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第3話 属性魔法が使えない魔導士のスキル選び

 

「俺に合ったジョブ……ですか?」

「ああ、つまりはスキルを得るために必要な選択ということだ。冒険者ギルドでもみんなやってることだからね」


 いきなり現れた元勇者を名乗る男は、興味に満ちた目で俺を見ていた。

 本当にこの人が魔王を……。


「もー少佐ぁ! いつも人使いが荒いッスよ! 目的のものはなんとか手に入れましたが、仮にも軍人のわたしに魔法学院へ行かせるなんてー!」


 どこか怒った様子のセリカが、ポカポカと少佐を叩いている。

 おいおい、そんなフランクに絡んで大丈夫なのか……?


「どうせ暇だったんだろう? 趣味友が見つかって良かったじゃないか」

「いやっ、まぁそうッスけど……」


 秒でやり込められている辺り、あの少佐はセリカを扱い慣れているようだ。

 しかも、既に俺のことは伝わってるらしい。


「ラインメタル少佐、得られるスキルというのはどんな種類があるんですか?」


 残念ながら、自分はその手のことをあまり知らない。

 目の前の少佐が本当に元勇者だというなら、その問いの答えが気になった。


 ……のだが、唐突にセリカが割り込んでくる。


「なら『弓兵職アーチャー』をオススメするッスよ」

「いやお前じゃねーよ、しかも扱うのは銃だろ? なぜ弓用のスキルなんかオススメするんだ」

「飛び道具に効くスキルがまだそれしかないんですよ、まあ使い方は違えど同じ武器。命中精度アップや扱いの上達などが、効果として上げられるッス」


 武器の進化にスキルが追い付いてないのか。

 こんなこともあるんだな。


「もしかして知らなかったッスか? いやーエルドさんなら知ってると思いましたがー」


 クッソ、いちいちマウント取ってくるのが妙に腹立つなオイ!

 だが……、もしコイツの言う通りなら。


「セリカくんの言う通り、僕からも『アーチャー』をオススメする。剣士職セイバーは魔導士の君にはどっちみち向かないし、軍では少数派だ。それに君の紋章なら––––」


 言いかけて、少佐は口をつぐんだ。


「まあいい、決まりならさっそくスキルを習得してもらおう。ルミナス広報官」

「はっ! 直ちに」


 せわしなく出されたのは、冒険者ギルドなどにも置いてある初期スキル習得用の魔導具だった。


「スキルは主に、『ステータスカード』を操作して決定する。ジョブが決まっていれば指で設定できるが、君はまだ真っ白だからね」

「なるほど、それで『ステータスカード』を持ってこいと」


「そういうことだ」と少佐は頷き、水晶型のそれに魔力を宿す。


「ではエルドさんの『ステータスカード』を入れて––––セット完了! スイッチオーン!!」


 楽しそうに魔導具を起動するセリカ。

 あのミリオタは、案外こういう魔導具も好きなのかもしれんな。


『ステータスカード』に文字や数字が次々と記されていき、呼応するように俺の紋章も光を放つ。

 どうやら、これで完了らしい。


「無事終わったようだね、さて入隊に関してだが––––その前に君には"あること"を行ってもらいたい」

「"あること"ですか?」


 紋章が紅く輝き、アーチャースキルの初期習得が終わる。


「冒険者ギルドは知ってるね? 僕の友人が経営してるんだが––––そこで上級クエストを受けてもらう」


 少佐は頬を吊り上げ、勇者どころか悪魔のように笑った。

 なるほど、つまり入隊試験というやつか。


 新しいスキルも試したい、やってやろうじゃないか。


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