表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

295/380

第295話 ネロスフィア見ユ!

 

「先頭艦ダイヤモンドより戦隊旗艦ロングゲートへ、弾着確認! 初段全弾命中!」


 ブリッジの中では王国海軍の水兵たちが慌ただしく動いており、友軍に報告作業を行っていた。


 見張り台を借りて見渡せば、この巡洋戦艦を先頭にして警戒序列を組んだ艦隊が伺える。

 かなりの数の戦艦や駆逐艦が揃い、まるで空母の護衛のようだった。


「うっひゃー、凄い砲撃音だったッスねエルドさん!」


 同じく艦橋横の見張り台では、エンピを持ったセリカが立っていた。

 彼女の視界の先にあるのは、圧巻とも言える光景。


「しかし......、どうも目標が大きすぎる」


 今から少し前、海域に突入した艦隊が見たのは自走する魔都ネロスフィアだった。

 超巨大な都市が移動し、こちらへ向かってきているのだから全員驚いた。


 当初の予定を繰り上げ、戦艦隊が艦砲射撃を行って今に至る。

 もっとも、デカさがデカさなのでほとんど効いていないようだが。


「少佐たちはもう突入してるんッスよね?」

「凄まじい魔力のぶつかり合いを感じる、たぶん戦ってるんだろう」

「くぅ〜! わたしも早くエンピで暴れたいッス!!」


 多動するセリカ。


「それも良いがセリカ・スチュアート1士、まずは敵の迎撃網を突破するのが第一だ」

「そうですよセリカさん、まぁわたしたちなら楽勝でしょうけど!」


 振り返れば、そこにはレーヴァテイン大隊副官のヘッケラー大尉。

 そして、お馴染みの体操着を纏った風魔導士のオオミナトが立っていた。


「大尉、部隊の様子は?」

「全員狭い艦内に鬱屈としてるよ、早くネロスフィアで暴れさせなきゃ暴動が起きそうだ」

「はっは、それはマズいですね。早いところ手を打たないと」


 全員が、航行するネロスフィアを見る。

 巨大な外縁部に街を巡らせ、中央にはこれまた雲を貫く魔王城。

 さらにその上には、赤色のデカいクリスタルが浮遊していた。


「あれがエーテルスフィアか、エルミナくんたちが上手くやってくれてると良いんだが......」

「ここで我々が気をもんでいてもしょうがありません大尉、彼女たちと少佐を信じましょう」

「そうですよ! それにこっちには無敵のタンクがいるんですから!」


 オオミナトの視線は、バッチリ俺を向いていた。

 まだ幼い容姿でドヤ顔しており、黒い瞳はジッとこっちを見ている。


「だー! わかったわかった!! 俺が盾になりますよ!!」

「さっすがエルドさんッス! 頼りになるー!」


 セリカのヤツとオオミナトを引っ叩きたくなったが、実際適任が俺しかいなかったのでしょうがない。


 周囲では、僚艦が再び主砲による攻撃を行っていた。

 ネロスフィア市街地に砲弾が降り注ぐが、都市は全く止まらない。


 だが......いくら少佐と参謀本部の指示とはいえ、フレンドリーファイア覚悟でぶっ放すのもどうなのか。

 俺がそう思考していた時、双眼鏡を覗いていた見張員が叫ぶ。


「ッ!! エーテルスフィアに動きあり!! 魔法陣が展開されていきます!!」


 目をこらせば、魔王城上空のクリスタルがゆっくりと回転していた。

 その周りに、次々と魔法陣が浮かんでいく。


「《ダイヤモンド》を除いて回避運動!! 頼むぞレーヴァテイン!!」


 戦隊旗艦の艦長が命令を下す。

 瞬間、エーテルスフィア周辺の魔法陣が光り輝いた。


「エーテルスフィア! 空対艦モードに移行!! 凄まじい弾幕です!!」

「見張員待避!! 機関いっぱい最大戦速ッ!!」

「最大戦速! アイッ!」


 巡洋戦艦ダイヤモンドが、一気に増速。

 機銃弾の雨のような弾幕へ突っ込んだ。


「エルドくん! 艦首へ行け!!」

「了解!!」


 木製の甲板がえぐられる中、飛び降りた俺は艦首に立った。

 見れば友軍艦が、援護のためにエーテルスフィアへ撃ちまくっている。


「はっ!!」


 俺は無限の魔力に物を言わせて、《ダイヤモンド》全体を防御魔法で覆った。

 機銃程度の威力しかないエーテルスフィアの攻撃は、1発残らず弾き返す。


「こちら艦橋! エーテルスフィアがモードチェンジに移行。魔法陣を1つに収束させている!!」

「ッ!!」


 そう簡単には通してもらえなさそうだ.....!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ