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第323話 VS女神アルナ

 

 魔導ガトリングガンを放り捨てた俺は、すぐさま腰の9ミリ拳銃を抜いた。

 重たい落下音が響くと同時に発砲、サイレンサーで抑制された銃声が鳴った。


 飛翔した9ミリホローポイント弾が、露出していた女神の肌を食い破る。


「『炸裂魔法付与ブラスト』」


 爆発が女神を内側から襲った。


「ぐぅっ......」


 黒煙に覆われた女神は、数歩のけぞるが四肢すらちぎれない。

 地肌部分を狙ったがダメか......なら!


「行くぞっ!!」


 俺たち3人はそれぞれの武器を手に床を蹴った。

 近接戦でその心臓をえぐる作戦だが、アルナの両目が金色に光った。


「ぐっ!!」


 女神の羽根からまばゆい輝きが放射状に広がる。

 軌道を変えたそれらは、激しい弾幕となって俺たちを襲った。


「がはっ!?」

「ぬぅっ!!」


 直撃を受けてしまったセリカとペンデュラムが、後方の柱まで吹っ飛ばされた。

 2人共にガードしようとしたが、あまりの弾速に間に合わなかったようだ。


 くそがっ、なら!


「おらぁッ!!」


 至近距離まで詰めた俺は、ほぼ接射でトレンチガンをぶっ放した。

 ......が。


「なにっ!?」


 球状の弾丸は、女神に当たる寸前で防御魔法によって防がれていた。

 硝煙の中から、不気味な笑みを浮かべたアルナの顔が浮かぶ。


「ッ!!」


 女神は光の剣を錬成すると、俺へ目掛けて横一閃で薙ぎ払った。


「う......ぐっ!」


 すぐさま防御魔法を展開する。

 かろうじて直撃は免れるが、勢いまでは殺せず弾き飛ばされた。


 床を転がった俺は、空中で体勢を立て直す。


「私を殺すことは、世界を殺すことと同義。そんなこと叶うと思っているのか?」


 凄まじいスピードで迫る女神。

 だめだ......、まだ防御魔法は時間が......!


 ショットガンの排莢すら行えていない。

 本物の死が目の前に迫る。


「ガギャアァァッ!!」


 直後、突っ込んできていた女神が炎に包まれた。

 次々と撃ち込まれる炎弾。

 上空を見れば、その正体がわかった。


「ワイバーン部隊っ!」


 ネロスフィアを止めた王国軍のワイバーンが、ユグドラシルの頂点であるここまで飛んできていたのだ。

 ドンドン味方がやってくる、心強さを感じていた瞬間だった。


「世界の理を焼き切ることはできん、それは絶対不変のルールであるからだ」


 炎を切り裂いて伸びたレーザーは、空中で大爆発を起こした。

 蹴散らされたワイバーン部隊が、大慌てで待避せざるをえなくなる。


「うおおおおおぉぉおおおおッ!!!」


 高速化魔法でスピードを上げたペンデュラムが、俺を後ろから追い抜いて女神に魔剣を叩きつけた。

 金属同士をぶつけたような爆音が響く。


 が、やはり防御魔法はアッサリと攻撃を受け止めていた。

 アルナの反撃をかろうじて受け流しながら、ペンデュラムは叫んだ。


「畳みかけろっ!!」

「っ!」


 俺は残像ができるほどの速度でフォアエンドを往復させ、排莢作業を行いながら再び突っ込んだ。

 ペンデュラムと入れ替わる形で、もう一度女神へ銃口を向ける。


「『貫通属性付与ショット!!』」


 エンチャント付きの散弾をぶつけるが、それでも砕けない。

 知ったことか! やれ!!


「セリカぁッ!!!」


 瓦礫を飛び出したセリカが、空中からエンピを振り下ろした。


「せぇやぁッ!!!」


 三度の連撃を受け、アルナを守っていた防御魔法は砕け散った。

 再び排莢、よろめいた相手へ俺はチューブ内の残弾がなくなるまで撃ち込んだ。


「どうだっ......」


 ゴロゴロと転がったアルナは......。


「ちっ......!」


 遠慮する素振りもなくヌルリと起き上がった。

 間違いなく致命傷のはずだ、なのに女神は笑みを崩さない。


「『ユグドラシル・ヒール』」


 アルナのちぎれかけていた腕がスルスルと元に戻り、砕けた鎧や出血していた銃傷がまたたく間に回復してしまった。

 くそったれ......とんだチート野郎だ。


「私はこの世界樹ユグドラシルと完璧に同期している、皮膚の薄皮を削るくらいの攻撃でどうにかなるとでも?」

「おのれっ......!」


 歯ぎしりする魔王。


「勇者の力、魔王の力、そして女神の能力を持った私にもはや敵う者はいない。私が全世界の神となる瞬間を......あの世で見ることだな」


 女神アルナの羽根が金色に輝いた。


「クソがっ!!!」


 防御魔法を展開。

 激しいレーザーの乱打が、俺たちを包み隠した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 世界樹切るのはチェンソーですか斧ですか
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