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第109話 ソフィア戦闘団前進

 

 ――――旧エルフの森付近。


 たび重なる空爆で新生魔王軍第4梯団は壊滅した。

 敵がいなくなってアッサリ確保した森の入口にある平野部、王国軍はその部隊を集結させていた。


「ルクレール大隊長、これが参謀本部より送られた地図です」


 拠点となったここには鋼鉄の殺戮マシーン――――戦車が大量に置かれていた。

 その数は60両を超えており、光景として見るなら圧巻――――規模は俗に言う【戦車大隊】である。


「ほぅ......ここに敵部隊、こっちの川岸には爆裂魔法陣地が配置されているようだ。よもやここまで敵の位置をあばいた地図を用意できるとは驚いたな」


 キューポラ(砲塔上部の司令部)から顔を出したルクレール大隊長は、丸裸となった敵陣地を見てニヤリと笑った。

 事実、黒魔導師部隊や爆裂魔法陣地がよく書かれており、これなら迂回するも破壊するもこちらが自由に選べる。


 まさに情報戦の勝利だと叫ぶ勢いだった。

 もちろんこれも、ラインメタル少佐と癒着関係にあるアルミナが以前伝えた情報から作られた物である。


「我らの参謀本部は非常に良い仕事をしますね、してルクレール大隊長。自分たち第1戦車大隊はこれよりどの進路を通りますか?」

「川沿いを考えていたがこれでは爆裂魔法陣地に引っかかる、ならば避けるまでよ」

「っというと?」

「偵察によると新生魔王軍の第2軍団は旧エルフの森を目指し続けているらしい、おそらく第4梯団が消えてなくなったことなど知らんのだろう」


 ルクレール大隊長は指で地図をなぞった。


「しからば我々の機動力をもって側面を突いてみようじゃないか!」

「しっ、しかし大隊長......このルートですと......」


 指でなぞられた部分は深い森。

 通常戦車という兵器は平原でこそ真価を発揮する、だからこそこういった森はできれば避けて通りたいのが本音なのだ。


「心配はいらん、我が洗練された熟練の大隊なら不可能ではない。それにここを通れば魔王軍の待ち伏せポイントを回避して弱点を吹っ飛ばせる」

「それはそうですが......」

「なら決まりだ! ソフィア戦闘団司令部に連絡しろ、我々第1戦車大隊はこれより敵軍団へ突撃する!! とな」

「ちょっ、大隊長!」

「さっさと乗れ砲手! ついでだ、随伴の歩兵大隊と輸送車隊も連れていくぞ!! 戦果は戦友たちと山分けせねばならん」


 並べられた戦車のエンジンが一斉に唸る。

 これらはほぼ全て24口径75ミリ戦車砲が搭載されており、たとえ相手が上位種のアイアンゴーレムであっても粉砕可能だ。


「軽戦車小隊は先行して偵察、ワイバーン部隊と連携しろ。敵さんは数が多い――――腕が鳴るな大隊諸君! 亜人共に鉄槌を下してやれ!!」

《タイガー2了解! 蹴散らしてやりましょう》

《タイガー30、航空艦隊のヤツらには負けられません! 75ミリ砲で魔王軍のケツを掘ってやりますとも!》

《こちらスラッシュ3、戦車大隊ってのはいつもこんなんなのか......? 我々兵員輸送車部隊は後方からついていく。道作りは任せたぞ》


 やがて戦闘団司令部からのゴーサインが下り、ルクレール大隊長は叫んだ。


「我々が亜人国ウォストピアに対する最初のくさびとなるのだ!! まず森を突破して敵の側面を突く! 戦車前進ッ!!!」

《戦車前進ッ!!!》


 先頭から次々に戦車が発進、一足先に身軽な軽戦車が先行していった。

 その後ろを埋め尽くさんばかりの車両群が土煙を立てて走行し、森へ向かう槍のような布陣で突っ込んでいった。


 彼らこそウォストピアが初めて戦い、絶望する相手。

 参謀本部の新戦術が試験隊でもある、諸兵科連合部隊――――ソフィア戦闘団であった。


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