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☆第77話 休日の過ごし方!

 

 ――――王都コローナ 王国軍広報協力本部内。


 ロンドニアでの戦いが終わった俺たちは、消耗回復のために前線から王都へ戻ってきていた。

 っというのも、王国軍が新生魔王軍を文字通り圧倒している現在、レーヴァテイン大隊があまり無理をする必要はなくなったらしい。


 そんなこんなで休暇に入って数日......今日の広報本部内はえらく盛況で、いつもは過疎気味のカフェのような応接室には大勢の客――――と言っても大半が軍人なのだが、とりあえず賑やさで満ちていた。


「そんでよ、ゴブリンの大軍が俺らの小隊に突っ込んできやがったんだ。あれは冷や汗が出たね......でもすかさず設置してあった機関銃でまるごと薙ぎ倒してやったよ」


 歩兵部隊の人間は初めての実戦で引き金を引いた感覚を少し大げさそうに。

 砲兵部隊なら、初めて敵を榴弾でふっ飛ばした時の話をやや興奮気味に。


 そんな感じで、前線から一旦戻ってきた兵士らはなぜかここでたむろし、談笑を楽しんでいた。


「あのールミナス広報官......、これどんな状況ですかね?」


 カウンターでコーヒーを作っていた赤髪の女性軍人、ルミナス1等軍曹に思わず聞いてみる。

 すると、なんというか本人も困ったようにため息を吐きながら答えてくれた。


「エルドさんの言いたいことはわかります。見てのとおり内装が完全に喫茶店ですからね、一部の人間がたまにこうしてくつろぎに来るんですよ......。来てほしいのは志願者なんですがね」

「広報官は大変ですね......、生活用品は諸々買ってきましたので、俺は奥に戻ります」

「了解です、せっかくの休暇ですしごゆっくり」

「ありがとうございます」


 談笑を背に、俺は居住者用のトビラを開けて中に入った。

 木の床を歩いてしばらく――――やがて見えてきたリビングからは、なにやら声が聞こえる。


 現在この広報本部に住んでいるのは俺とセリカ、んでもってラインメタル少佐。

 そして――――――


「このお店とか良くないッスか!? 軍港の街出身なら絶対口に合いますって! "オオミナトさん"!」


 ソファーでくつろぎながらセリカと雑誌を見ていたのは、冒険者オオミナト ミサキ。


 彼女の寝泊まりする場所が馬小屋だと聞いた少佐が、とりあえず部屋も余っていたので彼女をここに入れたのだ。


「あぁエルドさん、お帰りなさいッス。今オオミナトさんから軍港の街出身って聞いたので、あるお店に行こうと思ってたんですよ」

「あるお店?」

「そうこれッス、ジャジャーン! 名を"コローナ海軍カレー本舗"さん!! ここのメニューがすっごく美味しいらしいんですよ! ミリオタとして放っておけません」


挿絵(By みてみん)


 海軍カレー。

 諸説あるが、海軍では航海中に曜日感覚がなくなってしまうので、毎週金曜日をカレーの日にしているらしい。


 そんな海軍カレーを振る舞う唯一の店が、最近王都に開店したとは聞いていたが......。


「なるほど、興味深い......オオミナトさん的には?」

「全然大丈夫ですよ! 私も久しぶりに食べてみたいですし!」

「じゃあ決まりッスね! では各自速やかに装具点検後、11:30に目的地へ向けしゅっぱーつ!」


 ハイテンションになったセリカが、数分で支度を終えてしまう。

 興味や好きなことへの行動力はハンパないな......。


「オオミナトさんはその格好でいいのか?」

「もう体操着はわたしのトレードマークみたいなもんですし、着てないと魔法も使えないんでこれで行きます。まさかこの服が転生特典のチートアイテム扱いだったとは......」


 うん、相変わらず特典だのチートアイテムだのわからん。

 そんな流れで、俺たちは海軍カレーを食べに広報本部を出た。


 ――――2階の窓から覗いていた視線にも気づかず。


なんと、またまたセリカ・スチュアート1士のFA(ファンアート)を頂いてしまいました!!

大感謝......!!!八重歯がめちゃくちゃ可愛いですね

イラスト作者は「ドコ様」です!

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