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【完結済み】外れスキルの不遇魔導士、ゴミ紋章が王国軍ではまさかのチート能力扱いだった〜国営パーティーの魔王攻略記〜  作者: たにどおり@漫画原作
【番外・新大陸編】

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22・希望を賭けた最後の突撃

 

「機関最大出力! 魔甲障壁を前方に集中展開して! 目標超戦艦––––攻撃開始!!」


 水面の『グリフィス』へ向かって浮上しつつ機関最大、30ノットという高速で突撃を開始した。


「魚雷発射管開放! 5番6番の低周波魚雷斉射ッ!!」


 水中を突き進んだ2発の魚雷は、『アークロイヤル』と『グリフィス』のちょうど中間で起爆。

 海中を低周波が駆け巡り、駆逐艦の放っていたホーミング魚雷が無理矢理爆破させられる。


「今だッ!! DSRV(深海救難艇)射出!! 全艇突っ込めぇ!!」


 今しかない……! その想いと共に船体上部へ張り付いていたDSRV2艇を発進させた。

 40ノットという高速で、彼らは先頭へ躍り出る。


「敵艦の最終予想位置、出ました!!」


「ホーミング魚雷、洋上より接近!! 弾数4!!」


 駆逐艦が残っていた最後の魚雷を発射、なんとしても近づけまいとした。

 だが、ここで先行していたDSRVが急回頭––––魚雷正面に舵を切ったのだ。


「これはエルロラ様への献身よ、貴方たちの死をもって我々は国家の奴隷共から彼女を守るッ」


 2艇のDSRVが、魚雷に自ら当たることで母船を防護する。

 激しい爆発に揺れる中、『アークロイヤル』は船首を真っ直ぐに向けた。


「1番2番––––“対艦粉砕魚雷”発射ッ!!!」


 洋上の『グリフィス』目掛けて、渾身の魚雷が発射された。


 ◆


 ––––超戦艦『グリフィス』、艦橋。


「ソナーより艦橋!! 高速推進音接近! 魚雷攻撃ですッ!!」


 ラインメタル大佐は、久しく味わう戦闘の快楽を全身に感じていた。

 度重なる魚雷と爆雷攻撃をいなし、DSRVを盾にすることで肉薄すら行う。


 ここまで歯応えのある艦だと、誰が予想していただろう。


「どうする大佐? 本艦のアスロックは20発全てが弾切れ、僚艦の対潜兵装も尽きた––––敵弾を迎撃する術はもうない。このままでは負けるぞ?」


 艦長の言葉に、「ご冗談を」と大佐は笑った。


「少し誤解されているようですが、私の目的は最初から魚雷による敵艦撃沈ではありません」


「なんだと?」


 水面に迫った魚雷が、白い尾を引きながら近づく。


「海賊共は、最初にこちらのアスロックにより攻撃を中止した時点で、その勝ち筋を失いました。起こった戦闘は全て掌の上で管理していますよ」


 面舵をいっぱいに切る『グリフィス』、だがもう避けるのは不可能だった。


「時間稼ぎとしては上出来でしょう……、後は彼が全て終わらせます」


 グリフィスの側面部––––着弾寸前の魚雷が、一斉に爆発した。

 被弾ではない、降り注いだ大量の雷がまるでカーテンのように、デタラメな火力をもって迎撃したのだ。


 水柱が壁のようにそそり立つ。


「最初からこちらの勝利は確定していたのです、我らは“国営パーティー”……連中とは手札の質が違う。そうだろう? エルドくん」


 ◆


「なんとか間に合ったな……」


『いや間一髪過ぎじゃわ、魚雷当たる寸前じゃったぞ』


「当たってないからセーフで良いんだよ、ヴィゾーヴニル」


 いやはや参ったもんだ、まさか人が食堂で飯食っている時に戦闘だなんて。

 迷路のような艦内で迷いに迷って、ここまで参加が遅れてしまった。


 ラインメタル大佐が時間を稼いでくれなかったら、間違いなく被弾していただろう。

 さて––––


「やるんッスか? エルドさん」


 彼女からエンピを受け取る。


「当たり前だろセリカ、売られた喧嘩は買う––––相手が神でも潜水艦でもな」


 俺は目をバッと見開いた。


「『超広域探知』」


 アクティブ・ソナーのような高音と共に、俺を中心とした円形の超巨大索敵網が広がった。


 ヴィゾーヴニルと合わさった本来の俺の力による圧倒的な出力、海中はもちろん100キロ以上離れたミハイル連邦超戦艦すら補足した。


「見つけましたか?」


「あぁ、左舷海中––––距離は1800、深度130」


 魔力無限に加え、次々と紋章が首まで浮かび上がった。

 全身に雷属性と炎属性、風属性魔法を纏う。


 この2年ずっと積んだ鍛錬、無限の魔力と合わせたそれら全てが完璧に統制され、振り上げたエンピへ一気に収束する。


 周囲の音が全て消え去った……。


「滅軍戦技––––」


 俺は両手でエンピを握りしめ、全力で振り下ろす。


「『ユグドラシル・ブラスター』ッ!」


 放たれた超々高出力レーザーが、海面から海底までを一気に穿つ。

 海が蒸発し、周辺海域は沸騰––––攻撃は障壁で守られていた敵潜水母船を木っ端微塵に粉砕した。


 割れた海が滝のように流れ込んでいき、バラバラとなった潜水母船を飲み込んでいく。


「今の技って……ウォストピアの亜人勇者が使ってた技ですか? 昔街を薙ぎ払いまくってた」


「それの上位互換だ、遅れた分キッチリ仕事はしないとだし」


 荒れる海を見ながら、セリカは柵にもたれつつ一言。


「海賊の人たち。エルドさんと大佐が乗ってる艦を襲うとか、ツイてなかったですね……」


 作戦は次の段階へ移行する。

 次の相手はエルロラ海賊団本拠地、タイムリミットは連邦の超戦艦が到達するまでだ。


 もしエンカウントすれば、交戦は避けられない––––


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