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【完結済み】外れスキルの不遇魔導士、ゴミ紋章が王国軍ではまさかのチート能力扱いだった〜国営パーティーの魔王攻略記〜  作者: たにどおり@漫画原作
第三章【冒険者ギルド研修編】

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第44話 最高幹部? では鉛弾を差し上げましょう

 

「またおかしな魔導具をお持ちのようで......無駄ですよ、私に魔法は通じませんので」


 戦闘の音を聞いて駆け付けた俺は、セリカを拘束していたリザードマン。

 次いで黒い影に覆われた男を迷いなく撃っていた。


 理由は単純明快、男の持つ魔力量は以前トロイメライで倒したデスウィング以上であり、セリカとオオミナトが満身創痍だったからに他ならない。


 間違いなく魔王軍の最高幹部級。

 その男の方は、銃弾を受けたにも関わらず健在であった。


「魔力を感じさせない武器のようですが、次は通用しませんよ」


 魔導具......? もしかしてこいつ"銃"を知らないのか?

 だから魔導具と勘違いしてるのか。


「セリカ、今はオオミナトと一緒に岩の傍に隠れてろ」

「えっ......でも」

「ヤツの相手は銃も近接武器も持ってない状態じゃキツい。あと、俺が合図したらそこの茂みに行ってくれ」

「茂み? ッ......はい! わかりました」


 満身創痍のオオミナトの傍に行くようセリカへ指示すると、男へ数歩近寄る。


「さて、良ければ自己紹介でも頼もうか。最高幹部ってのを否定してなかったが?」

「よく感づいたものです、私は新生魔王軍の最高幹部ヒューモラス、この世のあらゆる魔法を知った大魔導士でもあり――――――」

「そうか、わかった」


 俺は一切の躊躇なくアサルトライフルの引き金をひいた。

 高速で撃ち出された弾丸30発が、ヒューモラスの自己紹介を終える間もなく貫いた。


「バカなッ......! 魔力さえ掴めば反射は容易なはず......」


 被弾箇所から黒い血のような液体を出すヒューモラス。

 やっぱ反射系魔法の使い手か......、オオミナトもおそらくこれにやられたのだろう。


「銃に魔力なんて感じない、今お前を襲ってるのは――――」


 最後の弾倉マガジンを挿し込み、再びサイトの中央に据えた。


「鉄と火薬だよ」


 ――――ダダダダダダダダダッ――――!!!!


 銃弾がヒューモラスをズタズタに切り裂き、後方の木々に次々と風穴を空ける。


「チィッ!! 人間風情がぁ!!!」


 ヒューモラスの背後にドス黒い魔法陣が出現。

 無数の手が伸びてきた。


「『ブラックハンド』!!!」


 大量の手による凄まじい猛撃が繰り出され、回避の途中でアサルトライフルが黒い手に弾かれた。


「くっ!」

「不幸からは逃れられません! ここで逝きなさい!!!」


 黒い手が集約され、1個の魔力となった。


「『カイザー・ブラスト』!!!」


 放たれた上位魔法は真っすぐ俺に向かう。

 だが、この状況こそ狙っていた最高の瞬間だった。


 俺は背中にあった唯一の魔導具、冒険者クロムの持っていたレアアイテムを空いた右手に構える。


「当たるかよッ!!」


 彼から奪った『魔力反射の盾』は、ヒューモラスの魔法を見事に逸らしてくれた。

 すぐさま2撃目を放とうとするヒューモラスへ、俺は地面を蹴って一気に肉薄する。


「うおおぉぉッ!!!」


 盾ごと相手に突進し、そのまま後方の木へ押し付ける。


「がっ......! なにッ!?」


 盾と木に挟まれ身動きの取れなくなったヒューモラスへ、とどめを刺すべく腰の拳銃を抜くと、脇腹へゼロ距離から撃ちまくった。


「うぐっ......おごあぁッ!!?」


 黒い血が飛び散り、ヒューモラスの断末魔が森に響いた。

 だが、ヤツの耐久力も人間を超えていた。


「えぇいッ! 小賢しい!! その程度の攻撃で倒せると思うかぁ!!!」


 やっぱまだダメか、最後の1発を撃ち切ると同時に、俺は後方へ飛びながらセリカへ叫ぶ。


「今だセリカッ!! そこの茂みに行け!!!」


 岩陰から突っ走った彼女は気付いただろう、俺が来た茂みに隠していた近接最強の武器を――――

 それを取ったセリカが、側面を突く形でヒューモラスへ接近。

 彼女は先程のお返しとばかりに"ショットガン"をぶっ放した。


「うぐぉッ!!?」


 のけぞるヒューモラスへ、スライドを引いてさらに連射。

 12ゲージ散弾が連続で発射され、ヒューモラスは盛大に吹っ飛んだ。


「ぐっ......、人間の武器がここまで、進化していたとは......。リーリスの言葉も戯言ではなかったというわけですか」


 まだ生きてるのかよ......、なんつータフさだ。

 マズいな、もう弾がない。


「では――――――全力で......叩き潰してやりましょうッ!!」


 バカみたいな魔力が森を走った。

 さすがに最高幹部、これだけやってダメとなると......。


「セリカ、荷物を頼む」

「へっ?」


 俺は座り来むオオミナトの所まで走ると、そのまま彼女を抱きかかえた。


「ふぇッ!? ちょちょちょエルドさん!?」

「セリカ! オオミナト!! 全力で逃げるぞッ!!!」


 オオミナトのふとももに手を回す、今回だけは緊急避難的な意味合いで許してくれと心中で叫んだ。

 ヒューモラスが臨戦態勢に入った一瞬のスキを突き、俺たちは一目散に突っ走る。


「エルドさん急にどうしたんスか!?」

「ヤツにはもう個人用火器じゃ通用しねぇ! 弾ももう無い、戦略的撤退に限る!!」


 最高幹部をたった数人で? 質の悪いジョークでもお断りだ。

 全力で逃走した俺たちを、しかしヒューモラスはなぜか追いかけて来なかった。



ノックバックならショットガン最強ッスね、アサルトライフルの殲滅力と合わせると大変グッド。

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