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元・平民の革命   作者: Eiri
平民のエラン
7/14

緑の一族

 竹笛を吹いてみたものの返事の音が返ってくるわけでもなく、状況に変化は見られなかった。


  ーーーそれにしても。


  「……訳が分からねー」


 気付いた時には空が曇っていて、急に暗くなり、ネヴェラに襲われ、今度は霧が発生。「いつの間にか」と「急に」ばかりだ。


  ーーー 一体何なんだよ、今日は厄日か!?


 イータとミュナはきっと大丈夫だ、とは思っていた。ネヴェラは凶暴だが、攻撃力がさほど高くはないと聞いている。なんとか逃げ切って、無事でいることを祈るしかない。


 一番心配なのは俺とメリアだ。道順はイータに任せっぱなしで全く覚えていない。もっとも、この霧の中で道順が分かったところで意味はないが。イータとはぐれるなんて致命的すぎる。


  「とりあえず進みましょう。霧が晴れる気配が感じられないもの」

  「そうするしかないよなぁ~……」


 イータがいるのといないのとでは安心感が全く違う。しかし、目前の脅威は去った。こうなってしまった以上は、男の俺がしっかりしないと。それで、イータ達と合流して村に帰る!


 あたり一面霧、霧、霧。何も見えないが、木の影くらいならばなんとか見える。三百六十度ぐるっと見回すと、一ヵ所だけ、霧が薄い場所があることに気付いた。


  「メリア、あそこ。ほら、あそこだけ周りよりも霧が薄い」


 俺が指差す方向をメリアは目を開いたり細めたりして凝視するが、


  「別に他と変わらないわよ。私にはどこも同じように見えるわ」


 メリアは緩く首を振った。


  ーーーおかしいな、あそこだけどう見ても霧が薄くなってるんだけど……。


 この暗さと視界の悪さのせいでよく判別がつかないのかもしれない。


  「まぁ、いいわ。エランの言う方へ行ってみましょう」

  「おう。ちゃんと俺についてこいよ」

  「分かってるわ」


 わずかに緊張しながらメリアの前を歩き先導する。イータも、きっと同じような気持ちだったんだろうなと思い、村に帰ったらお礼を言おうと心に決めた。





 しばらく歩き続けると、少しずつ、周囲の霧が晴れていった。光もうっすらとだが確認できる。


 そのまま光に向かって進んでいると、ある場所を踏み越えた途端、霧が完全に晴れた。


  「なっ……」

  「嘘……」


 俺とメリアは絶句した。目の前には、信じられない光景が広がっていたのだ。


 赤々と燃える薪。その周りでは、身長が人間の腰ほどまでしかない人々が走り回っている。子ども……だろうか。だが、耳の先が尖っていて、コーヒー色のような人間の肌より少し濃い色合いの肌をしている。そして、皆が大きい葉を縫い合わせた服を身にまとっていた。


 そこは、小さな人々が暮らす村だったのだ。


 しばらくの間硬直していると。


  「……おい。お前ら人間ダナ?見たところ貴族じゃなさそうダガ……ならなんでここに来れタ?」

  「うわぁッ!」


 背後から突然現れた声に驚いて飛び退く。そこには、目前の人々のように小さな人が。


  「ハァ。そんなに驚くことないダロ。全く、これだから人間ハ。自分と異なる種を恐れル。よく分からんナ」


 心臓が止まるかと思うほどの衝撃から立ち直った俺は、よく分からないことを言うよく分からない人に話しかけた。


 とりあえず、波風立たないように……。


  「えーっと……俺はエラン。こっちはメリアで、俺達はヘルーニっていう村から来ました。あ、森の外にあります」


 丁寧を心がけたのだが、逆に「そんぐらい知ってるヨ」と返されてしまった。


  ーーー気を取り直そう。うん。


  「すごく失礼な質問なんですけど、あなた方は何族ですか?」


 何族って聞き方はおかしいか、などと内心で考えていると、小さな人はきちんと答えてくれた。


  「オレ達は、緑の一族ダ。七精霊の内の一つ、緑の精霊の加護を持つ妖精族」

  「妖精……」


 メリアが目を見張った。そんな種族が存在するなんて今まで知らなかった。それも、ヘルーニのすぐ近くの森に。妖精なんて、童話や物語の中の空想の登場人物だと思っていた。


  「オレは緑の一族の長、キオ。エラン・ヘルーニ、メリア。オレ達の村でゆっくりするとイイ」

  「俺の名前はエラン・ヘルーニじゃなくて、エランです」

  「……ン?お前は村長の血族だろウ?村長には村の名前が付くんじゃないのカ」


  ……初耳だ、そんなことは聞いたことが無い。俺の父さんの名前はフォレスだが、フォレス・ヘルーニと名乗っているところも呼ばれているところも、今まで一度たりとも目にしていない。


  「いやー……付かないですよ?」

  「そうなのカ。ダガ、ずいぶん前に会った奴はジルス・ヘルーニって名乗ったんだけどナ」


 それを聞き、俺とメリアは顔を見合わせた。


 メリアも一応村長の血族だ。代々の村長の名は、当然知っている。


 キオが言ったジルス・ヘルーニことジルスは、今から四代前の、ヘルーニの二代目村長だ。そこまでは理解できたが、不可解な点がある。二代目村長のジルスが生きていたのは、今からもう三百年も前のことなのだ。

緑の一族登場です。ファンタジーっぽくなってきましたね(笑)


しばらくは、緑の一族についてのお話が続きます。ヘルーニの村にとって大事な分岐点になる予定なので、皆さんお付き合いください。


次は、妖精族の年齢についてです。


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