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第253話 カーチェイス

 

「撃てッ! 撃てッ!!」


 全速で走る装甲車。


 俺はアサルトライフルのストックを脇に挟みながら、片手でフルオート射撃を行う。

 もちろん炸裂魔法をエンチャントしてだ。


 一方でセリカも、ホルスターから拳銃を抜いて射撃していた。

 だが――――――


「ブオオオオオォォオオオオオオ!!!!」


 ウジ虫の集合体のような化け物は、咆哮を上げながらよつん這いで追いかけてくる。

 あの勇者の様相は外皮だけで、実際の見た目がこれだとするならば本格的に救いようがない。


「火力不足です! 大尉!」

「このままじゃ追いつかれるッスよ!!」


 拳銃のマガジンを捨てるセリカ。

 なんにせよこのままじゃマズい......、俺は車内へ叫んだ。


「アルミナ! 砲塔回せ!! それで迎撃するんだ!」

「わ、わかった!」


 砲塔が180度回転する。


「ぶっ放せ――――ッ!!」


 20ミリ機関砲が火を吹いた。

 こちとら車体に張り付いてる身なので耳がやられそうだが、これならどうだ。


「ブオぉッ!?」


 少しのけぞる......、しかしそれだけだった。

 ホムンクルスは砲弾で怯みこそすれど、なんと倒すまでに至らなかったのだ。


「エルドさん! 下がって!!」


 オオミナトが車体前部へ俺を引っ張る。

 直後――――


「うおおッ!?」


 ホムンクルスから伸びた触手が、装甲車に絡みついたのだ。

 彼女が引っ張ってくれなければ餌食になっていただろう。


「うわぁッ! こっち来んなッス!!」


 空の拳銃を振り回して抵抗するセリカ。

 両手がふさがっていてエンピを使えないようだ。


 それを見たオオミナトが砲塔の上に立つ。


「風属性中級魔法――――『エアカッター』!!」


 車体に絡まっていた触手が切り刻まれ、拘束から解放される。

 この状況だと彼女の魔法が実にありがたい。


「あ、ありがとうございますオオミナトさん......!」

「お気になさらず、それより次が来ますよ!」


 見れば、ホムンクルスはさらに気味悪い触手を生やしていた。

 おまけにその1本1本が魔法陣を浮かべているから、気持ち悪いことこの上ない!


「クッソー! あんな汚物消毒できたらいいのにー!」


 歯を食いしばるセリカ。

 20ミリも効かないんじゃどうしようもない、それこそ火炎放射でもできればいいのに。


 そこまで考えた時、ヘッケラー大尉が叫んだ。


「だったら消毒してもらおう!」

「えっ!?」


 直後、上空から火炎が降り注いだ。


「ブオオオオオォォオオオオオオッ!!?」


 ウジ虫状のホムンクルスが、業火に包まれる。


「全員よろこべ! 騎兵隊の到着だ!!」


 夜空を急降下してきたのは、何体もの"ワイバーン"だった。


「陸軍航空隊!!」

「そのとおりだ! やっちまえ!!」


 ホムンクルスの前に立ちはだかった数体のワイバーンが、口先に魔法陣を浮かべた。


「ガァッ!!」


 扇状に並んだワイバーンが、一斉に火炎放射を繰り出す。

 夜空を照らすように炎が渦巻き、またたく間にホムンクルスを火炎地獄へ導いた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ここは 「やったか?」とフラグたててみる [気になる点] アハトアハト出したからにはつかうよね [一言] コロナ神を消毒 時節柄なんもいえねー
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