表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/380

第66話 王の末裔? 一兵卒1人で十分です

畏れ多くもレビューを頂いてしまいました

((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル


ので、昨日に続いてさらにもう1話追加で更新です!

 

「オオミナトさん、待たせた......!」


 装甲車から飛び降りた俺は、安堵した表情で座り込むオオミナトに駆け寄った。

 すっかりボロボロになった彼女は、ふぅっと息を吐いて崩れた屋台に寝っ転がる。


「いつも遅いんですよエルドさんは......、わたしもう疲れちゃったので......あと任せて良いですか?」

「あぁ、よく戦ってくれた。お前のおかげで街はまだ陥落せずに済んでいる」

「なら良かったです......。一応わたしも......人を守れたんですかね」


 言い終わると同時にオオミナトは意識を失う。

 俺は立ち上がると、体勢を整えた2人の吸血鬼へ振り返った。


「少佐、一応街中なので聞いておきます。......武器使用の制限は?」

「欠片も無い。我々は目の前の吸血鬼へ全力を出さねばならないだろう」


 車を降りた少佐が両手に拳銃を持ちながら答える。


「勇者に兵士......!! お前ら如きにこの争乱は止められない! たった数人でなにができる?」

「ほお、その様子だと、まだ僕たちが旧来の古臭いパーティー戦術を取っていると思っているらしい」

「どういうことだ!!」

「知らないなら教えてあげよう、こういうことだ」


 少佐が右手を上げた瞬間、それは起こった。


 ――――ダァンッ――――!!!!


「なッ......!?」


 エルミナを襲ったのは、肉眼では見えない位置から放たれた銃弾だった。

 吹っ飛んだ彼女は転がりながら靴底でブレーキを掛ける。


「ありえないっ! どんな長距離魔法でも察知できないわけがないのに......! 何をした!!」

「言っただろう? 我々はもはや勇者パーティーなどではない、国家が持ち得る最大最強の暴力装置――――――」


 少佐の合図でさらに追加の"長距離狙撃"がエルミナへ牙をむいた。


「ぐっ......!!」

「名を軍隊――――! 君たちの野望も信念も、これの前ではひたすらに無力だ! 立ち上がる軍旗の前にひれ伏してもらおうか!!」


 気づけば屋根上には大勢の軍人が立っており、その全員が量産前で数少ないアサルトライフルを装備していた。

 王国軍の虎の子――――ロンドニアに展開していたレーヴァテイン2個中隊がここに集結したのだ。


 少佐の横に立つ形で、俺とセリカも前へ出る。


「舐めるな人間風情がッ!! 国家の操り人形などに負ける我々ではない!!」


 大量の魔法陣から召喚魔法が発現。

 こちらの頭数を上回るゴブリンやスケルトンナイトが、街の広範囲に分散した。


 全く厄介極まる行為だが、少佐は冷静に指示を出す。


「各員、小隊ごとに散開して追撃!! 1匹も逃がすことは許さんッ!!」

「「「「「了解ッ!!」」」」」


 徹底して訓練された兵士らは、直ちに行動を開始。

 一方的とも言える戦闘を各地で始めていた。


「さて、僕とセリカくんはあの水色吸血鬼を......あのエルミナという娘はエルドくんに任せるよ」

「了解しました少佐」

「ならエルドさん、これを!」


 セリカから渡されたのはスラグ弾の装填されたショットガン。

 なるほどありがたい、これで火力には困らないというわけだ。


「助かる......でもお前の銃はどうするんだ?」

「今はいりません、わたしには"これ"があるので」


 ドヤ顔でエンピを構えるセリカ。

 そういえば元近接職の冒険者だったなコイツは......。

 トロイメライ以来となる本気を出すつもりだろう。


「このわたしを1人でだと......!? 冗談も大概にしろ人間ッ!! この吸血鬼王の末裔に一兵卒がかなうと思うな!!」


 エルミナは炎槍を具現化し、それを俺目掛けて猛烈な勢いで投擲した。

 避けることもたぶんできたが、後ろには気を失ったオオミナトがいるのでその選択肢は除外。


 なら――――――


「なにッ!?」


 前方に展開した初級防御魔法が、エルミナの炎槍を正面から受け止めた。

 障壁の傷は無限の魔力ですぐに修復され、攻撃など無かったように元通りとなる。


「少佐の言った通り一兵卒とのサシで十分だ、掛かってこいよ――――吸血鬼ッ!!」

「ッ......!!!」


 俺とエルミナは、互いに魔法と銃口を向けあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ