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第242話 日本人同士

 

 ――――アルト・ストラトス王国 王都コローナ。


「はい、季節外れだけど抹茶アイスおまち」


 抹茶アイスを陸上自衛官ミクラ1等陸曹から受け取ったオオミナトは、その場でペロペロと舐めていた。


「ん~~!! やっぱたまには故郷の味を思い出さないとダメだな〜! ここの食事も美味しいんだけどずっと続いてると飽きちゃうのよねー」


 満面の笑顔を浮かべるオオミナトへ、ミクラは屋台にもたれながら応える。


「あぁーわかるよ、地球にいた頃も日米合同軍事演習だったかな......アメリカに派遣された時もわりかし日本食が挟まれたんだ」

「え、なんでですか?」

「向こうの食事も良かったんだけど、日本人はやっぱり日本食が食べたいもんなのさ。異国で何十日も故郷の食事が全く出ないとなると隊員は暴動を起こしかねん」

「せ、切実ですね......」


 肩に乗った黒髪を払うオオミナト。


「そういえば、ミクラさんはどうしてこの世界へ?」

「最初は記憶がマチマチだったんだが、今ではハッキリ覚えてる。と言っても単なる交通事故だったんだけどな」

「え、それって死んだんですか!?」

「だと思うよ、むしろオオミナトさんは死んでないのかい?」

「わたしはただ近所のコンビニに行こうとしていて、気づいたらここにいた感じなので......」


 まぁ、彼女としては全く予期せぬ出来事だったのは服装がそれを証明している。

 どこの変人に体操服で異世界へ出撃する者がいるのだと問いたいほどだった。


「わからんな、これまでの状況を察するにこの転移現象は女神側も意図していないようだし」

「まぁ〜わたしは別に意地でも戻りたいとは思ってないのでいいですけど......」


 コーンの部分を噛み砕く。


「どうしてだい?」

「あのまま日本で生きていても、どうせ無気力なまま進学してつまらない大人になってたと思うので......。わたし的にはこっちの世界に来れて良かったと、今では思ってます」

「なるほどね......」


 ミクラはアイスから少し離れると、タバコに火をつけた。


「まぁー俺も禁煙禁煙と騒がれて肩身の狭かったスモーカーだしな、こっちの暮らしも悪くないとは思ってる」

「でもこの国戦争中ですけどね〜」

「全く、日本とは何もかもが違いすぎるよ。今思えば70年以上もよく戦争しなかったもんだ......我が国は」


 ミクラはタバコの紫煙を吐き出す。


「そういえば、父のことを知ってるんですか?」


 オオミナトの家族はほぼ自衛官で構成されており、ミクラはその父親と面識があると聞いていた。


「大湊1等陸尉か? あの人には昔教育隊でガッツリ絞られたからよく覚えてるよ。でもあの人が色々と世話焼いてくれたおかげで俺は一介の自衛官になれた」

「ヘぇー、あの父がそんな熱い一面を......」

「今頃は防衛大学校を出たての陸尉をしごき回してるだろうよ。あの人叩き上げだし」

「あっ、アハハ......」


 そんな雑談をしていると、1台の車が目の前で急ブレーキを掛けた。


 中からは屈強な王国軍人が出てくる。


「レーヴァテイン副官、ヘッケラー大尉より呼び出しです。乗ってくださいオオミナトさん!」

「......へ?」


 言うが早いか、オオミナトは車に放り込まれる。


 ドサッ、バムッ!!


「ちょ、まっ!!」

「飛ばします! シートベルトを!!」

「いや、まず話をしてえぇぇぇぇ――――――――――――――!!!!」


 ミクラの眼前で、オオミナトはそのまま王国軍基地へ連れて行かれた。


今回も友人の自衛官から聞いた実話を盛り込んでいます。

その自衛官は日米合同演習時に調理担当で渡米したらしいんですが、ガチで日本食を定期的に出さないと暴動が起こりかねなかったそうですw。


小話ですが、自衛隊の作る飯はかなり美味しいらしく、噂を聞きつけた米軍人が自衛隊の食堂へ一斉に押し寄せて満員になったらしいですw。

微笑ましい話ですね〜

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― 新着の感想 ―
[良い点] 日本食 マツダのル・マン優勝のMVPは料理長脇雅代さんの日本食だったらしい
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