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【完結済み】外れスキルの不遇魔導士、ゴミ紋章が王国軍ではまさかのチート能力扱いだった〜国営パーティーの魔王攻略記〜  作者: たにどおり@漫画原作
【VS慟哭竜ハルケギニア】

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224/380

第224話 対空戦闘!!

 

 ――――水上都市トロイメライより、海上30キロの場所を《駆逐艦ゴッド・ウインド》は航行していた。


 この駆逐艦は同市市長の要請で謎の音の正体を掴むべく派遣された2隻の内の1隻である。

 時折鳴り響く謎の音はまるで空全体にこだますラッパのようで、海中を探るソナーも空を見張る対空電探も発生源を特定できずにいた。


 そんな中、役立たずだった対空電探に反応が現れたのだ。


「電探に反応! 正体不明の未確認飛行物体が本艦より東へ40キロの上空に出現!」

「《旗艦ビック・ウェル》も同一目標を探知、推定速度100ノット、高度2400。トロイメライ市へ向けて進行中」


 この報告に、妙な背筋の寒気を覚えた両艦の艦長は即断した。


「総員配置につけ! 対空戦闘用意!」

「対空戦闘、用意!!」


 ――――カンカンカンカンカンカン――――!!!


 2艦は北の方角へ取舵を切りながら、決して豊富とはいえない対空兵装を稼働させた。

 電文を打つ音と共に、艦首が白波を切る。


 同時刻――――《軽巡洋艦ビック・ウェル》より報告を受けた海軍司令部は、トロイメライ市にほど近いアクローノ陸軍航空基地へ連絡。


 20騎のワイバーンが当該空域へ飛び立った。

 王国軍の主力戦力は、魔都ネロスフィアを陥落させる準備のため東ウォストピアに集結している。


 大陸の反対側であるトロイメライ周辺に、即応できる十分な戦力は存在しなかった。


「見張りより艦橋! 目標視認! 信じられません......ありゃワイバーンじゃありません、ドラゴンです!!」


 先の大戦において勇者によって大陸を追い出されたという伝説の生物。

 そんな異形の接近に全員の表情が強張った。


「右舷対空戦闘! 撃ちー方ー始めー!!」


 なけなしの火力投射が開始された。

 20ミリ機銃、25ミリ機銃、40ミリ機銃が次々と火を吹いたのだ。


「ドラゴン尚も接近中!」

「こちら魔力レーダー監視員! 目標に高魔力反応!!」


 曳光弾のシャワーをかいくぐって、ドラゴンは2艦目掛けて突っ込んでいた。


「くそっ! 《ビック・ウェル》は重装雷艦だってのに......! こんなことなら対空駆逐艦でも連れてくるんだったぜ!!」

「撃ち続けろ!! 面舵いっぱーい! 最大戦速!」

「面舵いっぱーい! 最大戦速ヨーソロー!!」


 大きく回頭する2艦。

 航空攻撃を避けるべく大きく円運動を取っていた。


「ガアアアアァァァアアアアアッ!!!!」


 大きく咆えたドラゴンから、高出力の光属性魔法が発射された。

 レーザーのようなそれは、貧弱な対空火力しか持たない《ビック・ウェル》の艦尾を溶断した。


 爆発の衝撃波が海を走る。


「《ビック・ウェル》被弾!!」


《ゴッド・ウインド》の見張員が叫ぶ。


「こちら艦橋! 被害を目視で報告せよ!」

「《ビック・ウェル》が艦尾に被弾! 大破炎上です! 艦が傾斜しています!!」

「救命ボートは!?」

「はっ! 続々と海に出てきています!」

「対空戦闘を継続! 救助準備急げ!!」


 火災の広がった《ビック・ウェル》は、やがて機関室が浸水。

 魚雷の積み込まれた弾薬庫に火の手が及ぼうとしていた。


「右舷よりドラゴン接近! 低空でこちらへ突っ込んできます!!」

「主砲発射! 水柱を打ち立てて海に落とせ!」


《ゴッド・ウインド》が、主砲と機銃両方で水面ギリギリを飛ぶドラゴンへ集中砲火を浴びせる。

 堅牢な鱗によって、40ミリ機銃すら当たっても火花を散らして弾かれていた。


「諦めるな!! 艦をぶつけてでもヤツを止めろ!! 翼を狙え!!」


 ――――ドドドドドドドドドドドッ――――!!!


 弾幕を突っ切りながらドラゴンが接近。

 このままではあの爪でこっちの脆弱な艦体が持っていかれる......!!

 全員が《ビック・ウェル》の炎上した姿を脳裏に浮かべた時、ドラゴンが悲鳴とも呼べる轟音を上げた。


「ガアアァァアア!!??」


 肉薄をやめ、高度を上げるドラゴン。

 見張員はしっかりと確認していた。


「左翼です! ドラゴンは左翼を損傷しています!! そこへ機銃弾が当たった模様!!」

「なんだと!?」


 あの強大なドラゴンを手負いにする何かがいたとでもいうのか。

 いやと、艦長は思考を切り替える。


「見張員、ドラゴンの様子は?」

「トロイメライ方面へ飛行していきます、どうやら......左翼の被弾を嫌って我々への攻撃をやめたようです」

「......わかった、戦闘警報解除、対空戦闘用具収め。これより沈没中の《ビック・ウェル》乗組員の救助活動を行う。海軍司令部へ至急報告せよ!」


 艦橋から海を見る艦長。

 正面には黒煙を上げる《ビック・ウェル》が映っていた。


「すまないトロイメライ、ヤツを防ぎきれなかった......!」


皆様の応援のおかげでもうすぐ感想件数300突破です。

無事300件突破したら、番外編としてラインメタル少佐のある朝のお話をいつもの2話分(約4000文字)を1話にまとめて公開しようと思います。


こちらは昨日書き上げたので、感想が300件突破次第公開しようと思います。

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[良い点] 大井が被弾? 10×4×2の誘爆? ロングランスじゃなくても欠片も残らんな オータムムーンもってこーい
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