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第18話 機関銃とは絶対正義の銃器である

 

 戦車の上部に付いている機関銃は、360度あらゆる方向に火力を浴びせることができる。

 大量の弾を吐き出し、文字通り弾幕を張って敵を戦車に寄り付かせないようにするのだ。


 大通りを突っ走る戦車に揺られながら、俺は全周を警戒していた。


「今回の敵、お前はどう思うセリカ?」

「どうってなにがです?」

「モンスターだよ、中級以下とはいえ大量の冒険者が護衛していたのに関わらずこれだ。あまりに不自然すぎる」


 戦車のエンジン音に負けないよう大声で会話する。

 俺は機銃座にいるが、セリカに至っては定員の理由から、戦車の上に直接乗るいわばタンクデサントの状態だった。


「確かにありえませんよね……、檻だって特注のもので簡単に破られるわけありませんし」

「つまり、外部からの干渉は明らかってわけだ。どこのクソ野郎の仕業かは知らんけどな」


 全く不愉快極まる、これがテロだとして一体なにが目的だ?

 宗教、民族紛争、考えればキリが無いのでとりあえず王国に敵意を持った者と大ざっぱにくくる。


「ッ! エルドさん! 左です!!」

「なッ!?」


 突如民家の窓ガラスを破って、ゴブリンが降ってきた。

 走行中の戦車へ組み付かれ、至近距離に異形が迫る。


「ギイィ––––––––ッ!!!」


 仔猫はさきほどの小隊長に預けた、よって気負うものはもうない。

 戦車の背面からよじ登ろうとする敵に、俺は機関銃を操作した。


「兄ちゃん! ブチかませ!!」

「発射ッ!!」


 重く鋭い連射音と同時、戦車に取り付いていたゴブリンが弾き飛ぶ。


 ––––ドドドドドドドドドドッ––––!!!


 組み付いたゴブリンを全て薙ぎ払うが、車内より叫び声が上がる。


「正面の交差点に『キマイラ』の集団を確認! 冒険者を狙ってるようだ!!」


 すぐさま機銃を旋回させて見れば、ライオンの体にヤギの頭、蛇の尻尾を有した上位モンスターが魔法を放っていた。


「どうしますか!?」

「兄ちゃん嬢ちゃん、強行突破するから振り落とされるんじゃねえぞ!!」


 グンと加速する戦車。

 ああったく! なぜ戦車乗りという生き物はこんなにも血の気が多いのだろう。


 だが辟易へきえきする暇などない、猛加速した戦車にやっと気づいたキマイラの集団へ、思い切り突っ込んだ。


「どけえぇえッ!!」


 体当たりで蹴散らすと、直撃を免れたキマイラ群へ機銃を向けた。

 サイト越しに、こちらを追いかけながら魔法を発動する敵が見える。


「うわっ、連中相当怒ってるッスよ」

「だな––––撃ちまくれェッ!」


 機銃をフルオート射撃、猛烈な弾丸の嵐がキマイラを襲い、無慈悲に切り裂いた。

 横では俺に続いてセリカもサブマシンガンを撃っており、発砲音で耳が潰れそうになる。


「1時の方向の影より新手ッス!」

「任せろ!」


 仲間の危機に駆けつけたのか、さらに2体のキマイラが姿を見せた。

 すかさず照準を合わせ、ついでにエンチャントで『炸裂ブラスト』も付与。


 爆発する大口径弾が、まるで積み木を崩すようにキマイラ群を打ち倒す。


「エルドさん! 11時方向、屋根の上!!」


 セリカに言われ初めて気付いた。

 屋根の上をこちらと同じ速度で走りながら、1体のキマイラが今にも飛びかからんとしていたのだ。


「撃ち落とせ! 絶対に戦車に近寄らせるな!!」


 俺の機関銃とセリカのサブマシンガンが屋根をえぐり、キマイラを襲う。

 だが、なんともうっとうしいことに敵は大きく俺たち目掛けてジャンプしてきた。


 このまま撃っても無駄だろうが、俺は最後の隠し玉を使った。


誘導ホーミング!!』


 撃った弾丸は横へ大きくターンすると、真横からキマイラを貫いた。


「ゴガ、ゴッ……!?」


 運動エネルギーで飛び掛かっていたキマイラのコースが逸れ、敵は石畳に叩きつけられる。

 かわされた弾丸に掛けた『誘導付与』で、外した弾を急旋回させてキマイラを横っ腹から殴りつけたのだ。


「見えたぜコロシアムだ! 減速するから飛び降りろ!」

「りょ、了解!」


 息をつく間もなくコロシアム前に到着、崩れた女神像の傍で俺たちは戦車から飛び降りた。


「じゃあな! 生き残ったらまた会おうぜ!」


 血の気の多い戦車乗りは、俺たちを送り届けた後元の場所へ戻っていく。


「なんとかたどり着けたな……セリカ、少佐に連絡は?」

「今してみるッス」


 懐から通信機を出すセリカ。

 混線がマシになっているか祈っていた俺たちに、聞き慣れた声が掛けられる。


「いやいやよく辿り着けたね2人共、ちょうど良かったよ」


 白色の大階段の先に立っていたのは、大隊長ジーク・ラインメタル少佐その人だった。


「少佐!? ご無事でしたか」

「僕だってこう見えて元勇者だ、モンスター程度飽きるくらい倒してる。観客を逃がすのに手間取っていただけだよ」


 なるほど、さすがはかつて魔王を倒したお方だ。

 しかし––––


「少佐、なぜコロシアムに招集を?」

「決まってるじゃないか、敵の狙いは"ここ"だからね。トラブルはあったが間に合って良かったよ」

「敵の狙いがコロシアム? 少佐、その敵とは……何なんです?」


 俺の問いに、少佐はニッと笑った。


「国なき王の末裔……いや、"新生魔王軍"とでも呼べばいいかな」


【機関銃】

コイツのせいで密集突撃が世界から消え去った。

とにかく撃ちまくるトリガーハッピー用の銃で、拠点防衛や作中のように戦車に載せて撃ちまくったりできる。


なお、弱点はその重さと撃ちまくることにより発生するオーバーヒート

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― 新着の感想 ―
[良い点] ラインメタル少佐、楽しんでらっしゃる?!笑 [一言] ホーミングは、魔法なしには成り立たないだろうけど、夢あるなぁ ミサイルとかでめっちゃお金かけてホーミングするのはわかるけど、ライフルと…
[気になる点] サブマシンガンしかり機関銃しかりばら蒔く系はホーミングが絶対強いがなんでだし渋るのか? 魔力無限な以上全弾命中させた方が良いだろ 弾は無限じゃないんだし市民とかへの流れ弾も発生しな…
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