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第24話 王国軍は国営ブラック

 

 コロシアムを見下ろす女神アルナの像を目指し、俺とセリカは観客席を突っ走っていた。


「あーちくしょう! 新生魔王軍だか知らんがとんだ初任務だよ! 平和だった魔法学院時代が懐かしくなるな!」

「それがわたしたち王国軍ッスよエルドさん、ようこそ国営ブラックへ!」


 闘技場中央では、勇者モードの少佐を筆頭にレーヴァテイン大隊が応戦している。

 相変わらず射撃の効果は薄いが、皆が手練の上に少佐がデスウイングの攻撃を弾くこともあってか、こちらの損害はまだゼロだった。


 それでも、触手の何本かはこっちにも来る。


「お任せくださいッス!!」


 後ろにつくセリカがサブマシンガンで迎撃。

 正確な狙いで、次々と撃ち抜いていく。


「エルドさん! 銃!!」

「えっ!? おっおう!!」


 セリカに催促され、スナイパーライフルを握ったことで持て余していたサブマシンガンを彼女に渡した。


「ヒャッハー!! エルドさんには近づけませんよー!!」


 まさかの両手撃ち!!

 人間対空砲と化したセリカが、走りながら真っ黒な触手を瞬く間に粉砕していく。


「どうッスかエルドさん! ひそかに練習していたこの二刀流! マジ強いでしょ!」

「いや確かに瞬間火力はヤバいけどさ、それって......」


 うっかりその手の戦術の弱点を呟いてしまった。


「装填の時どうすんだよ」

「あっ......」


 両手に2ちょう、つまり撃ち尽くせばそれきりということだ。


「うおぉっ!?」


 触手が目の前に突っ込んだ拍子で、俺は盛大にこけてしまう。

 擦り傷で済んだのは運が良かった、急いで立ち上がろうとした俺は、地面に光る物体を見つける。


「俺のステータスカード? あぁ......ポケットから落ちたのか」


 慌てて拾った俺は、状況に関わらずそこに記されている数字を思わず二度見していた。


「スキルレベル『45』......? 派遣前より25も上がってるじゃないか」


 そういえば、この騒乱でかなりの数のモンスターを倒している。

 あまりに忙しくて見てなかったが、獲得した経験値はしっかりと貯まっていたらしい。


 さらに言えば、アーチャースキルの欄が光っていた。

 なんだこれはと思うも、俺は急いでその場を離れた。


「やべッ!!」


 デスウイングの攻撃が観客席を砕く、ああ全くもってうっとうしい!

 俺は腰の拳銃を抜くと撃ちまくり、道を塞いだ触手を『炸裂ブラスト』でふっ飛ばした。


「おいセリカ! ステータスカードってそのまま指で操作するんだよな!?」

「えっ、あっはい! 指で光っている欄を操作すれば、新しく覚えられる魔法やスキルなどが選べます!」

「なるほど......じゃあ悪いセリカ、一瞬だけ敵の気を引いておいてくれないか?」

「マジッスか?」

「大マジだよ! 頼む」


 セリカはため息をつくと、両手に新品の弾倉マガジンを込めたサブマシンガンを構えた。


「なら急いでください! ついでにさっさと位置にもついちゃってください!!」


 凄まじい銃声を背に、俺は無礼を謝罪しながら女神アルナの石像を登った。

 レベルが上がったおかげか、身体能力も向上しているようだった。


「えーとスキル欄がこれで、あった!」


 そこには、アーチャー職がレベル40以上になった時に光る欄『遠距離武器への付与魔法追加』があった。

 元は弓矢用だが無いよりはマシ、俺が急いで習得を押そうとした時、観客席側に触手が襲い掛かったのだ。


「むぐっ......!」

「セリカ!!!」


 遂に弾を撃ち尽くしたセリカが何本もの触手に捕まり、尻餅をついていた。

 触手は彼女の胸元や袖の中に入り込み、もて遊ぶように撫で回す。


「くっ......んあぁ、この!」


 セリカの抵抗むなしく、果てにはスカートの中にまで侵入を許してしまった。

 彼女を助けるべきか......!? このまま放っておくことなど誰ができようか。


 切り札のスナイパーライフルを構えようとした俺は、しかし次の瞬間驚くことになった。


「......掛かったッスね変態、うおりゃあッ!!」


 起き上がった彼女の切り札、エンピ(スコップ)が触手をいっぺんに切り裂いたのだ。

 俺を狙っていた触手は全て彼女に集中していたため、結果として10本近い触手がセリカに撃滅された。


「大丈夫かセリカ!?」


 無事と知りながらも声を荒らげてしまう。


「全然余裕ッスよ、だってほら」


 いきなりプリーツスカートをめくるセリカ。


「中に短パン穿いてるんで!」


 ドヤ顔で見せてくるセリカ。

 なるほど、ガードは結構硬いわけか。

 だがそれにしたって十分エロいので、こっちとしては反応に困る。


「それよりスキル! 早く選択しちゃってください!」

「あ、あぁスマン!」


 レベル40以上の付与魔法、正直期待など淡い程度にしかしていなかったが、次の攻撃が来る前に俺はレベル40特典である付与魔法を習得した。


 貰えるものはランダムで、通常なら弓用の『モンスターへの効果上昇』とか、そんな辺りだろうと考えていた。

 だがスナイパーライフルを持っていた、あるいは俺の今の思考のせいだろうか。


 引き当てたのはレア付与魔法、ステータスカードの新しいスキル魔法欄には『貫通ショット』というエンチャントが追加されていた。


本作は乙女の自衛武器としてエンピをオススメしております(冗談ですよ)。

でも、やはり近接武器持っとくだけで生存率は段違いだと思うんですよね(`・ω・´)

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