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第189話 少佐の訓示

今回は某地獄が歌うマンガのパロディが入ってます。

むしろ、これがやりたくてラインメタル少佐を『少佐』の階級にしました(汗)

 

 ――――連合国軍前線司令部。


 ウォストセントラルより40キロ離れたここで、王国軍――――もといレーヴァテイン大隊選抜中隊は整列していた。

 ウォストピア首都攻略が目前に迫った今日、俺たち100人はこの前線基地へ集まったのだ。


「総員傾注! 大隊指揮官殿より訓示!」


 ヘッケラー大尉が声を野太く響かせると、ラインメタル少佐が前に立つ。

 横には俺、そしてセリカがエンピ片手に付いている。


「諸君、遂にこの日がきた。無敵の王国兵諸君! 最古参の戦争遂行人諸君! 首都決戦の朝がきた!! 我らが決戦の宴が遂にきた!」

「うおおおおおぉぉぉぉッ!!!!」


 拡声魔法で大隊のみならず、この訓示はあらゆる部隊に聞こえている。

 いわゆる士気底上げのため、元勇者である少佐が鼓舞するということらしい。


「愚かなるウォストピアは、我が無垢で無実なる国民に卑劣とも言える殺し方をした。この罪はなんとしても償わせなければならない! 諸君! 今日この日は特別な日だ! 首都を陥落させ連中には必ず代償を支払わせる!」


 魔法学院制圧戦以来、俺たちはずっと王都で待機させられていた。

 レーヴァテイン大隊は言ってしまえば戦争狂ウォーモンガーの集まり。

 戦いを前に興奮しているのだろう。


 少佐は両手を大きく広げた。


「第一目標はウォストセントラル全域!『ロッド中央議事堂』、『英雄記念碑』『首相官邸』、『国防省本舎』、『セントラル王城』、『ウォストピア国立記念展示館』――――――全て破壊しろ!!」


 この戦いは総力戦だ。

 慈悲や情などない、徹底して敵の戦争資源を削るのだ。


「少佐、『亜人戦争記念館』はどうしますか?」

「無反動砲を撃ち込め、当然だ不愉快極まりない。本当の戦争を教えてやれ」


 レーヴァテイン大隊員はゆっくり下がる。


「少佐、『亜人大博物館』はいかがしますか?」

「吹きとばせ、亜人共の文化に興味などない。欠片も残すな」


 ニッコリと笑う少佐に、また1人重砲兵軍団の兵士が話しかける。


「『中央国立公園』はどういたしますか、少佐?」

「榴弾の雨を降らせてやれ、英雄像は粉微塵に吹き飛ばすんだ。草っぱら1つ残すな......」


 さらに戦車兵が前に出る。


「『ウォストブリッジ』は?」

「堕とせ、『亜人独立橋』もだ、散りゆく花びらのように」


 質問に対して期待通りの言葉を貰った兵士たちは、満足そうに下がる。

 少佐は右手に炎属性魔法を宿らせた。


「さぁ諸君! 宴の時はきた! 連中は愚かにも首都に『魔甲障壁』を展開している! だが今の我々の物量なら容易に突破できるだろう! 崩せ! 燃やせ! 破壊の限りを尽くせ! ここに陸戦条約など存在しない! あるのはこれが『戦争』という事実だけだ!!」

「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!」」」」」


 俺とセリカはその熱気に押される。


「連合国軍――――前進せよッ!!!」


 右手の炎を上空に打ち上げる少佐。

 数秒経った後、それは大きく爆発。

 おそらく首都を挟んで反対側にいるであろう連邦軍にも見える巨大な爆炎が広がった。


「開幕の祝砲ってやつッスかね......」


 見上げていたセリカがポツリとつぶやく。


 12月28日 AM07:30。

 連合国軍は最終首都攻勢『アルナ作戦』を発動。

 ウォストピア首都、ウォストセントラルへ向かって戦車、装甲車、歩兵連隊、ワイバーン航空部隊からなる大部隊を一斉に前進させた。


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