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元・魔王が行くッ!  作者: ITO
2/5

②〜転生〜

魔王はこの世から去った──


そして1人の少女が目を覚ます…。

「んあっ」


よだれを垂らしながら1人の少女が

目を覚ました。


「夢か…」


辺りを寝ぼけながらキョロキョロと見るが目に入る風景。それは暗くて暖かい場所というのはわかった。


「ココドコ…?」


少女はポカーンとしていると暗闇の向こうからヒールを履いている足音が聞こえてきた。


「アレ?死者の申請は来てないはずなんだけど…。う〜ん…」


メガネをかけた羽の生えた天使らしき人物はバインダーの紙をペラペラと慣れた手つきで確認していた。


「ないなぁ〜…。まぁ、いいや。こちらへどーぞー」


と言われるがままにその天使に着いて行き暗闇の中を進んでいった。歩くことどれくらい経っただろうか。

ずっと、同じ景色が続いていた。


「女神様、この者が1人でおりました」


天使が女神様と言っている存在は大きな

椅子に偉そうに座っていた。


「ん〜…。申請なんて来てないよ〜?」


マニキュアを塗り、ピンク色の口紅を塗っているギャル風の女神さえ「申請がない」と言っている。


(そんなに私はイレギュラーか?)

「早急に調べてまいります!」

「は〜い」


メガネの天使はものすごい速で暗闇の奥へと飛んで行った。


「君さ、一体何者?」


そのきっちりメイクをした目でこちらを

睨んでくる…。その女神は威圧がすごく

隙が全くない。


「わからない…。何でココにいるのかもわからない…」

「わからない…。か」


ふ〜んと女神が鼻を鳴らした。


「女神様ーーー!!」


先程勢いよく飛んで行ったメガネの天使がこちらに、ものすごい速さで飛んで来た。


「おっ。おかえり〜」

「こ、コレをみてください!」


と言ってメガネの天使が1枚の髪を見せていた。


「道理でね〜…」

「な、何ですか?」


私は疑問になり聞いてみた。

が、しかし──


「君の死因は過度な家庭内暴力によるものらしいわ」

「…へ?」


女神が急に雰囲気を変えキッパリと伝えられた。

ここに来た原因を告げられた私はその一言で全てを思い出した。

毎日、毎日。殴られ、蹴られをしていた。

しまいには、実の父親に体を汚された。


「あ、あぁ…」

「どうやら思い出したようだね。そこでなんだけど君には転生の権利を与えるね」

「て、転生?」


淡々と進んでいく話について行けず聞き返してしまった。転生が本当にあるとは思わなかったからだ。

そんな状況に今の自分には疑いしかなかった。


「そ。転生。新しく生まれ変われるってこと。ただ、転生の中でも記憶を消すコースと記憶を保ったまま転生するコースがあるの」

「えっと…。じゃ、じゃあ、後し──」

「残念だけど…」


コースを選択しようとしたが、女神がそれを阻止した。


「君の記憶は消せないの」

「えっ、無理なんですか?」


意外な答えに驚いてしまった。


「そ、無理。君に何かの魔力がかけられていて外部からの力を加えられないの…。私では…ね。原因が君の前世が魔王だからということに関係してるかはわからないけどね」


魔王──。


「わ、私がですか?」

「うん。私達、天使さえも恐れた存在だったわ〜」


生きていた頃の嫌な記憶を思い出したばかりなのに消せない…。そう思ったのはほんの一瞬だった。


「消せなくても別にいいです!

私が私自身に何かしらの意味があって、そうしたと思うから」


雪海の内心は興奮していた。

そんな主人公的設定おいしすぎる!

しかも、異世界。

雪海にとってそんなの生きていた頃の苦しみより楽な決断だった。


「いつでもいいです。準備はもうできています!」


もう、悩んだ、苦しんだ、悲しんだ。

今までの感情より「楽しみ」が止まらなかった。


「くっ…ハハハハハ!君のような人は初めて見たよ!なら、生まれ変わっても頑張れ」


女神は雪海の額に手を伸ばして小さく何かを呟くと雪海の視界は白い光に包まれた。


今回も読んでいただきありがとうございます!

次巻も楽しみにお待ちいただければ幸いです。

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