憧れた刀を振るい、全女冒険者憧れのお姉様へ進化する……かもしれない?