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第256話 神の鎖なんざクソ喰らえだ

 

「はッ!!!」


 アルミナがすかさず氷壁を錬成、レーザーを正面から受け止めた。


「お姉ちゃん......!!」

「ッ! カバーしろエルドくん!」

「了解!!」


 踏ん張っているアルミナの横へ立ち、すぐに氷壁へ防御魔法を張り巡らせる。


「ぬうあああぁぁぁあああああ――――――――――ッッ!!!!」


 強烈な熱により、ジワジワと氷が溶けていく。


「ッ......!! セリカぁッ!!!」

「はああああああぁぁあ――――――――――ッッッ!!!!!」


 俺たちごとレーザーを飛び越えたセリカが、回転しながらエンピをホムンクルスへ叩きつける。

 ミシリと音を立てた後、凄まじい勢いで吹っ飛ばした。


「はぁっ! はぁっ! 今のうちにブレスト将軍はエルミナを連れて奥へ!!」

「はっ、はい!!」


 2人は駐屯地の奥へ退避する。


「目標! 正面ホムンクルス!!」


 駆けつけた王国軍歩兵部隊が、ライフルを次々に構えた。


「撃てッ!!」


 ボルトアクションライフルに加え、固定式のMG34機関銃が嵐のように発射される。


【主の名は我を守らん】


 数発食らったホムンクルスは、すぐさま障壁を出現させた。

 大量の銃弾が弾かれる。


「まだだッ!!」


 俺は最後のマガジンをアサルトライフルに挿す。


「『炸裂魔法付与ブラスト』!!!」


 エンチャント付きの弾丸がホムンクルスを襲う。

 俺の攻撃に続いて、王国軍部隊も次の手を打った。


「半装填!」

「半装填よし!」

「発射ッ!!!」


 横にズラリと迫撃砲を並べ、一斉に撃ったのだ。

 ほぼ真上に飛んだ迫撃砲弾は、正確にホムンクルスへと命中した。


【我々は繁栄しなければならない、我々は繁殖しなければならない】


 爆発の業火に覆われる。

 マガジンを捨てながら俺は叫ぶ。


「セリカ! ミリオタのお前に頼みたい!!」

「な、なんッスか!?」

「そこにある対空砲を垂直にして撃てッ!! それならヤツも死ぬ!!」

「っ......!! 了解!!」


 置いてあった88ミリ高射砲に駆け寄るセリカ。

 だが、それを察したホムンクルスに金色の魔力が宿った。


【主は全能なり、主の導きに栄光あらんことを......】


 レーザーがセリカへ向かって放たれる。


「させるかッ!!」


 障壁を展開して防ぐ。

 それでもパワーを殺しきれず、拡散したレーザーが周囲の機銃陣地や迫撃砲を吹っ飛ばした。


「邪魔はさせませんっ!!!」

「発射の阻止はさせない」


 飛び出したオオミナトとアルミナが、それぞれの魔法で交戦する。

 しかし......。


【愚かな!】


「ぐはッ!」

「ガハッ!?」


 樹木のように太い腕を生やしたホムンクルスが、2人を殴り飛ばしたのだ。


「援護しろ!!」


 立ち直った王国軍が、生き残った銃座やライフルで射撃を行う。

 早く、早く......!!


 俺が思わず振り向くと――――


「照準よし!! エルドさん!!」


 砲身を水平にした対空砲が、こちらを向いていた。


「やれ――――!!! セリカ!!!!」

「発射!!!!」


 俺が飛び退くと同時に、88ミリ砲弾が発射された。

 爆音が響き、大口径砲弾はホムンクルスに突っ込む。


【主よ、絶海の果てより至れり祝福を――――我が身に与えられん】


「超高ランク防御魔法ッ!?」


 ホムンクルスを覆った障壁は、88ミリ砲弾を正面から受け止めた。

 このままでは止められてしまう.....! ここまでか。


 88ミリ砲弾と正面からせめぎ合うホムンクルス。

 そこへ、左右から気絶していたはずのアルミナとオオミナトが全速力で飛び込んだ!


「グラキエース――――!!!!」

「鳳凰――――――!!!!」


 2人はありったけの魔力を腕に集める。

 ここで押し切れなければ死ぬ、死にもの狂いにただひたすら全力で! 持てるパワーを一気にぶつけることこそ最善だと。


「ツイン・バルカンラッシュ!!!」

「暴風拳ッッ!!!!」


 左右から猛烈な攻撃がホムンクルスを襲った。

 全身全霊全力で! 砲弾を貫通させるべくラッシュを打ち込み続けている。


「2つのエンチャントを1つに......! 体がぶっ壊れようと知るかァッ!!!」


 大地を蹴った俺は全身に魔力を纏う。

 紅く輝いた俺の瞳は、やがて水色へと染まる。


身体能力強化オリオン』に『身体能力強化オリオンレイド』を重ね掛けしたのだ。

 無茶苦茶だ......! だが!


「俺たち人間は自由意志の生き物だッ! 神の鎖なんかに縛られてたまるか――――――――――ッッ!!!!!」


 勢いを失いかけていた砲弾へ、真後ろから蹴りを叩きつける!

 88ミリは超高ランク防御魔法を貫き、ホムンクルスの体を貫通した。


【あぁ! アァッ!? 主の、主の祝福がなぜ......!!】


「燃やし尽くせぇッ!!!!」


 ヘッケラー大尉率いる、駆けつけた火炎放射機を持つ部隊によって、ホムンクルスは炎に包まれる。

 断末魔のような悲鳴を上げながら、ホムンクルスは遂に絶命した。



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[良い点] アハトアハトの水平打 ハルファヤ峠かよ
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