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第171話 冒険者VS陸上自衛隊

 

「陸上自衛官......だと? ならお前は軍人じゃないというのか?」

「ああ、俺は自衛隊だ。そして――――」


 ミクラは半長靴ブーツでアスファルトを蹴った。


「たとえそこが異世界でも」

「なっ!?」


 凄まじい勢いでの肉薄にクロムの対処が遅れる。

 そんな彼へ、ミクラは容赦なく89式小銃へ装着した銃剣を使って渾身の力で刺突した。


「がはぁっ!?」


 心臓をえぐられ血を吐くクロムへ、顔を近づける。


「日本人を守るのが――――日本国自衛隊の責務だ!」


 ――――ダダダァンッ――――!!!


 銃剣を突き刺したクロムへ、至近距離から3点バーストによる射撃を浴びせる。


「ぬうんッ!!」


 繋げるように銃床ストックで顔面を殴打。

 のけぞった瞬間にミクラの強烈な蹴りが炸裂し、クロムを吹っ飛ばした。


「あがっ! あぁ......! なぜ、僕は不死身のはずなのに、なぜダメージを......!!」

「なぜ? そいつぁもうわかりきったことじゃねえかチート野郎」


 ミクラは後ろで倒れる少女を一瞥する。


「あの子の全力の魔法で、お前の不死身の能力とやらは大部分を喪失したんだよ」

「そんなことが......、そんなことがあってたまるか!! 僕は勇者よりも蒼玉の魔導士よりも遥かに優れている! お前ら異世界の人間に......負けるわけなんかねえんだよぉッ!!!」


 弓矢を引こうとするが、すぐさま右肩を撃ち抜かれる。


「がぁッ......!?」

「それがお前の敗因だ、すぐ相手を格下だと決めつける。だからエルドにも負け、大湊にも勝てず、そして俺に駆除されるんだ」

「駆......除? あがっ、ぐああ!?」


 さらに銃撃がクロムを襲う。

 全弾撃ち尽くし、ボルトストップが掛かる。

 ミクラは慣れた動作でマガジンをポーチから取り出し、89式へ差し込んだ。


 ボルトが前進して初弾が装填される。


「あんまり調子に乗るなよ、こっちは国民をこんなボロボロにされて――――」


 89式のセレクターが"フルオート"へ回される。


「ブチ切れてんだよッ!!」


 ――――ダダダダダダダダダダダッ――――!!!!


「ぐっ、ギッ!? ガアァッ!?」


 クロムの体を5.56ミリ高速ライフル弾が次々と貫通した。

 弓を落としたクロムへマガジンを交換しながら再び肉薄し、銃剣で喉元をぶっ刺す。


「ギッ......がぁ!?」

「さて、ラインメタル少佐にはあとで文句の1つでも言うとして――――お前には最後に教訓を教えてやるよ」


 喉をえぐり、顔面へ銃口を突きつける。


「俺たち日本人は根っからの戦闘気質だ、普段穏健だからこそ――――」


 トリガーをめいいっぱい引く。


「キレたら始末に負えないんだ......、日本人に手を出せば俺たち自衛隊が絶対に許さねえ!! 来世までに覚えとけ!」


 31発全ての弾丸をクロムの端正だった顔面へぶち込む。

 悲しき1人の追跡魔ストーカーは、遺言を残すことなくあの世へ送られた。


「......やっと終わったか、この世界に持ってきた弾もほぼ尽きちまったな」


 89式を担ぎ直し、倒れていたオオミナトをゆっくり持ち上げる。


「こんな女の子があんな化物と素手でやり合うとはな......、さすが"大湊1等陸尉"の娘さんなだけある。――――絶対に死ぬなよ」


 ミクラは気絶するオオミナトを抱きかかえて、地上へと戻っていった。

 レプリカの横須賀市街には、戦いの後とクロムの亡骸だけが取り残される。


 空からは、不気味な鐘の音が鳴り響いていた。


遅ればせながらブックマークがなんと3000件を突破しました! 正直この作品がここまで伸びるとは思っていなかったです。

感想も気づけば220件、この作品が続いているのは、間違いなく感想をくれる方がいるからです。

感想がなかったら、正直もうエタッていたでしょう。それくらい皆様の感想を楽しみに書いております。


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